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第3回「ブログだけではない。社内SNSの価値を改めて考えてみよう【前編】」 2012年07月26日

社内SNSを導入すると、社員に少しでも多くの記事を書いてもらおうと考えがちです。しかし、社内SNSでは必ずしも記事を書いてもらう必要はありません。今回は、社内に埋もれている情報を活用して、本来の目的を達成する方法をご紹介します。

社内SNSと8:2の法則

SNSが流行し始めたのは、mixiをはじめとするサービスが登場してきた2006年くらいのことです。その当時は、CGM(コンシューマー・ジェネレーティッド・メディア)という言葉が使われたりもしていました。

社内SNSは社員がコンテンツをジェネレートするので、EGM(エンプロイド・ジェネレーティッド・メディア)と呼ぶこともありました。社員が自ら情報発信をする、気軽に情報交換をする、スピードを高めていく、というのが大きい流れで、その流れは今でも続いています。ほとんどのツールはこの流れを意識した作りになっていると思います。

弊社の「SKIP」という製品も、社員同士の気軽なコミュニケーションを実現するためのツールです。ブログより柔らかい気軽なタイムラインメディアとして、コメントしたり、「いいね」をしたりと、社員が自ら情報発信をして協力し合うことを目指しています。

ここで、経験上でわかっている法則が1つあります(法則というと思考停止になってしまうきらいもありますが)。8:2の法則です。8割が読む人、2割が書く人、ということです。

もしくは1:9:90の法則と言うこともあります。1%のとてもよく書く人、9%の少し書く人、90%の読む人、ということです。

社内SNS本来の目的

書かない人が8割もいても、社内SNSとしては効果があると考えてよいのでしょうか。

こうした割合の中で、果たして、気軽に社員が情報発信をしてつながっていくという本来の目的を実現できるのでしょうか。ここが社内SNSの導入でずっと苦労しているところです。社員同士の情報共有、情報発信の中で、誰がどんな人なのかがわかる「Know Who」を実現していく上で、まだ誰も解決できていないジレンマです。第1回目の記事で、社内SNSは一斉展開をしないで少人数から少しずつ始めるのがよいとお話しました。最初から参加してくれるユーザは積極的に関わってくれる人ばかりなので、割合で言うと50%くらいの人が投稿してくれて、盛り上がります。しかし、もう少しユーザー層が広がって、受け身の人も入ってくるようになると、書く人の割合は相対的に減っていきます。しかし、これは必ずしも悪いことではありません。

どうしてですか?

実は、あるアンケートによると、社内SNSに効果があると思う人、あると強く感じる人は、読んでいる人でした。今まで知らない情報に出会えたとか、あの人がどういうことを言っているのかわかった、など、8割の人は読むだけなのですが、社内SNSに価値を感じていたのです。2:8の割合でも決して悪くはないのです。

ただし、Know Whoの共有や、社内のことをよく知りたい、という目的を実現するために社内SNSを導入しているわけですから、本来の目的からすると破綻しています。

2割の人しか書かないのであれば、2割の人のKnow Whoしかわからないことになってしまいます。どう工夫して気軽に投稿できるようにしたとしても、書かない人は書きません。この事実をもって、社内SNSに効果があるかという話をし始めると、5年10年続いているジレンマに陥ってしまいます。

Know Whoは記事を書かなくても実現できる?

ただし、Know Whoを共有するという目的が、本当にユーザ一人一人が情報発信をしないと達成できないかというと、必ずしもそうではありません。

それは意外です。何か実例はありますか?

ヒントになったのが、先日お邪魔したお客様のシステムです。そのお客様は名刺情報の一覧化のサービスを行っています。名刺の一覧は名前や住所や電話番号などの表に過ぎないのですが、複数の営業マンから同じ名刺情報が取り込まれると、それをそれぞれの営業マンに教えてくれる仕組みになっていました。

例えば、「佐藤さんが同じお客さんに訪問したみたいですよ、情報共有したらどうですか」と。それぞれの営業マンが同じ提案をしていたら失礼ですし、違う提案をしているのであれば、セットで提案したほうがいいかもしれません。

例えばまた、お客様が出世した、課長から部長に肩書きが変わったとしましょう。自分が訪問していなくても、他の営業マンの情報からそれを知ることができます。「あの方が昇格されました。これはチャンスだ」となるかもしれません。他の人と営業マンと協力し合ってお客様のことをよりよく知っていくことができます。

社内SNSの価値を生むのは記事だけではない

つまり、名刺情報と名刺情報がつながると価値が生まれる、ということです。ソーシャルネットワークは人と人をつなげて価値を出しています。社内SNSというと普通のSNSを連想して記事を書いたりしますが、一般のSNSは友達と友達をつなぐことに意味があるからそうしているのです。

情報と情報をつなげて人を介在させるのがSNSですが、そのときの情報は必ずしもブログである必要はありません。会社の業務が名刺情報を中心に回っているなら、名刺情報でもいいのです。

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