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職人技だった海外与信管理ノウハウを標準化。海外で戦う日本企業を後押ししたい:コノサー【前編】

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今回は、海外取引担当者が安全・安心にビジネスを拡大できるように海外取引に関するリスクを分かりやすく紐解き、組立て、解決するWEBサービス「コノサー」を展開されている三井物産クレジットコンサルティング株式会社から飯田氏、富井氏、谷津氏をお迎えしました。
事業を立ち上げるにあたり、その情熱の源になった体験や、コンサルティング期間を経て、職人技である知識を落とし込んだサービスをローンチさせるまでの経緯をお聞きしました。

  • 職人技だった海外与信管理ノウハウを標準化。海外で戦う日本企業を後押ししたい:コノサー【前編】
  • 新規事業の立ち上げに大事なのは、恥ずかしさを捨てて熱い想いを語ること!:コノサー【後編】
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    海外取引のリスクマネジメント(与信管理)で安心安全を提供するコノサー

    倉貫の顔倉貫
    今日は宜しくお願いします。まず最初に会社名とお名前、今どういう役割分担で仕事をされているのか教えてください。
    飯田の顔飯田
    三井物産クレジットコンサルティング株式会社の飯田と申します。リスクマネジメントで海外取引の安心安全を提供するコノサーというサービスを今年の4月から始めているんですけれど、その責任者を務めさせて頂いております。現在の会社に入って約3年ですが、特に日本企業の海外取引先との商取引におけるリスクマネジメントということで、我々の業界でいうところの「与信管理」というものをしております。お客様から海外企業との取引のご相談を頂戴して、調査分析してフィードバックする仕事を、この会社に入ってからはずっとしておりました。今年の4月からコノサーというサービスを始めたんですが、さかのぼること1年程前からプロジェクトという形でスタートさせ、リーダーをさせて頂いておりまして、「どういうことをやろうか」「どういう風にやろうか」という中で、ソニックガーデンさんと出会い、現在に至ります。

    富井の顔富井
    富井と申します。前歴ではずっとIT系の企業に所属しておりまして、ウォーターフォール系開発のプロジェクトマネジメントを主に担当していました。現在は、コノサー全体を見ながら「どこをサービス化していくか」について、ソニックガーデンの前田さんと相談しながら進めてさせて頂いてます。開発を踏まえた運用業務の手順化や体系化というところも併せて担当しております。倉貫さんが執筆された本 (*1)を読ませて頂いて、衝撃を受け、現在も懸命に前田さんから教えを請うているところです。
    (*1) 『「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識”を変えるビジネスモデル』

    谷津の顔谷津
    谷津と申します。二人は私の部下なんですが、私自身は親会社からの出向なんです。ちょうど三井物産クレジットコンサルティングで仕事を始めたのが2014年の1月だったんですけれども、それから飯田さんと一緒にこの新しいプロジェクトを考えていくところからやらせてもらってました。現在は、富井さんと飯田さんが中心になっているのでときたま意見を求められるだけという立場ですけれど(笑)
    飯田の顔飯田
    いやいや(笑)
    谷津の顔谷津
    先ほど飯田さんからコノサーというサービスの説明がありましたが、私の出向元である親会社が総合商社なんですけれども、そこの与信管理、つまり相手先が信用できるかどうか判断するという仕事を入社以来ずっと続けてきましたので、その仕事に通じている立場からサポートさせてもらっています。

    海外取引も環境が変わり、目をつぶれないリスクが増えてきた

    倉貫の顔倉貫
    今回のコノサーというサービスは、どういったサービスなのか、与信管理についても、簡単に説明して頂けますか。
    飯田の顔飯田
    まず与信管理というものなんですけれど、例えば色んなお取引先があって、それぞれに1万円ずつの売上を出しているとします。それぞれ5%の利益を取っていたとすると、1社500円で、20社あると1万円の利益になる。でも、そのうちの1社が吹き飛んでしまうと、そこの利益はなくなってしまいますよね。なので、取引先が一体どういった相手なのか、そして相手が信用できる先なのかを把握して、リスクをまず認識すること。そのリスクに対して対処をするのか、許容するのかもしくは回避するのかを判断をするための根拠を示してあげること。それが与信管理の1つのポイントなのかなと思います。

    みんなの海外取引 CONOCER(コノサー)

    飯田の顔飯田
    その中で、国内であれば取引先と顔を合わせてやり取りできますし、当然ながら通貨も円でのやり取りです。しかし海外には国内にない要素が色々あります。例えば日本企業が海外に出る場合でしたら、まずは販売チャネルが欲しいですよね。市場調査をして「これはいけそう」という判断になれば、次に販路を探しますが、土地勘なり商習慣が分からないので、ブローカーさんたちから取引先を紹介してもらう方法も珍しくはないんです。ですが、紹介された相手が本当に信頼できる取引先か自分たちで見極める必要があります。

    職人技で判断を下す与信管理という仕事を、システムに落とし込んでお客様自身で行えるようにしたい

    倉貫の顔倉貫
    そういった状況において、コノサーはどういったことが出来るサービスなんでしょうか?
    富井の顔富井
    お客様自身で与信管理が出来るサービスです。現時点では、取引に関する情報を収集して、それを整理するところまでのサポート機能を構築しています。今、目指しているのは、その情報を分析して、取引を続けるのか、保全対応などの条件付きで進めるのか、もしくは回避するのかを判断できるよう支援するというところですね。
    飯田の顔飯田
    与信管理というと専門的なニッチな感じがありますが「取引の内容」や「取引先」のことをよく知って納得感のある判断をするのは、どのような立場の方にも求められる当たり前のことだと思うのです。それを、我々が全部やるのではなくて、お客様自身でやれることが本当はベストだろうと。でも、まず何からやればいいのか分からないといったお客様に、「まずはこういった形のやり方をしてはどうですか」という、フレームワークをご提供するのがコノサーです。「やって頂くのは基本的にはお客様ですが、個別に難しい問題については今まで通り、私どもにご相談頂けないでしょうか」というような形で、これまでやってきたことと組み合わせてやっていければと考えています。

    海外で取引を行おうとしている企業が、与信管理を自社で確立できるようになって欲しい

    倉貫の顔倉貫
    コノサーというサービス自体でビジネスにはなっているということでしょうか?
    飯田の顔飯田
    あくまでも継続性を担保するために事業化しなければいけないというところはありますので、企業や国、業界に関する必要な情報を提供したりですとか、三井物産のノウハウを活用して財務情報を評価する格付を提供する代わりに、お客様から対価を頂けるような形でマネタイズを考えています。最終的には営利目的もありながらも、そういったノウハウを発展させて、海外で取引を盛んに行おうとしている企業が、与信管理を自社で確立するお手伝いができたらと思っています。

    倉貫の顔倉貫
    まだビジネスとしては準備中という段階ですか?
    飯田の顔飯田
    そうですね。まだベータ版で、まずはお客様にどういうリアクションを頂けるだろうかという部分を仮説検証している段階です。実績が十分に貯まっているとは正直言いがたいところもあるんですが、お話を直接伺ったりする中で、先ほど申し上げたような情報を集めるところだけではなくて、分析判断という一連のパッケージでご提供することができ、ちゃんとお金を頂けるのではないかという目途が立ってきました。予定としては2015年12月ぐらいに収益化の第一歩を踏み出そうかなと準備しているところです。
    倉貫の顔倉貫
    想定しているターゲットを教えていただけますか?
    飯田の顔飯田
    コノサーは、中小・中堅企業様をメインでお手伝いしたいと思っています。自分でなんでもやらなければいけないような人たちに、少し与信管理といった視点を持って頂くことで、取引管理力を高めて頂ければと考えています。
    飯田の顔飯田
    企業って大きくなればなるほど、機能がどんどん細分化して組織として確立していきますよね。「最初はやっぱりまず営業がいるよね」とか、「人事がいるよね」とか、「もちろん経理もいるよね」とか、どんどん発展していく中で、与信管理とか審査といった機能は、後回しになりがちだと思うんです。実際にお話を聞くと、大きくてもそういった専門の部署がない企業様もあり、「経理の仕事をしながら、そういうお仕事をしています」とか、営業の人が「自分で判断をしています」という形だったりするので、与信管理は非常に贅沢品的な側面が実はあるんです。

    「紹介されたから」だけではなくて、一定の根拠を見つけて取引できるようになる

    倉貫の顔倉貫
    海外と取引したい会社がコノサーを使うと、何ができるようになりますか?
    富井の顔富井
    その取引の中で良いところ、悪いところがあるとすると、その悪い面が浮彫りになりリスクに気付くことができます。リソースやノウハウの不足で出来なかった与信管理が、コノサーを導入して頂くことで実施し易くなります。
    飯田の顔飯田
    また、リスクに気付くことにより、なんらかの対処が取れたり、「紹介があったので取引をやります」というだけではなくて、その取引をする一定の根拠を見つけられるようになります。つまり、自分の担当する取引についてきちんと説明ができるようになることだと思います。

    倉貫の顔倉貫
    これまで根拠もなく、なんとなく口づてで紹介された取引先と取引していた企業が、これから海外との取引を増やすにあたって、これまでよりも安心して取引が出来るようになるというのがコノサーの価値ということで理解しましたが、いかがでしょうか?
    富井の顔富井
    その通りです。そういった現場の担当者側が一次判断できる力をつけて頂くことで、特に海外取引を行っている部門の組織が、その組織力を向上させて、結果、収益に貢献できるよう、我々のノウハウが活かされればと考えています。

    コノサーを通じて、海外で戦う日本企業を後押しするという社会的使命を感じている

    谷津の顔谷津
    私が2年ほど前にこちらの会社に着任するときに、実はこのプロジェクトはもう始まっていたんです。今までの人対人で提供していた人海戦術のようなサービスではなくて、もっと基盤を整備してあげることによって、日本企業が海外取引にどんどんチャレンジしていける環境を後押ししなければという認識がありました。
    谷津の顔谷津
    個人的に言うと、自分自身のキャリアを振り返ってみても、与信管理というもののやり方を体系立てて教わった記憶がないんです。総合商社になるとそういったリスク管理とか、与信管理の専門部署がありますが、そこですら実際の仕事を通して、まずは国内の与信管理を学び、その応用問題である海外も学び、という形で、学ぶのに時間もかかるし、そもそも体系的に教えられた記憶もないんです。しかも、与信管理とか、リスク管理という仕事自体が、うちの会社はAのやり方、あっちの会社はBのやり方、のように一定のパターンや正解がない仕事ですので、私自身が感じていた「なんで習得するのにこんなに時間がかかるんだろう」という悩みも、今回のコノサーで解決できるだろうと共感するところがありました。

    谷津の顔谷津
    なので、技の伝承と言いますか、コノサーを利用することで、他の企業様にも与信管理のやり方を見つけて頂きたいですね。自身の体験として海外っていうとやっぱりどこか躊躇してしまう部分がありました。私は去年このプロジェクトに参加する前に4年ほどニューヨークで仕事をしていましたが、やっぱり海外になった途端に空気が薄くなるんです。文化も違うし、話していることの全部は分からないし、とてもハードルが高い、できれば見て見ぬふりをしたいです。ですがそこで負けない強い心も大切です。でもやっぱり日本企業がこれから海外で戦わなきゃいけないという環境はその通りだと思うので、精神論を振りかざして何もなく裸で戦うのではなく、コノサーを利用することで最低限のところは身につけて頂きたい。海外で戦う日本企業を後押しするという社会的使命も感じています。
    倉貫の顔倉貫
    今回、その職人芸みたいなところを、一般の方に提供できるようにするのは、どのようにされたんですか?
    飯田の顔飯田
    職人に対するヒアリングを徹底的にやりました。自分自身がまさに背中を見ながらやってきた経験を基に、こういう絵を描いてみて、それを谷津を含めて色々いる職人にぶつけてみて、必ずしも職人の意見が一般に通じる意見かというのはちょっと難しいところもあるので、一般に通じる言い方にするにはどうしたらいいか考えて、読み替えながらやってきました。
    谷津の顔谷津
    その意味では社内のメンバーが、職人言語を一般の方が分かるようにうまく翻訳してくれています。職人ってやっぱり職人なんですよね。なぜそう判断するのか、どうやって判断するのかうまく言えないんです。体系立てて学んできていないので、体系立てて説明できない。それをうまく紐解いて、標準化できる部分は標準化して、標準化できない「秘伝のたれ」のような部分も当然ながらあるのですが、その部分もうまく落とし込むというのを、社内メンバーが実現してくれていると思います。
    飯田の顔飯田
    これまで三井物産が様々な取引をしてきた中での経験や教訓などを事例として研修で学びます。そういった中から「そういうところに落とし穴があったんだ」というのを、我々は疑似体験できる環境にあります。その点が弊社がコノサーというサービスを展開できる1つの強みだと思います。

    与信管理のノウハウの伝承が社内でも難しい

    倉貫の顔倉貫
    コノサーというプロジェクトが始まったところから歴史を追ってお話を聞きたいなと思うんですけど、そもそも最初はどういうきっかけでプロジェクトがスタートしたんですか?

    飯田の顔飯田
    元々は個別にお客様から問い合わせをもらって、我々の社内のコンサルタントが個別に対応していたんですが、ご相談がどんどん増えていく中で、「これは何か手を打たなきゃいけない」という内部的な問題が出てきたんです。
    飯田の顔飯田
    もう1つは、そういうノウハウの伝承が社内でも難しい部分があり、それを解決したいというところがきっかけです。外部的には、昨今、小売業やサービス業とか、いろんな業態、いろんな規模の会社さんが海外に出られるようになってきたので、海外企業の与信管理を強化したいというニーズは間違いなく増えるなと思ったのが最初のきっかけかなと思います。
    谷津の顔谷津
    僕がアメリカから帰国して三井物産クレジットコンサルティングに来たのは2014年1月でしたけれど、このプロジェクトはすでに立ち上げられていました。10ページぐらいのドキュメントがまとまっていまして、「海外に進出する日本企業をサポートしなければ」という趣旨が書いてあったのがとても印象的でした。
    藤原の顔藤原
    その海外取引の話は、ずっと会社の中では課題となっていたんですね。
    飯田の顔飯田
    そうですね、ありました。逆に言うと、国内のほうは既にシステムをベースにサービスを提供できるインフラも整備されていたんですけど、海外は本当に人が職人技で進めているという要素が強かったですね。

    リソースに乏しい会社にこそ、色んなサポートが必要だという気持ち

    倉貫の顔倉貫
    飯田さんが参加したのは、どれぐらいからですか?
    飯田の顔飯田
    正式にコノサーのプロジェクトができたところ、2014年の4月から約1年そういったことをやってきました。専任の正式なメンバーは1人で、何人かには他の業務と並行して協力してもらってという形でした。
    倉貫の顔倉貫
    そのとき会社からはどういうミッションを与えられていたんですか?
    飯田の顔飯田
    会社内に中期計画的なビジョンがあったので、「それを実現するために何ができるかまとめてくれ」という内容で、具体的に「これをやれ」というようなものは特にありませんでした。色んな方向にいく道はあったと思うんですけが、私の個人的な思いもあって、大企業と比較してリソースに乏しい会社さんにこそ、色んなサポートが必要だという気持ちがありまして、そこで1社1社ずつ対応するというのはなかなか難しいので、ITを使って何かできないかと思ったんです。

    倉貫の顔倉貫
    何がきっかけでそこを見るようになったんですか?普通の会社員をしていると、自分の会社のターゲットとは違うところはあまり見ないと思うんですけど。
    飯田の顔飯田
    今回の話とは直接関係ないかもしれないんですけど、実は前職でSME(Small and Medium Enterprises)向けクレジットカードの仕事をしていました。クレジットカードって基本的に個人が使うものというイメージですが、コーポレートカードという分野があるんです。大企業が出張などの精算に使うものですが、実は中小企業とか、個人事業主向けにスモールビジネスカードという分野もあり、アメリカなどでは市場として成熟しているんですが、日本でなかなかこれが発展しない。何が問題かというと、クレジットカード会社が企業を審査できないからなんです。個人事業主や起業したばかりの会社の情報なんてなかなか取れないので審査ができないという原因で、結局そういった人たちがカードをつくろうとすると、「まず3年会社をやって決算書をつくって、黒字化してから来てください。はい、さようなら」となってしまう。
    飯田の顔飯田
    でも、そういった人たちこそ、例えば借入だけじゃなくて、色んな資金決済やサポートのニーズがあるだろうということで、当時スモールビジネスカードをやる部署をつくったんです。そのときもプロジェクトだったんですけど、順調にローンチをしまして拡大もしていけそうだったんですが、会社の経営方針もあり途中で頓挫してしまったんです。そのプロジェクトを推進する中で個人事業主の方とか、中小企業の社長さんにたくさんお会いしまして、熱量というか、想いの強さとか、言葉の重さが違って、正直「かっこいいな」と思ったんです。

    海外与信管理のデファクトスタンダードを納品のない受託開発で実現する

    倉貫の顔倉貫
    では、2014年4月でプロジェクトがスタートして、何もない状態から手探りで1人で始めて、ITを使ってやってみようという気づきがあったのはどの辺の時期ですか?
    飯田の顔飯田
    なんとなく「ウェブとかITを使ってやるんだろうな」というぼやっとしたイメージはあったんです。そんな時、三井物産の社外取締役の野中さんのコメントを見て、平鍋さんという方が『アジャイル開発とスクラム』という本を書かれていることを知りました。それはシステム開発の話だけど、組織としてアジャイル、機敏に動くとか、柔軟に対応するというのは今後必ず必要になってきて、そういうものをちゃんと意識してほしい、そういうメッセージが出ていたんです。そこでまずアジャイル開発ってなんだろうと、その本も買いまして、色々調べていく中で、御社のことを知り、富井さんに連絡してもらいました。
    富井の顔富井
    はい。はじめに「倉貫さんが執筆された本」を飯田さんに紹介されまして「なんですか、これは?」っていう話になって。
    飯田の顔飯田
    エンジニアの目線で見たとき、アジャイル開発って「そうだね」と賛同できる話なのか、「いや、これはちょっと、そうはいっても違いますよ」と否定すべき話なのか、僕には判断できなかったので、ちょっと見てもらったんです。
    倉貫の顔倉貫
    このプロジェクトには、富井さんも最初から絡んでいたんですね。
    富井の顔富井
    そうですね。スタートした頃に私も入社をして、ちょうどそういった新規事業をしているということで、本当にフラットな立場で話を聞かせていただきました。狙っている事業領域が難しいが故に誰も手を出していない分野でしたが、そこにチャレンジをして、デファクトスタンダードを目指すという理念がとても面白くて。「ぜひ一緒にチャレンジさせてほしい」という話をしました。またもう1つ、先ほどの紹介いただいた本を読み、「納品がない?面白い!」と衝撃を受けました。事業として、デファクトスタンダードを狙いながら、そのような「納品のない開発」との組み合わせで何かを形にできたら最高にやりがいがあるだろうなと個人的には触発されて、「はい、電話します!」と。
    倉貫の顔倉貫
    両方の刺激があったんですね(笑)それはいつぐらいですか?プロジェクトが4月に始まって。
    富井の顔富井
    5月です。結構すぐですね。そこから現在まで、この事業に取り組ませて頂いております。
    倉貫の顔倉貫
    本を読んで頂いて、すぐにソニックガーデンに来て頂いたわけですか?もうちょっと時間が経ってから?
    富井の顔富井
    動きは早かったですね。本を紹介して頂いて一読した後、すぐお電話をして。ちょうどそのときに藤原さんに応対して頂きました。

    契約という話の前に、事業の目的や「そもそも」という投げかけをたくさんもらい、信頼できると感じた

    倉貫の顔倉貫
    4月に始まって、5月に飯田さんと富井さんが一緒にやるようになって、7月にはご連絡いただいて、初めてここに来て頂いた感じですか。
    富井の顔富井
    そうですね。
    藤原の顔藤原
    最初は、皆さんが我々に求められることと、我々ができることにギャップがあるのかなと心配でした。会ってみると、全然そうではなかったです。

    倉貫の顔倉貫
    最初、来ていただいたときは、事業プランとか、アイデアってどういう状態で来て頂いたんですか?
    飯田の顔飯田
    与信管理をシステム化したサービスとして提供するというのは、既に国内版でやっていることをちょっと看板をかけ替えた的なところはあって、どこを狙うとか、何を目指すみたいなものはあまりなく、機能みたいな話をバーっとご説明ししました。
    藤原の顔藤原
    その辺りの説明のスライドの量が多かったので、途中で止めた記憶が。「もう大丈夫です」って(笑)
    富井の顔富井
    そこで、藤原さんから「目的」とか、「そもそも~は…」といった話をたくさん投げかけて頂いて。契約前にも関わらずそういった踏み込んだ内容について膝を突き合わせて話し合うことができたので、パートナーとして信頼できるなと感じましたね。
    倉貫の顔倉貫
    まだかちっと決まってない状態で、細かいことだったり、着地点がないというような状態で来て頂いて、最初システム会社じゃないような話を受けた気もするんですけど。
    富井の顔富井
    はい、全くシステムの話はなかったです(笑)
    藤原の顔藤原
    事業そのものですよね。何を目指すのか。

    誰がなんのためにコノサーを使うのかという点を3カ月かけて議論した

    倉貫の顔倉貫
    事業そのものについて意見を受けたというのは、どういう感覚でしたか?
    飯田の顔飯田
    いや、非常に新鮮でしたし、緊張感がありましたね。普通のシステム会社はやっぱり受身体質なので、良くも悪くも緊張感ってないのかもしれないんですけど。ソニックガーデンさんでは「これを出したら藤原さんはなんて言うんだろうか」とか、途中からデザイン担当の能野(ヨキノ)さんとかも入って頂いたので、「能野さんはどう言っているんだろうか」とか不安でしたね(笑)
    谷津の顔谷津
    打ち合わせで流れる沈黙が気まずかったですね(笑)藤原さんからの本質を突いた「なぜ?」「この価値は?」といった質問に対して、なぜか答えられなかったんです。
    倉貫の顔倉貫
    カチンとこなかったですか?「こっちは発注するのに」と(笑)

    飯田の顔飯田
    全然そういうのはないです。ある種タダでコンサルティングを受けているような感覚だったので、カチンどころかお得だなと思ってましたね(笑)
    倉貫の顔倉貫
    7月ぐらいから相談期間が始まったんですね。
    飯田の顔飯田
    多分半年近くなので、長かったと思いますね。
    藤原の顔藤原
    いわゆるシステム開発に入る前に、なぜやるのかを整理して、誰をどう助けるサービスなのかというのを見える化しました。業務ノウハウがたくさんあり、そちらの整理が先行しがちだったので、1回お客さん側に目線を移してもらって、誰がなんのためにそれを使うのかという点を3カ月ほどかけて議論しました。先行してウェブサイトの表側だけをつくりながら、どんなユーザーがどんな気持ちで来て、どう感じて、何を調べるのかという方からアプローチしていきました。
    飯田の顔飯田
    「デザインが大事」と言われて、最初は「え?」と思ったんですけど(笑)確かに、お客さんにどう見えるかという点よりも、やっぱり職人気質の会社なので、実際の内容の方ばかりに気を取られていましたね。その目線をぐぐっとお客様視点に寄せていただいたのは、すごいありがたかったですね。
    倉貫の顔倉貫
    目線がその相談期間で変わりましたか?
    飯田の顔飯田
    もう全く変わったという感じですね!

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