インタビュー

開発書30冊を読み漁って辿り着いた『納品のない受託開発』 。運用設計のプロが求めたパートナーの条件

株式会社K-modelさま

新規事業
SaaS
スタートアップ
運用設計

株式会社K-model様は、日本中のすべてのシステムが運用も考慮された設計となり、観測可能な運用データに基づく改善が実現できる世界を目指しています。

運用設計を知識から共通言語に引き上げ、定量評価をベースにした運用改善が行える能動性を持つ運用組織を企業と共に作り上げていくことを目標とし、ITシステムの計画策定から実行完了までをサポート。その多くの経験から蓄積されたノウハウをもとに「運用設計プラットフォーム RACUUUN」の開発を開始しました。このプロジェクトに『納品のない受託開発』が伴走しています。

システム運用そのものを次のフェーズへ押し上げるための大きな一助となる画期的なアプリ。リリースへ向けての大詰めとなる今、事業立ち上げと開発への期待、伴走者・ソニックガーデンへの想いなどについて、お話しいただきました。

インタビューに参加された皆さん

  • K-model<br>近藤 誠司(こんどう・せいじ)さん
    K-model
    近藤 誠司(こんどう・せいじ)さん
    株式会社K-model 代表取締役社長。複数のSIerにて、オンプレからクラウドまで幅広いシステム導入プロジェクトに運用設計担当として参画。その後、そのノウハウを活かして独立し、企業向けの運用改善コンサルティングを行う。RACUUUNの企画、全体構想、プロジェクト管理などを担当。著書に『運用設計の教科書』『運用改善の教科書』(技術評論社)がある。
  • K-model<br>梅澤 健之(うめざわ・たけゆき)さん
    K-model
    梅澤 健之(うめざわ・たけゆき)さん
    株式会社K-model 専務執行役員。2012年よりシステム運用設計、運用改善を主な業務として多くのプロジェクトに従事。『運用設計の教科書』の出版にも初期より携わる。コンサルティング案件対応と並行し、RACUUUNの機能整理、プロトタイプの伴走型支援などを担当。
  • K-model<br>髙野 健太郎(たかの・けんたろう)さん
    K-model
    髙野 健太郎(たかの・けんたろう)さん
    株式会社K-model 執行役員。2017年よりシステム運用設計とシステム導入に関する方針策定支援を主な業務として多くのプロジェクトに従事。RACUUUNに実装させるデータ開発/整理、受入テスト、販売検討などを担当。
  • ソニックガーデン<br>田中 義人(たなか・よしと)
    ソニックガーデン
    田中 義人(たなか・よしと)
    株式会社ソニックガーデン プログラマ・開発責任者。大学卒業後、ソフトウェア開発会社を経て2017年にソニックガーデンへ。インフラや情シス周辺の活動を兼任しつつ『納品のない受託開発』の第一線で活躍。本案件では開発責任者を務める。
  • ソニックガーデン<br>長野 晋也(ながの・しんや)
    ソニックガーデン
    長野 晋也(ながの・しんや)
    株式会社ソニックガーデン プログラマ・開発メンバー。Web制作のフリーランスを経て、2022年ソニックガーデン入社。本案件ではフロントに立って顧客との対話とメインの開発を推進する。

運用設計のノウハウを「システム化する」挑戦

御社の概要をお聞かせください。
近藤の顔近藤
株式会社K-modelと申します。ITシステム運用設計コンサルティングと企業向けの教育や研修を行っています。
運用設計というのは、例えば銀行のATM障害とか、電車の遅延なんていう大規模な障害が起こった際に、誰がどう動くのか、どういうルールで動くのか、という動線の設計です。

小規模なシステムなら社会的な影響も限定的なので運用設計はあまり重要ではないのですが、大規模なシステムで障害が起こると被害も甚大になります。そういった障害をなるべく抑えることが目的なので、必然的に大規模かつ重要システムが対象となりますので、お付き合いするお客様も数万人規模の従業員を抱える製造業や金融系、電気ガス水道のようなインフラ関係と官公庁などになりますね。
それはルール作りみたいなことですか?
近藤の顔近藤
そうです。システムを含めた人の動きまで全てと考えていただいて結構です。現在はこの運用設計のノウハウを、ソニックガーデンさんにお手伝いいただきながら「運用設計プラットフォーム RACUUUN」に落とし込んでいるところです。

なぜ、今回運用設計のノウハウを「システム化する」という考えに至ったんでしょうか?
近藤の顔近藤
とにかく運用設計の認知が低いので広めたいという思いがありました。前職にいたころから、社内向けに運用設計のノウハウをレクチャーしていましたが、社内だと広がりに限界があります。なので書籍にして出版したら、ありがたいことにそこそこの部数が売れました。だけど、あまり広がっている感じはありませんでした。じゃあ直接教えてみようと思って今度は研修を始めました。

研修に行ってみると「めちゃくちゃ分かるようになりました!本読んでるだけじゃ分かりませんでした!」って言われるようになったんですが、これも年間それほど多くの件数を実施できるわけではないんですよね。
まだまだ効率が悪いということですね。
近藤の顔近藤
そう。僕らがやれる量、受けられる会社にも限りがある。らちがあかないんですよ。そんなある日に梅澤が「PCでポチポチしたら運用設計できるものがあったらいいよね」って言い出して。
梅澤の顔梅澤
研修をやりすぎていて「もはやデータベース構造化しているのでは?」という話をしたんですよね。それなら「もう作れるじゃん」と思って。
近藤の顔近藤
じゃあちょっとやってみるか、ということで起業しました。

30冊の開発書を読み漁ってたどり着いた、理想のパートナー

運用設計のノウハウを「システム化する」ことにどういったメリットがあるんでしょうか。
近藤の顔近藤
運用設計というのは、業界ごとに規定があるんです。例えば金融業界だったら金融庁が出しているルールがありますし、その他の業界でも、経済産業省が出しているガイドラインや、世界中から信頼を集めているサービスマネジメント方式があったりします。これらは似通っている部分や共通している部分もありますし、違いももちろんあります。

僕らはそれらを網羅していて、共通点にも違いにも精通しています。なので、押さえるべきところは押さえつつ、体制を構築してルールを決めるとこうなりますよ、という型を出すことができるんです。
なるほど、規定が守られた体制にすべきだけど、構築するにはかなりノウハウが必要なんですね。
近藤の顔近藤
そのとおりです。規定は守るべきですし、しっかりのっとっていないとそこから破綻することもあるんです。

従うべき規定はたくさんありますが、それを読み込んで設計して実際に人が動くところまで持っていくのにはすごくコストも時間もかかります。まだ価値を生んでいないルールを決める部分はぎゅっと短縮して、いきなり人が動ける体制を構築する、そういう「決めなきゃいけないことが全部入っている」設計のガイドになるシステムを作りたいと思いました。
なにせ運用設計している間は、生産性がゼロに等しいものですから。これを使えば大企業の生産性と品質を底上げできます。
近藤の顔近藤
いきなりルールが変わったり追加されたりということも本当に多いんですよ。それも弊社のシステムを導入していれば一瞬で設計できます。ゆくゆくは中小企業にもリーズナブルに利用してもらえるような体制に持っていきたいですね。
ソニックガーデンにご相談いただいたきっかけは何でしょうか?
近藤の顔近藤
われわれ3人はもともと同じSIerでエンジニアとして働いていました。エンジニアなのにプログラミングができないというタイプのエンジニアです。しかもインフラをメインで担当していたのでアプリケーション開発というものには縁がなかったんです。

SaaSを作りたいというイメージはあるんですけど、自ら作ることはできない。となれば、やはりどこかの開発ベンダーさんにお願いするしかないですよね。プログラマを雇ってしまうという道もあったんですが、どんなプログラマの方を採用すればいいのかわからない。
スタートアップあるあるですね。
近藤の顔近藤
そうなんですよ。いろんな人に相談したんですが、結局どうやってスキルを見分けるのかなんてもちろんわからない。そこで本を読むことにしたんです。開発関係の書籍を30冊ぐらい読んで、一番良いことを言っていたのが、ソニックガーデン代表の倉貫さんでした。
前代未聞のアプローチ方法です。
近藤の顔近藤
僕も書籍を執筆した経験があるので、良い本を書ける人がやっている会社はいい会社に違いないという考えがありまして。
倉貫さんの『人が増えても速くならない』を読んで、この人だ!と思いました。

対話と信頼、そして書籍が深めたチームの絆

実際に『納品のない受託開発』を利用してみて、いかがでしたか?
梅澤の顔梅澤
一般的に「開発」を依頼するとなると、要件をしっかり決めてそれに基づいて設計・実装をしていく、いわゆるウォーターフォール型になりますよね。当初われわれにはバシッとしたイメージがなかったので、多分一般的な受託開発の会社にお願いしても絶対に失敗するという確信がありました。

近藤の顔近藤
納品されても誰もコード読めないし、直せないし。
梅澤の顔梅澤
そうそう(笑)。だからこそ、対話しながら形を作っていくという『納品のない受託開発』の方針に惹かれたんですね。ばちっとはまりました。
髙野の顔髙野
まずK-model内でこうしたいああしたいを話し合って、それをお伝えして、開発してもらって返ってくるっていうこの一連の動作がとにかく早い。しかもこちらの想像どおりの形にしてくれるんですよね。これに応えられるソニックガーデンのお二人はすごいなというのが率直な感想です。

梅澤の顔梅澤
こちらがわーっと構想や要望を伝えるもので、お二人は混乱されてるんじゃないかなと思っていたんですが、ちゃんとこちらのリクエストに対して「こういうのはどうですか」「こういうことを考えないと後々困りますよ」とか的確なアドバイスをくださるんですよ。

純粋にすごいな、と思っていたんですが、さらに長野さんが近藤の出版した書籍「運用設計の教科書」「運用改善の教科書」を読んでくださって、そのタイミングから議論がより深まったというか、びしっと通じ合った感触があったんです。そこまでしてくれるんだ、と思って。かなり印象的な出来事です。
長野の顔長野
最初の半年ぐらい、何のために作っているのかが分かりきっていない、身体に入ってないなという感覚があったので、補完したい思いで読んでみました。開発責任者の田中さんはちゃんと読んでましたし…。
田中の顔田中
読んでよかったでしょ。
長野の顔長野
全部を理解し切れているわけではないですが、かなり深まりましたね。K-modelさんとのミーティング後に田中さんともう一度振り返りミーティングをして、自分の中にしっかり落とし込むという作業もしていました。

でも時間がたつにつれてそういったことをしなくても近藤さんたちと対話できるようになって、実装もできるようになって、僕はK-modelさんのシステムとともに成長してるんです。

小規模、フランク、アドリブにもすぐに応える現場

現在、サービスの状況はいかがですか?
近藤の顔近藤
開発をスタートして大体2年です。最初の1年でプロトタイプができて、付き合いのある方たちにちょっと見てもらったんですよ。かなり評判は良かったんですけど、要望がめちゃくちゃ出まして。この1年はそこをクリアすべく奮闘する期間でしたね。
幸いなことに完成を期待してもう購入を検討頂いてる会社さんもあるので、近々α版を公開できるように頑張ってます。

※「らくらく運用設計アプリ RACUUUN」α版の先行ショーケースを2026年4月22日(水)13:00~14:00にオンラインで開催予定です。詳細はこちら

すごいですね。もう目をつけておられる会社が。
近藤の顔近藤
ありがたいことです。α版を経て、2026年の4月頃にはもっと広くお披露目できるんじゃないかな。他にもお問い合わせいただいているので、期待には応えたいですね。
スタートして2年、最初の1年でプロトタイプを開発というお話でしたが『納品のない受託開発』の事例としては長めのスパンですね。開発のお二人はいかがでしたか、この2年間。
田中の顔田中
スパンは長いかもしれませんが、プロセス自体は変わりないので違和感はないです。ミーティングも定期的に行っていますし。ただ、規模の大きな企業に提供するサービスがゆえに最初からかなり高い完成度が求められたので、そこが少し大変だったかな。
長野の顔長野
スケジュールも開発の速度に合わせてもらえてる部分があるので。僕ら自体は小規模にフランクにやっているんですが、実際に使うのが硬派な大手になるっていうのが、気分としては不思議です。

プログラマとしてやりやすいと思うのは、リファクタやテストにちゃんと時間を使わせてもらえるところです。そのぐらいシステムの保守性をちゃんと考えてくれるお客さんというのは貴重です。

近藤の顔近藤
技術的負債を抱えるぐらいだったらリリースを伸ばすという方針なんです。こちらはソニックガーデンさんを全面的に信頼してるんで。「長野さんがそう言うならそうしましょう」です(笑)。
そういうふうに信頼を寄せていただけるのはうれしいですね。「伴走」の甲斐があるお話です。
K-modelさんとソニックガーデンのチームで開発合宿もされたとか。
近藤の顔近藤
やりましたね。さすがにずっとリモートでやってると「ここは会って話した方がいい」とか「ホワイトボードを使ってやりたい」という気持ちも出てくるんですよね。

この前はシステムのメニューを全部サイドバーに集めたい、という話をして、イメージのアイデアを出し合ったりしてたんですよ。そしたら田中さんが急に喋らなくなって。次に口を開いたら「できました」ってサイドバーをどん、と出してきて。
田中の顔田中
その後すぐ体調を崩したという(笑)。
近藤の顔近藤
「寒くなってきました」って言って、打ち合わせ後の懇親会は帰っちゃったんですよね、成果物だけ残して。打ち合わせの最中にものを作ってしまうなんて、普通の受託開発の会社は絶対やりません。強烈に印象的な出来事です。1回の打ち合わせで構想から完成まで完結するなんて。
田中の顔田中
実際に会える貴重な機会ですから、その時に見せたらすぐにフィードバックもらえるじゃないですか。
近藤の顔近藤
フィードバックもらうも何も。じゃあもうこれ、長野さんに実装してもらえばいいですね、で終わり。あれは感動しました。

志はあるが、作り方が分からない——そんなスタートアップにこそ「伴走者」を

では最後に、『納品のない受託開発』をおすすめするとしたら、どんな会社だと思いますか?
近藤の顔近藤
何かやりたいことはあるけれど、エンジニアのスキルの判断はつかないし、プログラマの知り合いもいない、みたいな会社ですね、われわれのような。志はあれどもどうしていいか分からないっていう方にはかなりフィットするだろうなと思います。
髙野の顔髙野
今、近藤も言ったように、アプリケーションを作りたいという志はあるけどどうしたらいいか分からないっていう会社さんですね。
特に推したいのは「納品して終わり、じゃない」というところです。そこが一番のメリットだと思っています。末永く育てていくアプリケーションを作りたい会社さんにはベストなんじゃないかな。
梅澤の顔梅澤
ずっとソニックガーデンさんと一緒にやってきて「いいな」と思ったのが、リモートで当たり前のようにやりとりができるところですね。そういう環境が当たり前の中でお仕事されてる。いろんな場所で伸び伸びやられてる。

そういうある種のフランクさに違和感がない会社さんだったら、普段の気分で仕事ができて効率がいいんじゃないかなと思います。あんまり肩肘張らずに、でもやることはやる、みたいなタイプのお客さんにはすごくしっくりくるんじゃないでしょうか。
まだまだ道半ば、今後もしっかりと伴走させていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

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