株式会社SonicGarden(ソニックガーデン)
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急がば回れ、売り込まないソニックガーデン流営業スタイル 2012年08月14日

今回はソニックガーデンの営業活動を一手に引き受ける代表取締役COOの藤原士朗さんにお話を伺いました。

メディア露出も増え、各方面から注目を集めているソニックガーデンの営業をお一人で担当されるのは大変ではないかと思いますが、今は具体的にどのような営業活動をされているのですか?

私たちのサービスは、課題をお持ちのお客様に対して、ソフトウェアのプロとして解決策を提案することです。なので、課題をお持ちのお客様の目に留まるように、メディアへの露出も含めて、がんばって情報発信を続けています。私たちの提供しているものは、その気がないお客様に働きかけて、具体的に言えば「売り込んで」ということですが、購買意欲を喚起できるものではないと思っています。

ですから、ニーズ、あるいはそこまでいかなくともシーズをお持ちのお客様と数多く巡り会うこと、そしてその機会を得たらお役に立ちそうな情報をご提供するということを心がけています。そして、それぞれのお客様との関係性を維持・発展させることを一番大切にしています。

とてもユニークな営業スタイルですね。そうしたお客様との関係性を重視する営業スタイルを確立するに至った経緯について、教えてください。

ソニックガーデンは、社内向けSNSの提供を中核事業にした社内ベンチャーとしてスタートしました。そして、3年間の社内ベンチャー活動を経て昨年完全に独立したんですが、当初は実に伝統的な営業スタイルを採用だったんです。当時から私が営業活動を統括していましたが、他に営業専任担当者も数名いました。展示会にも出展していましたし、いわゆるテレアポ (※1) のサービスも利用していました。来る日も来る日も「社内SNSはいかがですか?」って電話営業したりしていました(笑)。

※1テレフォンアポイントメント(電話による新規顧客開拓)のこと。一説では、体育会系の某企業では、受話器を手に括りつけられ、ノルマを達成するまで帰れないとの噂も...

ただ、社内SNSという製品の特性上、導入を検討されるお客様はあらかじめ調査や検証を進めています。裏返せば、調査も検討もしていないお客様には、その時点で強い導入意欲がない、ということです。当時の伝統的営業スタイルで導入検討しているお客様とたまたま巡り会える確率がとても低いのは当然ですよね。お金の視点で言えば、とにかく費用対効果が悪かったです(苦笑)。

また、社内SNSという製品は購入いただいて終わりではありません。お客様に導入効果を実感いただけるように、リリースしてからも色々と工夫を講じていくのが私たちの腕の見せ所なわけです。しかし、伝統的な営業スタイルで「何とか説得して導入いただきました」という関係性では、そうした共感を持ってもらうことも難しくなってしまいます。

そして、一番肝心なことが「お互いにつらい」ということです。その気も無いのに売り込まれるお客様もつらいでしょうし、断られることが当たり前という状況で電話をかける私たちはもっとつらいわけです。

それで今の営業スタイルに転換されたのですね。切り換えるのは大変ではありませんでしたか?

伝統的な営業スタイルは1年ほど続けましたが、実につらかったですね(苦笑)。
ですから、思い切りよく今のスタイルに切り換えました。最初はプライベートセミナーをこつこつやり、それからメディアへの露出機会も増やしていきました。そうして、自分たちができること、伝えたいメッセージを世の中に発信し続けました。そのメッセージを受け止めていただいたお客様が、私たちに何か期待を持ってお問い合わせいただけるのをお待ちする。それが今の私たちのスタイルです。

ただ、こうすると、売上計画を立ててそれを経営目標とするやり方は難しくなります。今でこそ完全に自分たちの会社ですが、当時は社内ベンチャーだったので、本体組織に対して売上目標がありました。それでも、売上目標から逆算する営業スタイルはきっぱり切り捨てたんです。そして、他の事業でがんばって、そのギャップをみんなで埋めました。外部からくるプレッシャーとの戦いは大変でしたけど(笑)

確かにソニックガーデンの営業スタイルは理想的に思えますが、それを継続してやりきることは大変だと思います。成功のポイントはどこにあったと思われますか?

私には、振り返ってみて転機だったと思えるお客様がいるんです。比較的大手企業のお客様だったんですが、社内SNSの有効性に注目されていて、とても熱心な方でした。社内に、そのお客様以外の協力者もいらっしゃいました。
ただ、いかんせん、その方には予算がありませんでした。当時、まだ社内で稟議申請しても決裁がおりる状況になかったんです。そこで、私は自社のメンバーにお願いしました。「このお客様は今すぐの売上にはならないけれど、何とか応援したい」と。そうして、特例中の特例なんですけれども、かなり長い期間を無償トライアルの形でサポートすることになりました。

そうして、しばらく使い続けていただいたところ、お客様の社内で導入効果が認められて、正式に導入していただけました。それだけでなく、そのお客様が社内で色々な方々に私たちを紹介してくれました。おかげで、新しい案件を頂くこともあったり。
私たちが長期的な視点に立ってお客様との信頼関係を大切にしたら、結果的にビジネスとしても報われたんです。短期的な売上ばかりを追いかけていたら、得られなかった信頼関係、得られなかったビジネスだと思います。私個人にとって、この体験はとても大きなものになりました。

システム開発もツールの導入も、成功までの道のりは長い。短期的な売上ではなく、長期的なゴールをサポートできる関係になれるよう、営業戦略も経営戦略も、そして人事制度も整える必要があります

お客様を売上で見るのではなく、自分たちの問題解決能力を評価してもらえる関係性の構築に注力した。その結果、数字も後から付いてきた。文字通り、「急がば回れ」ということですね。

はい、そうです。このことはスタイルを切り替えてから1年、2年と経過していくほどに実感が強まっています。プロジェクト(終わりがある)大型案件を追いかける"狩猟型"のビジネスではなく、月々決まった料金をいただくストック型のビジネスを手がけているソニックガーデンにとって、数多くのお客様から様々なご相談を寄せていただけるようになったことは、とても大きな価値でした。経営の安定度もずいぶん上がりました。

ソニックガーデンのコアバリューは、お客様がお困りの問題に対して、ソフトウェアのプロとして解決策を提示できる点だと思うのですが、営業スタイルにもその考え方が反映されているんですね。

本音を言えば、私たち一人ひとりはとてもシャイなんです(笑)。ですから、前のめりに電話営業する必要がないのは、個人的にとても快適です。それでいて、着々と数字の裏付けも付いてきているので、今のところはとても充実しています。

私たちは、こういう形のビジネスが、世の中にもっともっと増えればいいなと思っています。それには、私たちと同じような考え方でビジネスに取り組んでいる方々に、私たちのツールを役立てていただくのも一つの方法かなと思っています。そんな思いもこめながら、自分たちの営業を管理するツール (※2) も公開することにしました。

※2「Keep in Touch」という言葉があります。これは、相談してもらえる信頼関係を続けるには、定期的な連絡(touch)をし続ける必要があるよ、という大事な習慣を説明しています。

気持ちよく営業活動をして、それで結果が出るというのはすてきなことですよね。それを世の中にも広めていきたい、というところでしょうか。

はい、やりがいがあります!私もこの先が本当に楽しみです!

写真は、「SonicGardenMeetup」で、某レストランのホール係風のコスプレに身を包んだ藤原氏。このイベントにはこちらのブログで紹介した、SonicGardenが営業スタイルを切り替えるに至ったお客様も参加していただきました。


 インタビュアー/ライティング:古田英一朗 :古田英一朗

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「納品」をなくせばうまくいく~ソフトウェア業界の"常識"を変えるビジネスモデル
「納品」をなくせばうまくいく 表紙

本書は、IT業界の、とりわけソフトウェア開発の業界で〝常識〟とされているビジネスモデルを変えてしまおうという試みです。ソフトウェア業界にはびこる多くの問題を解決するために取り組んだ新しいビジネスモデル「納品のない受託開発」について書いています。「受託開発」なのに「納品」をしない、なぜそんなことをやっているのか、そして、なぜそんなことが実現できるのか、その秘密について解説したのが本書です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)