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「AnkiBlank」ができるまで【その1】~個人がソニックガーデンに発注!?良い製品の秘訣は「自分が欲しいものしか作らない」~

本連載では、「納品のない受託開発」の成功例の一つである「AnkiBlank」の開発の経緯と、リリースまでの振り返りを発注元でありプロダクトオーナーの「ダヴィンチウェア」氏とソニックガーデンCEOの倉貫氏、プログラマーの西見氏の3名の対談形式でお送り致します。
本連載は全3回の予定です。


「暗記シートのアプリケーションを作りたい」という思いを抱えて、ソニックガーデンの扉をたたいたのは、顔の見えないプロダクトオーナーでした。

昼の顔と夜の顔

倉貫義人氏(以下、倉貫氏):はい、始めたいと思います。『AnkiBlank』の振り返りをしたいということで。『AnkiBlank』をリリースしてから、もうだいぶたちましたね。

???氏:そうですね。

倉貫氏:いつリリースしました?

西見公宏氏(以下、西見氏):4月くらい。

倉貫氏:それからもう3カ月、4カ月くらい経ったと思うんですが * 、改めて振り返りをさせてください。

???氏:はい。こちらの世界では『ダビンチ・ウェア』という個人事業主。アプリケーションを作ってまして、昼間は別のお仕事をやっています。会社員をやっています。会社員もIT系なんですけれども、B to Bの仕事で、個人的にちょっとB to CとかIT系をやりたかったので、iPhoneアプリを作ることで、今そういうことをやって挑戦しているというところです。

倉貫氏:なるほど。じゃあ、昼の顔と夜の顔が、別の顔で?

???氏:そうなんですよ。なので、先ほど出ているとおり、夜の顔は『ダヴィンチウェア』で、会社にばれてしまうと面倒くさいというか…(笑)。

倉貫氏:そうですね、大変なことなので。今日は「ダビンチ」さん、顔出しNGで。

???氏(以下、ダビンチ氏):顔出しNGで。こんなお面まで用意していただいてありがとうございます。

倉貫氏:はい。では、もう一方よろしくお願いします。

西見氏:はい。ソニックガーデンの西見です。プログラマーです。『AnkiBlank』の開発をしました。

倉貫氏:主にどの辺を担当されたんですか?

西見氏:主に、サーバーサイドですね。『AnkiBlank』はiPhoneアプリなのですが、サーバーと連携してデータをiPhoneとWebとで同期することができます。このサーバーサイドの機能を開発しました。この事例については『Think IT』というIT系情報サイトで記事 ※1 を書かせていただきました。

※1 「スマホ&Heroku連携!事例に学ぶ無駄のないチーム開発の極意」 ThinkITにて、弊社西見による連載記事。

倉貫氏:ありがとうございます。ちょっと『AnkiBlank』というのを簡単に紹介してもらっていいですか?

ダビンチ氏:そうですね。『AnkiBlank』なので「Blankを暗記する」と、そういう意味で付けたんです。

倉貫氏:「Blankを暗記する」ということは?

ダビンチ氏:あるまとまった文章を暗記したいって結構いろんなシーンであると思うんですけれども、例えば英語の例文の暗記であったり、せりふであったり。そういった、まとまった文章を暗記するためのアプリケーションです。文章の中の自分が覚えにくい部分を空欄に表示することによって、そこを集中的に覚えることができるという、そういったアプリケーションです。

倉貫氏:じゃあ、単語帳とかではなくて文章になっている?

ダビンチ氏:そうですね。

倉貫氏:穴埋め問題を作る?

ダビンチ氏:穴埋め問題になっていると。簡単に自分の好きな文章を、何て言うんでしょうか…穴埋め問題として自由に作れる、そういったアプリケーションですね。

倉貫氏:なるほど。別に英語に限らず、何語でも?

ダビンチ氏:はい。英語でもフランス語でも日本語でも何でもいけます。

倉貫氏:昔、受験のときにあった緑のシートですね。

ダビンチ氏:ああ、そうです。暗記シートですね。

倉貫氏:暗記シート。

ダビンチ氏:昔懐かしの。

倉貫氏:なるほど。実は暗記シートをiPhoneアプリにしてしまったと?

ダビンチ氏:そうですね。結局、最終的にはそういうコンセプトになりましたね。

倉貫氏:おお。最初はもうちょっと違った感じで?

ダビンチ氏:最初は、もう本当に、僕が自分で英語を勉強する『DUO』っていう例文集がありますね。

倉貫氏:ありますね。有名な…

ダビンチ氏:あれを暗唱するときに、既存の単語帳だとどうしても、表裏すべて例文の答えが見えてしまう。そうすると、自分が答えを見たときに覚えた気になっちゃうんですね。一言一句を本当は覚えなきゃいけないのに、英文が全文見えちゃうので、本当は覚えていない部分まで自分が覚えているように思えてきてしまうので。それを改善するために少しずつ例文の一部を隠せるように、空欄にできるようにしたと。

*対談は9月に行われました。

自分が欲しいものしか作らない

倉貫氏:じゃあ、もともとは自分で欲しかったの?

ダビンチ氏:そう。自分が欲しいアプリケーションしか作らない、作れない。

倉貫氏:そういうポリシーでしているということですね?

ダビンチ氏:そうですね。

倉貫氏:これまでたくさん作ってこられたのも、自分で欲しいなというのを?

ダビンチ氏:そうです、もちろん。自分が欲しいものを突き詰めることが、やっぱりいいアプリケーションやいいソフトウェアができることだと思っていて。

倉貫氏:なるほど。自分の欲しいものだといいものが作れるということですね。

ダビンチ氏:はい。

倉貫氏:そんなダビンチさんが、これまではiPhoneアプリ作ってきていて、今回ソニックガーデンに…確か突然ですよね?

ダビンチ氏:はい、そうですね(笑)。

倉貫氏:突撃訪問をいただいて、そのきっかけってどういう感じだったんですか?

ダビンチ氏:きっかけは、前から多分倉貫さんのブログだと思うんですけれども見させていただいていまして、開発のアプローチが非常に面白い会社だなと思っていまして。いつか一緒に仕事をできたらということは、前から思っていたんです。今回たまたま、先ほど西見さんが言ったとおり、ウェブ側の実装が必要なアプリになったということで、もうここは頼むしかないと、来たと。

倉貫氏:なるほど。お問い合わせフォームから来ましたね。

ダビンチ氏:ええ。ただ、私は先ほど言ったとおり個人で、非常に零細でやっているので、ソニックガーデンという「会社」に対してアプローチしても「どうなんだ?」と「はじかれてしまうんじゃないか?」という心配があったんですけれども、まあダメならダメでそれはいいやということで、お問い合わせフォームでメールさせていただいて、倉貫さんから「会いましょう」と。

倉貫氏:そうですね。私も「これはどうしようかな…」と、最初ちょっと無視しようかって思ったんですけれども…

ダビンチ氏:ああ、やっぱり(笑)。

倉貫氏:でも、やっぱり会ってみないと分からないし。

ダビンチ氏:ありがとうございます。

倉貫氏:ちょっと面白そうかなというので、ぜひちょっとお会いさせてもらおうかというところで来ていただいたということですね。

ダビンチ氏:本当に返信をもらえただけで嬉しかったです。ブログを書いている方に話ができるというだけでも。

倉貫氏:いや、僕は会うまでにちょっとドキドキしましたね、やっぱり。どんな人が来るんだろうなと(笑)。

ダビンチ氏:そうでしょう(笑)。

倉貫氏:顔出ししていないしな…なんて、でもいろいろアプリを作ってらっしゃるというのは分かったので、ぜひお会いして新しいコラボができたらなと。いらっしゃったときに、当時ちょうどソニックガーデンではインターンを受け付けていて、インターン生が作るテーマがなくて何をしようか…本番のソフトウェアを作るにはまだまだ腕が足りないしというところで、「そのインターンの方で、今回はお金もないから、研修生モードで良ければやりましょうか?」というところでスタートしたのがきっかけでしたね。

ダビンチ氏:それが非常にタイミングも良かったのかなというのがあって。だから本当に、ここにも書いていますけれども、僕がソニックガーデンを前から注目していたというアンテナを張るというのと、ダメ元でやるという、一歩を踏み出すみたいなところと、あとは研修生というタイミング、この3つが揃って今回の話になったので、その辺はどれか1つなくても多分できなかったというのがあって。

倉貫氏:タイミングが良かったですね。

ダビンチ氏:縁だなと。

倉貫氏:縁が、本当にありましたね。

倉貫氏:ということで始まった開発なんですが、結構ソニックガーデンとしては、これまではウェブのアプリをひたすら作ってきているんだけれども、iPhoneアプリってまだローンチしたことがなくて。iPhoneアプリを作る、ここがまた謎の人物のモトさんという方がいて、謎の人物のダビンチさんと謎の人物のモトさん、モトさんはiPhoneアプリの開発専門の方ですね。その方がiPhoneアプリのほうを作られて、我々のほうはサーバーサイドを作ると。実は僕らはまだ一度もモトさんにお会いしたことがないので。

ダビンチ氏:そうなんですよね。

倉貫氏:一度も会わずにできたということですね。その開発の仕方とかソニックガーデンでインターンの面倒役を西見がみながらやったんですがどうでしたか?

ダビンチ氏:先ほどおっしゃったとおり、僕が実際にiPhoneアプリをプログラミングしているわけではなくて、モトさんという方に委託してやっていますということで、私の立場から言うと委託先が2カ所に今回はなった…

倉貫氏:そうですね。

ダビンチ氏:モトさんにiPhoneアプリを作ってもらって、そこの接続先のウェブサービスをソニックガーデンということで、私にとっても初めての経験だったんですけれども…

倉貫氏:大規模開発ですね(笑)。


突然開発の依頼を受けたソニックガーデンと初めてプロダクトオーナーとなったダビンチさん。開発がスムーズにいった秘訣とは?
次回は予想以上の大規模開発になったAnkiBlankの開発の様子をお伝えします。

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