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『ありがとうポスト』〜【前編】効率化からの脱却で閃いた。スマホから「想い」を伝える高級和紙のお礼状 2015年02月12日

ありがとうポスト

今回は、「ありがとうポスト」を展開されている株式会社ミロク情報サービスの堀さん、山崎さん、板倉さんをお迎えしました。「ありがとうポスト」(http://www.aripo.jp/)は、スマホからの操作でユネスコ重要無形文化遺産の和紙ハガキでのお礼状を送れる印刷発送サービスです。ソニックガーデンでは最初のブレストの段階からローンチ、運営までお手伝いしています。「納品のない受託開発」を担当した野上、安達と共に開発の様子を伺いました。

  • 【前編】効率化からの脱却で閃いた。スマホから「想い」を伝える高級和紙のお礼状
  • 【後編】「ちょっといっちゃう?世界遺産!」一本の電話と熱い気持ちが新規サービスを生み出した
  • 堀様、山崎様、板倉様、野上、安達のご紹介

    知識は吸収できるが、気持ちだけは教えられない

    倉貫の顔倉貫
    今日は『ありがとうポスト』というサービスをされているミロク情報サービスのお三方に来て頂きました。まずは自己紹介をお願いします。

    堀の顔
    堀です。この事業部の部長をやっております。ビジネス情報サイトbizoceanや家計簿アプリなど、色々なプロジェクトの立ち上げに携わって参りました。今回、新しいサービスをゼロベースから立ち上げることになり、2人のメインプレイヤーをアサインし、私はアドバイザーという立場で関わっております。

    株式会社ミロク情報サービス堀様

    山崎の顔山崎
    山崎です。元々起業を考えていたんですが、新しいことをやらせてもらえるということで入社しました。最初はbizoceanに関わり、1年経って「新規サービスをやれ」と指示されて、とりあえず始めました(笑)

    倉貫の顔倉貫
    大任を任されたわけですね(笑)

    山崎の顔山崎
    そうですね。最初は何も手がかりがなく、「bizoceanで請求書が人気だからなんかやったら?」という意見があったので、まずはそれから始めました。ですが、なかなかうまくいかなかったんですね。そこで試行錯誤しているうちに『ありがとうポスト』を考えついて、やっています。

    株式会社ミロク情報サービス山崎様

    倉貫の顔倉貫
    このプロジェクトの、いわゆるプロジェクトリーダーですね?それまでにもビジネスを立ち上げるお仕事をされてきたんですか?

    山崎の顔山崎
    いいえ。以前はプログラマーとして受託で案件を受けたり、ホームページを作ったりという経験しかなかったです。

    倉貫の顔倉貫
    ちなみに、堀さんはなぜ山崎さんをアサインされたのですか?

    堀の顔
    うちのメンバーで一番折れそうもなかったからです(笑)気持ちがあれば知識は吸収できますし、スキルもついてくると思うんです。ですが、気持ちだけは教えられないんですよね。新しいビジネスでは必ず壁につきあたりますし、文句を言う人間も出てきます。僕もそれをずっと経験してきて、やっぱり一番重要視するのは折れない心だと思っているんです(笑)

    「自ら創造して、自ら形にして、自ら売る」、これをすべてやってこそ、ビジネスは面白い

    板倉の顔板倉
    板倉と申します。前職はウェブディレクターでした。2年間、主人の海外赴任で中国に住んでいました。11月に入社しましたが、その時点で『ありがとうポスト』はすでに動き始めており、今は主に『ありがとうポスト』のプロモーションを担当しながら、ウェブディレクター業務もやっています。

    株式会社ミロク情報サービス板倉様

    倉貫の顔倉貫
    ではソニックガーデンの開発者の2人も自己紹介をお願いします。

    野上の顔野上
    野上です。メインのプログラマーとして担当させて頂いています。

    安達の顔安達
    安達です。野上さんのサポート、プロジェクト自体のサポートをさせて頂いています。野上さんは岡山からのリモート勤務なので、スカイプ越しでプロジェクトを進めるという初めての経験に、ミロクさんにも付き合って頂く形になりました。

    株式会社ソニックガーデンCIO安達

    倉貫の顔倉貫
    最近ソニックガーデンの中では、メインプログラマーのサポートをするメンバーのことをナビと呼んでいます。車の運転をするときに助手席にいる人のイメージです。運転をしている人は目の前のことを見てしまうので、遠くのゴールを見るのがナビの役割です。

    倉貫の顔倉貫
    では、今日お話し頂く『ありがとうポスト』のサービスについて、簡単に読者の皆さんに説明をして頂けますか?

    堀の顔
    弊社は、株式会社ミロク情報サービスと申しまして、財務会計システムの会社です。私どもの事業部は、そういった会計システムではない社内ベンチャーの事業部として、「新しいのビジネスを成功させる」ことがミッションです。現在メインプロジェクトとして動いているのが、日本で最大のテンプレートサービスといわれているbizoceanというサイトです。現在ビジネス会員様が140万人いまして、月間20万件のダウロードがあります。

    倉貫の顔倉貫
    すごいですね。

    堀の顔
    ありがとうございます。今後はさらにその事業部の売上を伸ばすことを目指しております。僕はビジネスを楽しむ人間を増やしたいので、社内ベンチャーの事業部の中に、さらにベンチャープロジェクトを作ったという形なんです。「自ら創造して、自ら形にして、自ら売る」、これをすべてやってこそ、ビジネスというのは面白いと思うんです。今回のプロジェクトはその第一号にあたります。なので、コンセプトや事業ドメインをどこに置くのかという話はまったく何も言わずに、「とりあえず何かつくって売上をあげて」という無茶ぶりをしたわけです(笑)。

    倉貫の顔倉貫
    ビジネスを生み出しさえすれば何をやってもいいということですね(笑)

    堀の顔
    そうです。ただいきなり、会計システムの会社なのに、お寿司屋さんをやりたいとか、初期投資がものすごく高いとか、そういうのは無しとは伝えました。ある程度、初期投資がどれくらいか読めて、かつbizoceanにはビジネス会員様が多くいらっしゃいますので、「それをうまく生かして何か考えてね」と振ったのが今回のプロジェクトです。

    直感的にソニックガーデンを選んだ

    倉貫の顔倉貫
    山崎さんは、今回のゼロから立ち上げるという話を聞いて、最初にどういうアクションをとられたんですか?

    山崎の顔山崎
    一昨年からbizoceanで「オンラインで送付状や請求書を作れたら便利かもしれない」という声を聞いたので、まずはオンライン請求書をつくろうと思ったんです。

    「ダウンロードする必要なく、画面上で書類を作れます」山崎様

    山崎の顔山崎
    最初はbizoceanのプログラマーをやりながら、オンライン請求書のシステムを僕自身が片手間で作ろうと考えていたんです。けれど有料化するとなると、他にやるべきことがどんどん増えていくだろうし、開発の部分は外に出さないと厳しいだろうと思い、ソニックガーデンや他の開発会社さんにも相見積を取らせて頂きました。

    堀の顔
    ソニックガーデンさんを選んだ理由は何なの?

    山崎の顔山崎
    まず、はてブをよく見ているので倉貫さんの記事は何度も見たことがあって、「ソニックガーデンさんは他とは違うな」というのは最初からすごく感じていました。実際に初めてお会いしたときも、ここがたぶん最強だろうと思いましたね(笑)

    倉貫の顔倉貫
    うれしいですね。

    堀の顔
    直感的に思ったってことかな?直感ね、結局(笑)。

    ウォーターフォール的なやり方はもう古い

    山崎の顔山崎
    そうですね、直感ですね(笑)ここしかないだろうと思いまして。それに、RubyやRailsにも興味はあったので、ぜひ一緒にやって色々情報を得ようかなというのもありました。

    堀の顔
    あと、ウォーターフォールもダメだったんです。

    「ウォーターフォールもダメだったんです」堀様

    山崎の顔山崎
    そうですね。まず何を作っていいかのか分からないし、何が必要とされているかも分からない状況だったので、ソニックガーデンさんはそこから一緒に考えてくれるという点が一番良かったですね。

    倉貫の顔倉貫
    でもミロクさんのような大きな会社では、しっかりチェックして進めていくウォーターフォールが普通のやり方ですよね?ウォーターフォールがダメだというのは、この事業部ならではなんですか?

    堀の顔
    そうですね。

    倉貫の顔倉貫
    今回のこの社内ベンチャーの事業部では、もう昔からウォーターフォールじゃないやり方をしていたんですか?

    堀の顔
    いや、今回のプロジェクトで初めてですよ。あまりに時代の流れが早いので、アジャイル開発の手法で、プロジェクトを立ち上げるのが正しいと考えたんです。

    プロダクトのイメージのみで、それを作ってどう売っていくのかプランもない状態だった

    倉貫の顔倉貫
    最初に来て頂いたときに、「何をつくるかもまだ決まっていない」とお聞きして、「その上司は大変なことを言いましたね」と話した記憶があります(笑)当時はまだ堀さんとはお会いしていなかったので、「すごいミッションを与えられましたね。どうしていきましょうか」というような話をしたんですよね(笑)

    山崎の顔山崎
    一応チーム内ではオンライン請求書という案が出ていましたが、明確には決まっていない段階でしたね。

    「明確に決まっていない段階でした」山崎様

    倉貫の顔倉貫
    プロダクトのイメージはあるんだけど、それを作ってどう売っていくのかというところはまだプランもない状態だったので、「じゃあ、そこからなんとか一緒に考えてやっていきましょうか」という風にスタートしたんですよね。

    山崎の顔山崎
    そうですね。

    倉貫の顔倉貫
    そこからすぐに開発に入ったのではなく、その前にいろいろお話をして検討したんでしたっけ?

    山崎の顔山崎
    そうですね。請求書の業務について、まず士業の方や経営者の方にヒアリングをしたところ、皆さんExcelで作っていて困っていないという答でしたが、何人かの方が「封筒を作って送ることが面倒くさい」とおっしゃっていたので、そこの部分だけまずはやってみようという形で始めましたね。

    倉貫の顔倉貫
    何名くらいの方にヒアリングされたんですか?

    山崎の顔山崎
    5人くらいですかね。2013年の11月のことです。そこで郵送機能が必要だという判断をし、郵送のシステムも含めて作り始めました。

    要件定義無しに形が出来上がってきて驚いたが、形があることが重要だった

    倉貫の顔倉貫
    そのときに野上さんと一緒に開発を始めたんですね。開発の進め方はどうでしたか?

    山崎の顔山崎
    概要を話してあったので、簡単なフォームがすぐに出来上がってきて、早いなと感じました。これまではこちら側で要件定義とか、画面ぐらいは作ることが普通だったので、それ無しにいきなり形が出来上がってきたので驚きました。その形が見えると、「ここが変だな」というのもすぐに見えてくるので、やっぱり形があるっていうのはすごく重要だなと思いました。実際動くプログラムを見られるという点が本当に良かったです。

    倉貫の顔倉貫
    実際のものを見ながら進めていくという感じですね。それで開発を進めて、実際にローンチをしたのはいつでしたか?

    「実際にローンチしたのはいつでしたか?」株式会社ソニックガーデンCEO倉貫

    山崎の顔山崎
    2月ぐらいでしたかね。

    倉貫の顔倉貫
    結構早いですね。3カ月でもう出してしまったということですね。ローンチに向けて苦労したところはありますか?

    山崎の顔山崎
    オンラインで作成した頂いた請求書を発送する部分のAPIで苦労しましたね。そこをなんとか乗り越えてローンチしたんですが、更なる苦労が待っていました。

    倉貫の顔倉貫
    どんな点ですか?

    山崎の顔山崎
    bizoceanのメルマガなどで告知すると、想定通りの人数の方が登録はして下さったんですが、そのあと使って貰って課金するというところまでいかなかったんです。

    倉貫の顔倉貫
    なるほど。ヒアリングしたときは困っている人が何人かいたけれど、実際にローンチしてみると、そこまで困っている人はいなかったということが分かってきたんですね。次のアクションはどうされたんですか?

    山崎の顔山崎
    次のアクションは、請求書に付加価値をつけようと考えて、送付状を簡単に作れる機能を追加することにしました。送付状と、季節のあいさつなども入れられるよう、イラストなども準備しました。

    「付加価値をつける方向でいきたかった」山崎様

    倉貫の顔倉貫
    お客様からのその反応はどうでしたか?

    山崎の顔山崎
    その反応を取る前に、このままではまずいという感覚があり、もうお礼状のほうに動き始めていましたね。

    失敗して本当に困ったら俺の言うこと聞くだろうなと思って、横で見ていた

    堀の顔
    本人を目の前にして言うのもなんですけれども、最初から新規ビジネスで「こうやってこうやるんだよ」という話をしても、きちんとは聞かないですよね。実体験としてないので。まずは失敗するまでだまっていたんです。

    まずは失敗するまで横で見ていたんです」堀様

    倉貫の顔倉貫
    それはすごく分かりますね。

    堀の顔
    失敗して本当に困ったら俺の言うこと聞くだろうなと思って、横で見ていたんです(笑)

    倉貫の顔倉貫
    最初は自分に自信がありますからね。

    堀の顔
    でも、なかなか結果が出ない。だから、「もう1回、サービスのコンセプトから見直そう」と。そうやって、コンセプトやターゲットの話をしているときに、僕が「請求書を効率的に出したいとか、面倒臭いを解消したいんだったら紙はいらなくない?」と提案したんです。「一部のベンチャー会社ではPDFでやり取りするのが当たり前になっている。紙そのものが邪魔なんだ。効率化ということがコンセプトにあるなら、そこを徹底的に磨け」と話したんです。

    胸に想いがあったからこそ、こだわる場所が効率化から180度変わった

    堀の顔
    そうしたら山崎が「違う。いやなんだ」と言うわけです。「実は僕のお父さんが写真のバイヤーさんなんだ」と。それもすごく高い写真を扱うそうです。要するに、「高級写真を扱っている職業に就いていて、その紙がものすごく素晴らしいのを知っている。だから、僕はこの素晴らしい紙というものはどうしても捨てたくないんだ」と。

    倉貫の顔倉貫
    情熱がありましたね。

    堀の顔
    「なるほどね。そこだね」と道筋が見えてきました。じゃあ何が一番必要なのかというと、ニッチなマーケットを狙えとか、競合との差別化とか、教科書にはたくさん書いてあるし、ビジネススクールでも散々言うけれど、そうじゃないと私は思うんです。最後には、たった1人の熱い気持ちが世の中を変えるんだと伝えました。

    「たった1人の熱い気持ちが世の中を変える」堀様

    倉貫の顔倉貫
    いいですね。

    堀の顔
    「だったら、紙にこだわれ。請求書だったら、ものすごく高価な紙で請求書を送ればいいよ。そのほうがお客さんは感動してお金を5倍ぐらい払っちゃうかもしれないよ」と話しました。

    倉貫の顔倉貫
    逆転しましたね。さっきまで効率化効率化と言っていたのが、こだわる場所が180度変わりましたね。

    堀の顔
    そうですね。山崎の胸に想いがあったからこそです。「それなら紙にこだわって徹底的にやれ」という方向になりました。そうしたら、山崎が「分かりました」と言って、「高級和紙」で検索し始めたんです(笑)

    世の中に伝播しているサービスは、たった1人の本当に強烈な感情に基づく

    堀の顔
    「そこまで紙にこだわるのなら、請求書じゃなくて何かないの?」と言ったら、今度は「堀さん、見つけました。お礼状です!気持ちを伝えるのはプライスレスです。紙にこだわるんだったら、気持ちのこもったお礼を送るっていうコンセプトに変えたほうがいいと思います」と山崎が言ってきたんです。それは面白いねと思いました。今やお礼状っていうのは、メールで出すのが当たり前ですよね。

    倉貫の顔倉貫
    そうですね。

    堀の顔
    もう住所も打つのが面倒くさいから、最近はFacebookかLINEになってしまっている。そんな時代だから逆振りがあるな、と。あえて、こういう時代だから逆に振ってみよう!やろう!と始まったのが、この『ありがとうポスト』なんです。

    「こういう時代だからやろう!と始まりました」堀様

    倉貫の顔倉貫
    山崎さんには、このプロジェクトをやるにあたって紙を使う理由があったんですね。堀さんはそれを聞いて、上司としては、本当は効率化だと思っていたけれど、山崎さんの熱いハートを入れ込まないと事業としては立ち上がらないと判断されたんですね。

    堀の顔
    そうですね。オンリーワンのサービスを作るとか、世の中に伝播しているサービスは、やっぱりたった1人の本当に強烈な感情に基づくと僕は思っていますので。

    倉貫の顔倉貫
    自分の信じたものでやると、納得いきますよね。しかも、これで上司が折れてくれたとなったら、もう逃げられないですからね(笑)「上司の言った通りにやったのに」という言い訳も通用しませんし。でも、そこはすごい決断でしたね。

    後編に続く

    【お知らせ】ソニックガーデンの本が出ました!

    リモートチームでうまくいく~マネジメントの"常識"を変える新しいワークスタイル

    企業に所属することで得られる安定と、自分の好きな場所で働く自由を両立できる新しいワークスタイルとして注目を集めている「リモートワーク」。本書はそのリモートワークが抱える問題に対してソニックガーデンが実践してきた取り組みと、そのノウハウから生まれた「リモートチーム」というマネジメントの手法についてまとめています。あらゆる組織、チームのマネジメントと個々人の働き方を考えるヒントとなる一冊です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)

    「納品」をなくせばうまくいく~ソフトウェア業界の"常識"を変えるビジネスモデル
    「納品」をなくせばうまくいく 表紙

    本書は、IT業界の、とりわけソフトウェア開発の業界で〝常識〟とされているビジネスモデルを変えてしまおうという試みです。ソフトウェア業界にはびこる多くの問題を解決するために取り組んだ新しいビジネスモデル「納品のない受託開発」について書いています。「受託開発」なのに「納品」をしない、なぜそんなことをやっているのか、そして、なぜそんなことが実現できるのか、その秘密について解説したのが本書です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)