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連載 第1回「社内SNS導入の落とし穴(その1)―今すぐ全員に使わせないともったいない?」 2012年07月24日

社内SNS導入の目的は何でしょうか。社内SNSが成功するかどうかは、導入の仕方によって大きく変わってきます。せっかく予算をかけて導入する以上、多くの人に使ってもらいたくなるのは当然ですが、結果を急ぐと大きな落とし穴が待っています。

今すぐ全員に使わせないともったいない?

これからお話しするのは、SNS導入でよくある失敗事例の一つです。社内SNSは社内の情報システムですから、一般的なグループウェアのようにIDを全社員分取得して、一斉に使わせようとすることがあります。

無理矢理使わせようとしてしまうのですね。

はい。社内SNSを導入する際に全社員分のIDを購入すると、「今すぐ全員に使わせないともったいない」という発想になります。どうしても今までのライセンス体系だと、情報システム部は一斉にユーザにSNSを展開をして、「はい使いなさい」ということになります。

投資した分の元を取ろうとしてしまうのでしょうね。

元々社内SNSは、お互いのことがよくわからない、誰に相談したらいいのかわからない、気軽に話ができない、といった問題を解決するために導入するものです。それなのに、何の準備もなく、例えば3000人の社員にいきなりSNSを導入しても、誰も知らない空間ができるだけなってしまいます。元々知らない人同士が話をできるはずもありません。しかし、こうした失敗を実際にしてしまったケースがあります。

社内SNS一斉展開がもたらしたもの

一斉展開とはかなり無茶なお話しですね。詳しく教えてください。

私は「絶対に一斉展開だけはいけないですよ」と運営担当の方にお話していました。運営担当の方は理解してくれて、一斉展開をやめようとしていました。ところが、本当の主導者である経営企画室は、会社の施策として全員に使わせるのが当たり前だということで、社員3000名に一気に展開することになりました。1000名ほどの方が参加してくれたのですが、実際に投稿したのは一体何人だったと思いますか?たったの3人です。

3000人中3人ですか。

その3人の方はハートの強い方なので、どんな状況でも投稿してくれるのですが、結局その3人の方以外はなかなか書けない・書かないという状態になりました。その後新しく入ってきた方は、何もない原っぱのような空間を目の当たりにします。すると、ここに来ても意味がないと感じて二度と来てくれなくなってしまいます。

社内SNS導入で大切なこと

どこを履き違えたのでしょう。

大事なことは、ユーザが訪れたときに日々情報が増えていて、かつ自分に役立ち、興味のある内容が見つかることです。社内SNSを導入して一斉展開して終わり、だと情報はない、知らない人だらけ、という状態になります。プロフィール情報なども整っていない、何もない広場の中で発言して、全員から注目を浴びるという緊張感は、普通のユーザには耐えられません。

一度ネガティブなイメージが植え付けられてしまうと、その後が大変ですね。

その通りで、この状態からの復帰はとても困難です。SNSが始まってしまうと、1000人なら1000人のユーザをいったんやめさせるわけにもいきません。投稿してくれと頼んでも、ファーストインプレッションが悪いと、二度と使ってくれません。いったん30人くらいの少人数に戻って、再出発することもできません。一度始めてしまうと復活はとても大変です。

最初にやってはいけないのは、一斉展開して使わせようとすることです。

やれと言われると、やりたくなくなるものです。

はい。極論すると、社内SNSはなければなくてもいいものなので、やれと言われたらやらないものです。「やりたい」と思ってもらわなければいけません。有無を言わさず、自分が求めたわけでもないものをやらせても、失敗します。

2006、2007年くらいから社内SNSがたくさん世に出ましたが、失敗した事例がたくさんあります。SNSを一気に買って、一気に始め、誰も使わない、半年でクローズ。その結果社内SNSは無駄だという判断がよくなされたのですが、それは進め方がコンセプトに合っていなかったということです。本当にやりたかったことに立ち返り、性急に焦らず踏むべき手順を踏んでいかなければいけないという教訓です。

誰がどう始めるか

ではどのように社内SNSを導入したらいいのでしょうか。

システム管理をしている立場からすると、一斉展開は当たり前のことです。それが普通の仕事のやり方です。逆に、成功しているケースはボトムアップ、ボランティア、草の根のやり方をとっています。そもそも全社に展開する権限も自信もない方々が始めたことが奏功したこともあります。今では、情報システムなど法務系の方が社内SNSを導入するケースが増えてきているので、同じような失敗事例が増えてくるかもしれません。

社内SNS導入のポイントを教えてください。

どの部門が責任を持って社内SNSを推進し、どんな手順で、どんなプロセスで始めるかがポイントです。始めることを急いだり、全員に使わせようとすると、本当の目的にたどり着けずに終わることが多いです。

社内SNS展開で失敗しそうになったらすべきこと

失敗しそうな社内SNS導入プロジェクトにアドバイスをお願いします。

大きくマスに展開することをあきらめ、知っている方の部署や、自分の周り、友人の周りの活動などから始めるといいでしょう。もともと「ソーシャルネットワーク」なので、口コミや、あなたとやりたいという気持ち、一緒にやろうよという誘いの中で広がっていくのが本質だと思います。

また、利用率を見て一喜一憂するのではなく、あなたの知っている方を個別に一人ずつ口説いていきましょう。10人を口説けばその次にまた10人増えます。口コミを使って、もう一度復活させるといいでしょう。

なるべく目先の数字にとらわれない気持ちの強さが大切ですね!

その通りです。



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