「介護」のために「働く」ことを諦めない!〜起業を選んだ女性社長は、なぜ働き続けるのか?【後編】 2015年03月04日

- 「介護」のために「働く」ことを諦めない!〜起業を選んだ女性社長は、なぜ働き続けるのか?【前編】
- 「介護」のために「働く」ことを諦めない!〜起業を選んだ女性社長は、なぜ働き続けるのか?【後編】
できないことに苦労するより、できることで誰かの役に立とう
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先ほど、「開き直ったら自分で会社をやるところに辿り着いた」というお話がありましたが、その「開き直る」という言葉の裏にあったのは、時間と場所の制約を外すという意味もあったのでしょうか?

そうですね。開き直る前は「働く=会社に勤める」という公式だけだったと思います。会社員じゃなくていいじゃん!という開き直りですね。
「働く=会社に務める」ではなかったと語る串田社長。
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もう少し詳しく教えていただけますか?

開き直る前の「働く」という行為は、「耐える」こととセットでした。この「耐える」は、仕事は真面目に取り組んで、上司に認めてもらうもの、という価値観です。でも「できないものはできない!」という価値観の転換があったのですね。できないのに無理しない。できないことに苦労するより、できることで誰かの役に立とう。そうすれば細々とでも食べていけるかな?という感じですね。
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なかなか「耐える」価値観からは抜け出せないと思います。

できないことを一所懸命に悩んでも、アイデアにはたどり着かないと思うのですよ。まず「できるようになる」というハードルがあるので。
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「できない」 → 「できる」 → 「アイデアが生まれる」ということですね!

でもそれだけじゃダメなんですけどね。できることをやりながら、どうすれば「成したい」ことができるか。「走りながら考える」、って多くの経営者がおっしゃるのですが、そこの意味がようやくわかった気がします。
目指す方向があって、そこには何とか向かおうと走るんですけど、当然いろいろな障害はあって、自分の力不足もあって。でも、立ち止まっていたら、いつまでたっても目指すところには近づかないんですよね。
目指す方向があって、そこには何とか向かおうと走るんですけど、当然いろいろな障害はあって、自分の力不足もあって。でも、立ち止まっていたら、いつまでたっても目指すところには近づかないんですよね。
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経験者ならではの気付きですね!実にカッコイイです!
ずっと現役で「働く」。働かないということが怖い
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少し戻りますが、では会社員を辞めた時点から、「介護」と「働く」を両立することが前提にあり、起業をすることにしたんですね。

個人的にはそのモチベーションです。
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「介護」の現実がなければ、起業はしなかったかもしれないですか?

背中を押される力は弱かったと思います。でも、サラリーマンには「定年」というものがあって、いつかは会社から遠回しに「もうあなたはいりません」と言われるのですよ、絶対。それがイヤだったのもあります。
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おおー!ずっと現役で「働く」をしていたい?

うーん、正直に言うと、働かなくていいなら働きたくないかも(笑)趣味程度にカフェやったり(笑)
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分かります(笑)

先ほどもお話しましたが、働くことは人生にとってのリスクヘッジだと考えています。専業主婦をしていて夫に死なれたら、途方に暮れると思うのですよ。
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そう思います。

これはわたしの原風景というか、育った環境がそうさせていますね。わたしは母子家庭だったので、仕事をしない女性の最も弱い部分を見て育っています。だから、自分で働いて生きていくことは、野生の本能みたいなものが突き動かしていますね。
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深い部分に「働く必要性」のようなものが刻み込まれているのですね

働かないということが怖い、ぐらいですね。なので本心では、サラリーマンのほうが一般的な安定を得られるので、そっちのほうがいいと思ったりします。でも、サラリーマンにも「定年」の恐怖があるので。
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ええ、確かに定年は必ずやってきますよね。

起業したタイミングが今なのも、定年が身近になった年齢だから、じゃないでしょうか。あと、老後も遠い未来ではなくなってきましたから。
自分の人生は自分で選んだという自覚を持ってほしい
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ご自身が「働く」と「介護」の両立を考えていたからこそ、ジェントルワークスでは「介護」や「育児」と両立できるリモートという働き方を大事にしているのですか?

それはあります。ただ、両立を推奨しているのではなくて、自分の人生は自分で背負える人でいてほしい、というのが正しいですかね。専業主婦だっていいんですよ。問題は、それを自分で選んだ、という自覚ですね。自覚があれば、何かあっても、その後の人生を自分でしっかりと歩めるはずなんです。

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そうですね、「自分の選択」だと意識して生きているだけで、違ってくるかもしれませんね。

本当に違います。
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では、この流れでミッション・ビジョンをお聞きしてもいいですか?

はい。ジェントルワークスというより、ソニックガーデンファミリーの共通ビジョンとして「新しい働き方の創造」があります。時間と場所に縛られずに働くことを大事にしたいと思っています。

もう1つが「持たざる経営」です。企業を大規模化せず、コンパクトであり続けるために、本業以外のものをなるべく持たず、他者/他社と相互協力することで、大企業並みの組織力を持つこと。この新しい考え方を社会に提言していきたい、というのがソニックガーデンとの共通ビジョンです。
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ビジョンはソニックガーデンとジェントルワークスは同じビジョン・方向を見ているのですね。
制約を外すことで、定形業務にもイノベーションを起こしたい

はい。ですが、ミッションはソニックガーデンと異なります。ジェントルワークスのミッションは2つあり、1つ目は、「お客様のお困り事を、お客様のスタッフの一員となって一緒に解決すること」です。タスク単位や主従関係ではなく、顔の見えるスタッフが長期的にお客様業務を担当し、信頼関係に基づいた業務遂行を目指しています。
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ひとつのお客様に対して、複数の手の空いているスタッフが対応するわけではないのですね?

基本的にはそうですね。比較的業務量の多いお客様の場合、担当スタッフが急に業務対応できない場合のバックアップ体制として、別のスタッフにもある程度業務を知っておいてもらうことがあります。ただ、業務を分担することで発生するオーバーヘッドは極力減らしたいので、主担当を置くというような形になりますね。
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では、基本的には一人のスタッフがお客様と一緒のチームとしてお仕事をしていくわけですね。2つ目のミッションは何でしょうか?

2つ目のミッションは「時間と場所に制約されないことにこだわる」ということです。制約を外すことで、お客様のビジネスを違う見方で捉え、定形業務にもイノベーションを起こすことをミッションとしています。
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もう少し詳しくお願いできますか?

これまで、どう考えてもオフィスに行かなければできないと思われていた業務についても、弊社の技術とノウハウでお客様が思いつかないような解決方法を提案していく、ということですね。具体例としては、郵便物を代理で受け取り、その日にPDF化してクラウド上で共有することで、内容は即時にお届けするという業務があります。
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なるほど!お客様は事務的な作業のためにオフィスに縛られる必要がなくなったわけですね。そういった部分のサポートを得ることで、もっと重要なことに時間をあてられますよね。

そうなんです。
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最後の質問になりますが、介護との両立だったり、リモートでの勤務が可能だったりと、特殊な「社長業」だと思うのですが、実際代表に就任してみて、どうお感じですか?率直な感想お願いします!

全く特殊ではないですね。起業してから同じような女性起業家とお会いする機会が多くなりましたが、子育ての問題解決として起業を選ぶ方も多いです。既に事業をやっていた方が、子育てのために今までの事業を手放して、新しい事業にチャレンジされた方とか、東京では保育園問題が解決せず、岡山に転居された方とか。最近お会いした方だと、徳島の廃校を活用してカフェをされている方もいますね。でもみなさん、起業や転地をギャンブルにせず、収益性や事業継続性を考慮して行動されてます。
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なるほど。それでは最後に今後の意気込みをお願いします!

着実に事業を展開して継続すること。それが必ず誰かの役に立つと思ってやっていこうと思っています。
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ありがとうございました!私もジェントルワークスとお客様のお役に立てるよう、頑張りたいと思います。
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インタビュアー/ライティング:岡田由美子
株式会社ジェントルワークス所属。早稲田大学第一文学部在学中より、物書きを目指してひたすらに原稿用紙に文字を埋める日々を過ごす。卒業後、EC系のベンチャーで新規事業の開発に取り組む。現在は二児の育児の傍ら、インタビュー記事や、商品紹介のキャッチなど、また文字の世界へと戻る。いつか起業すること、ヨガの達人になること、長生きすることが目標。
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