ブログ

技術書典18参加レポート〜弟子プログラマがWebアクセシビリティと出会い、本を書いて届けるまで

愛知県瀬戸市で弟子プログラマをしている misamisa です。

このたび、同じく瀬戸で弟子として働いている nobo と一緒に「Webアクセシビリティの扉を開く」という書籍を作り、技術書典18に初出展してきました!

「技術書典って気になるけど、どんな風に本を書くの?」「ソニックガーデンの弟子たちはどんな技術に関心があるの?」といった疑問にお答えできればと思い、今回のレポートを書くことにしました。

参加者本人の視点から綴った内容ですので、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。

執筆のきっかけ

以前お知らせ記事として出ていた通り、私とnoboでTechGALA ハッカソンで視覚障害者向けの IDE を開発しました。現在もそのチームで活動を継続しており、開発は進行中です。この経験を通して、「Webアクセシビリティ」という技術分野に出会いました。

日々、瀬戸オフィスで開催しているランチ勉強会でこの話題が挙がったとき、「興味はあるけど、どこから手をつけていいかわからない人が多そうだよね」と盛り上がり、そこから「初心者向けの Webアクセシビリティ本を作ってみよう!」と動き出しました。

執筆前の準備

まずは基礎知識を固めるために、関連書籍を読み、アクセシビリティ関連の勉強会にも参加しました。

特に参考にした書籍は以下の2冊です:

  • 『HTML解体新書: 仕様から紐解く本格入門』
  • 『Webアプリケーションアクセシビリティ──今日から始める現場からの改善』

※とくに後者の書籍は、視覚に関する内容だけでなく、さまざまな障害への配慮が体系立てられていてとても勉強になりました。

また、TechGALA ハッカソンで知り合った視覚障害のあるエンジニアの方からお誘いいただき、アクセシビリティの勉強会にも参加しました。実際に当事者の声を聞けたことで、「このテーマで伝えたい!」というモチベーションがさらに高まりました。

なかなか筆が進まない…

3月上旬にざっくりとした執筆計画を立てたのですが、噂通り、思うように筆が進まず苦戦しました。

「締切はまだ先だから…」と油断していたことや、書籍で取り上げる予定だった「Vision Code」アプリの開発が思うように進まなかったことが主な原因です。

また今回Re:VIEW Starterというツールを使用したのですが、この執筆環境の構築に思いのほか、手こずってしまいました。 最終的には5月上旬にギアを入れ直し、なんとか書き上げることができました。 表紙の作成には Adobe Photoshop と OpenAI の Soraをフル活用して、見栄えのするものをなんとか完成させました。

フィードバックをもらう

原稿入稿前には、親方であるいちろーさんや Vision Code のチームメンバーに読んでもらい、フィードバックを受けました。

初心者向けにハンズオン形式を盛り込んだ結果、コードの掲載量が多くなり、逆に読みにくくなっている箇所があるという指摘がありました。また、音声読み上げソフトの操作説明についてもいくつか修正点をいただきました。

執筆中は「伝えたいことがたくさんある!」という気持ちで情報量を詰め込んでいたのですが、読み手に伝わるかどうかの視点が抜けていたと気付かされました。とてもありがたいフィードバックでした。

いざ入稿!……でもトラブル発生

当初は5月中旬に入稿予定だったのですが、最終的には5月末ギリギリのタイミングで入稿することに。表紙と本文を印刷所に送って一安心……と思いきや、数日後、スマホに着信が。嫌な予感を抱えながら出てみると、「表紙データに不備があります」との連絡。

印刷所の方の丁寧な対応に助けられ、修正版を提出し、なんとか締切日に間に合わせることができました。

ちなみに発行部数は30部にしました。 技術書典初参加だったこともあり、売れ残るよりは、売り切る達成感を優先しました。

技術書典当日!

当日は9時ごろから会場入りして準備を開始。他の出展者さんたちも思い思いの展示をしていて、開場前からワクワク感が高まっていきました。

そして、開場。最初にブースに立ち寄ってくださったのは……なんと親方のいちろーさん! 激励の言葉をいただき書籍も購入していただきました。

その後は徐々にブースへの来訪が増え、本の内容にも関心を寄せてもらえるようになってきました。

参加者の方と実際に話してみると、Webアクセシビリティに興味のある方はとても多く、中には実際にサービスに導入している方や、公共機関で取り組んでいる方も。 「アクセシビリティってよく聞くけど、実際には何を指すの?」という質問もあり、さまざまな立場の方に本を届けることができたと実感しました。

そして14時を過ぎた頃から人の流れが加速。15時半には、無事30部完売! 最後の数冊が一気に売れていき、達成感を噛みしめる間もなく、撤収準備に追われました(笑)

参加しての感想

執筆中は出口が見えず、進捗を一定のペースで出し続けることに苦戦したり、モチベーションが下がってしまうことも多々あり、苦しかったです。

ですが、当日ブースに立ち、多くの方と直接お話しする中で「また出たい!」と思えるような、とても良い経験になりました。

自分が興味を持っているテーマを形にして発信することは、視点が広がるだけでなく、新たなつながりや発見にもつながるんだと実感しました。

次回は、Webアクセシビリティの導入事例を交えた改訂版にするか、新装版にするか未定ですが……ぜひまた出展したいと思っています!

最後までお読みいただきありがとうございました。


弟子3期生を募集しています

ソニックガーデンでは現在、弟子プログラマの3期生を募集しています。
徒弟制度の元で、親方と共に働き成長したいプログラマ志望の方をお待ちしています。

詳細・応募はこちら↓

この記事を共有する