スポーツテック企業・ユーフォリアの理念「スポーツを楽しむすべての人を、ハッピーに」【第3回】


アスリートのトレーニングや試合中の行動、日々の生活、コンディションなどのデータを収集し、ケガの予防やチームのパフォーマンス管理を実現する、株式会社ユーフォリアのONE TAP SPORTS。スポーツに特化したシステムですが、メンタルヘルスの管理に、一般企業での導入テストも行われています。

気づけば、東京マラソンをはじめとしたシティマラソンの開催が増えたり、一般の人でも、パーソナルトレーナーとトレーニングをすることが珍しくなくなってきました。「人生100年時代」と言われる現代において、心身の健康を理解することへ関心が高まっています。そしてスポーツはますます人生を楽しむための欠かせない存在となっていくでしょう。

お客さま事例「株式会社ユーフォリア/ONE TAP SPORTS」第3回は、ユーフォリアが、ONE TAP SPORTSを通して思い描く幸せな社会と、今後の展望についてうかがいました。

インタビューにご参加いただいたみなさま

  • 株式会社ユーフォリア 代表取締役/Co-Founder 橋口寛さん
  • 株式会社ユーフォリア 代表取締役/Co-Founder 宮田誠さん
  • 株式会社ソニックガーデン 取締役 CIO 安達 輝雄
  • 株式会社ソニックガーデン プログラマ 中谷 一郎
目次
  1. ラグビー日本代表ほかトップスポーツチームをITで支える、ONE TAP SPORTSの開発ストーリー【第1回】
  2. まるで勝ち続けるスポーツチームのような一体感。ONE TAP SPORTSの開発体制は、スポーツへの理解とディスカッションでできている【第2回】
  3. トップアスリートだけでなく、スポーツを楽しむみんなをハッピーにしたい。人が持つ価値やポテンシャルを高めることが、ユーフォリアの理念【第3回】

社会課題を解決する。そうでなければ、ビジネスをやる意味はない

先日(4月)放送された地上波の経済番組内で、注目のスポーツテック企業として登場したユーフォリア。ONE TAP SPORTSが紹介される中に、スポーツとは少し異なるシーンがありました。それは、ある企業で行われている、ONE TAP SPORTSの活用テストの様子でした。このテストには、ビジネスパーソンのコンディション管理を行うことで、健康維持やメンタルヘルスの向上につなげ、生産性を高めたいという期待が込められています。

壁に貼られた写真1枚1枚に、ユーフォリアが歩んできたストーリーがあります

橋口さんによると、「スポーツビジネスを中心にしつつ、今後はONE TAP SPORTSを活用できる業界を広げる方針も考えている」とのこと。その背景には、ユーフォリアを起業したときの、ある想いがあります。

宮田の顔宮田
起業したときからずっと、社会課題を解決し、世の中をよくしたいと考えています。そうでなければ、ビジネスをやる意味はありません。

幸運にも、ONE TAP SPORTSでトップスポーツの分野に関わる機会をいただき、多くの知見を得てきました。これらの経験を、メンタルヘルスや少子高齢化などの社会課題の解決に、生かすべきだという意識があります。ビジネス観点でマーケットの大きさも大切ですが、何よりハッピーな社会にしたいんです。

スポーツは楽しくが大前提。スポーツへの接点が増えれば、ナショナルチームも強くなる

現在は、チームでの利用を前提としているONE TAP SPORTSですが、個人向けの利用も構想があるそうです。

文部科学省の、体力・スポーツに関する世論調査(平成25年1月調査)によると、運動をやる大きな理由に、「健康・体力つくりのため」と「楽しみ・気晴らしとして」が挙げられています。また、「どのようなスポーツ指導者が必要だと思うか」という質問には、「スポーツの楽しみ方やスポーツへの興味・関心がわくような指導ができる人」という答えの割合が高くなっています。つまり、スポーツには楽しさが求められているのです。

イタリア語で「多幸感」を意味する、ユーフォリア。「まずはONE TAP SPORTSから、みんながそれぞれにスポーツを楽しめる、ハッピーな社会を実現するのが理想」と、宮田さんは話します。

宮田の顔宮田
シニアの生涯スポーツにも関心が集まりますが、子どもは何かしらスポーツに触れているものです。でも、つまらないとか、ケガで辞めるというケースも少なくありません。

これまで見過ごされていたつまづきを、ITでケアできたらハッピーな社会になります。すると、さらにナショナルスポーツも強くなると思うんです。この構造をまずはスポーツ界で起こして、他の業界へじわっと波及できたら良いなと考えます。

また、橋口さんも「その人が本来持っているポテンシャルを、最大限発揮できるサポートをしたい」と話します。

橋口の顔橋口
少なくともアスリートのケガを予防できれば、思いきりプレーできる期間が延びますし、少年サッカーや野球の子どもたちも、ケガで諦める必要はありません。また、ビジネスパーソンもメンタルヘルスのケアが適切にできる環境があれば、元気に自分の力を発揮できるような仕事や生活が送れます。高齢者が、ずっとアクティブに過ごすことにもつながるんです。

スポーツテックの浸透は、著しいものがあります。フィットネスや、ランニングをサポートするアプリも登場しました。「今後も、スポーツテックは拡大していくと思います。そして未来では、それが当たり前になっていくのではないでしょうか」と宮田さん。「ユーフォリアとして、まずはスピーディに変化し続けるプロスポーツの現場に寄りそい、ONE TAP SPORTSを進化させたい 」と強みを活かしたビジネスに自信を見せました。

ONE TAP SPORTSのポテンシャルを引きだす、大きなチーム

ユーフォリアには、さまざまなスペシャリストがその信念に共感して集まっています。 ユーフォリアのメンバーは、スポーツ経験者が多く、駅伝、棒高跳び、サッカー、野球、空手とそれぞれの経験を生かして、サービス運営に関わっています。また、管理栄養士や野球医学専門のドクター、スポーツ領域のプロフェッショナルと、多くのアドバイザーが参加し、ONE TAP SPORTSを構成しています。ソニックガーデンも、そんなチームの一員です。大きなチームでスポーツに人生を賭けるトップアスリート達を支え、スポーツが育む未来を目指しているのです。

ユーフォリアの学生インターンには、日本代表経験を持つ現役の女子7人制ラグビー選手も。彼女から、ラグビーボールの投げ方を教わる橋口さん。

それでは、今後のONE TAP SPORTSはどのような進化をしていくのでしょう。 中谷は、「ユーザービリティを上げていきたい」と話します。

中谷の顔中谷
その名の通り、ONE TAP SPORTSは少ないアクションで操作が考えられています。しかし、今が完成形ではありませんし、もっとUIを改善することができると思います。今後、新しいスマートデバイスの登場が期待されているので、そこへフォーカスして開発したいです。
安達の顔安達
直近では、多くのメンバーを管理するスタッフが使いやすいよう、閾値を超えたときのアラート機能や、選手とスタッフのコミュニケーションを深めるチャット機能などをリリースしました。さらに、サッカーチームから要望が高かった多言語機能として、ポルトガル語対応も実装しました。様々な競技やチームの現場で、ONE TAP SPORTSが使われ、貢献していくのが目標です。

今年の秋に開催が迫るラグビーW杯2019日本大会だけでなく、2020年の東京オリンピック・パラリンピックと、国内では大きなスポーツの祭典が予定されています。アスリートの活躍はもちろん、その日々のトレーニングを支えるチームやプロフェッショナルのストーリーを知ることも、スポーツを応援する楽しみです。ONE TAP SPORTSの技術や開発に込められた想いは、今日もアスリートやスポーツチームを支えています。

橋口の顔橋口
ユーフォリアが実現したいことを山に例えると、まだ2合目か3合目の手前ぐらいなんです。僕らができることはたくさんありますし、やらなくてはいけません。まだまだ課題を感じていますし、その山は果てしなく高くそびえ立っていますが、ONE TAP SPORTSをもっと研ぎ澄ましたいと思います。

取材をしたお客様 株式会社ユーフォリア https://www.eu-phoria.jp

参考URL: https://www.rugbyworldcup.com

[インタビュー・構成・執筆/マチコマキ]

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