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SonicGarden ミートアップ 2012 August参加レポート

今回は、ソニックガーデン主催のSonicGarden ミートアップ 2012 Augustに参加してきました。

会場となった勉強カフェ青山スタジオは、外苑前駅徒歩3分にあるスーパーマーケット大丸ピーコックの2F、衣料品コーナーを分け入った、いささか意外なところにありました。対面キッチンとカフェスペースで構成された店内は、スーパーの一角であることを感じさせない、白を基調とした瀟洒な空間です。その存在の意外感がどれほどかと言えば、社長の倉貫さんが自ら通りに出て会場案内をする必要に迫られるくらいの意外ぶりです。その倉貫さんの案内もあって、定刻を迎えるころには会場が手狭に感じるほど、大勢の参加者で満たされました。

勉強カフェは、ひとりで集中して勉強もできて、また勉強仲間をつくることもできる会員制のカフェで、「オトナが勉強するためのスポーツジム」とも表現されることもあります。くわしくはこちらから

定刻の19時となりました。まず某レストランのホール係風のコスプレに身を包み登場した、副社長の藤原さんが、ウェルカムメッセージとともに社長の倉貫さんを紹介、その倉貫さんの開会宣言でイベントの幕が上がりました。

倉貫さんからは、今回開催されたSonicGarden ミートアップの由来紹介がありました。このイベントは、ソニックガーデンに関わりのある様々な人たちの交流を促進する場を持ちたいという倉貫さんのアイデアを具体化させたということです。実現までにはいささか時間がかかったようですが、多くの参加者が集まったことからもなかなかの好企画だったと言えるでしょう。由来に続いては、ソニックガーデンの重大ニュースが紹介されました。中でも、独立※一周年で、新事業を手がける子会社MessageLeafを設立したという話には、倉貫さんたちの"事業力"の確かさや力強さを再認識させられました。

※ソニックガーデンは昨年社内ベンチャーからMBOによって独立しました。

開会宣言に続いて、しばしの歓談タイムが用意されました。セッションを始める前に、参加者同士の交流を促すのが、ソニックガーデン流というところでしょうか。私も、何人かの方々とご挨拶させていただき、とりわけソニックガーデン設立前に倉貫さんと苦楽を共にされたという長島さんからは、興味深いお話を伺いました。

開会から小一時間。すっかり会場が暖まったところで、1年の"海外勤務"を終えて先ごろ帰国した、ソニックガーデンのエンジニア前田さんによる"基調セッション"が始まりました。

彼は、1年半前、突然海外勤務を宣言、ワーキングホリデービザ制度を利用して、カナダ・バンクーバーで2ヶ月半、いったん帰国した後、再びアイルランドで1年働いていたんだそうです。ただし、働いていた、といっても、日本のスタッフ同様、日本のお客様の仕事を担当していたというから驚きです。ソニックガーデンのリソースはほとんどオンライン上にあるので、仕事をする場所にはほとんど縛られないということで、アイルランドのみならず、バルセロナへサッカーを見に行ったり、アイスランドの温泉に入りに行ったり、ベネツィアのミステリアスなお祭りを見に行ったりしながら、場所にしばられず業務にあたるという、何ともうらやましいワーキングスタイルをエンジョイしていたということです。最大の懸案だったお客さんとの打ち合わせも、Skypeで十分対応できてしまったということで、プログラマーのワーキングスタイルをイノベートしたといっても過言ではないでしょう。

このことは何も、会社や社長が「プログラマーのための斬新なワーキングスタイルを…」などと意気込んで企画したものではありません。むしろ、彼の意思(思いつき?)の賜物といった方が正しいようです。にもかかわらず、こういう働き方ができることを証明するとは、素晴らしい、というか、まさにすごい。社長の倉貫さんは、こうした取り組みをこれからも全力で支えていきたいと、おっしゃっていましたが、制度として会社が提供するのではなく、メンバーの「やりたい」という意思を会社が支えるという関係であることが、この成功の最大の肝なのではないでしょうか。

続いて登壇されたのが、株式会社マデール浦底さん

とてもソニックガーデンのスタイルに、関心を通り越した敬意の念を隠さない、とても情熱的な方です。大きな組織における伝統的システム開発のありように対する問題意識から「小さなチームで大きな仕事」を目指して"選職"したという、かなりダイナミックなこの半年間を情熱的に語っていただきました。

最後のセッションは、副社長の藤原さんの無茶ぶりで急遽指名された(?)ソニックガーデン7人目の男、伊藤淳一さん

難関を突破して入社してきた期待の新人とのことです。ソニックガーデンプログラマーの中でもNo.1ブロガーということで、ご自身のブログ記事をランキング順に発表されていました(ちなみに最も人気のあったコンテンツは「僕がサクラエディタからVimに乗り換えるまで」ということです。関心がおありの方はぜひ、こちらから)。

ソニックガーデンの社内外の交流を深める懇親会という位置づけのミートアップだけあって、3人のセッションの後もとても活発な交流が行われ、気がつけば、もう3時間が経とうとしていました。そろそろ、中締めの時間ということで、社長と副社長のちょっと見られない漫才が披露されたのち、

この日の会場の運営会社のブックマークスの山村社長に登壇いただきました。この会場となった青山に加え、池袋、秋葉原、田町、北参道、横浜関内(8月末オープン予定)と交通至便な場所で「オトナが勉強するためのスポーツジム」を展開する山村社長に、勉強カフェのコンセプトについて紹介いただきました。ウェブサイトを拝見したところ、色々なイベントやスクーリングも行われているということで、自己研鑽の場としても、ノマドワーキングの場としても、ちょっと試してみたくなる興味深いサービスです。

続いて、山村社長も以前から交友があるという、MessageLeafの代表鈴木英介さんから、会社設立の経緯や意気込みのほどが語られたところで、いよいよタイムアップとなりました。

あのソニックガーデンが人材交流のイベントを開くというので、興味津々で参加させてもらったのですが、予想通り異業種交流会のようなものではありませんでした。何かを売り込もうとか、主張しようということではなく、同じベクトルを向いている人たちがふわっと集まって楽しいひとときを過ごすことができた、そんな印象です。

とはいえ、極めて伝統的なソフト開発業界で、職住近接どころではない、何とも表現しがたい、ワークスタイルの破壊的イノベーションが起きていたことにいささか驚かされました。ダニエル・ピンクの提唱するフリーエージェントの社会は、日本では遠のくばかりと思っていましたが、どっこい、そうでもなさそうです。もちろん、彼らは、フリーランスではなくソニックガーデンの従業員ですが、「働く」ということに対するマインドセットは相当にフリーエージェントレベルが高いと思えます。こういう変化はもっともっと世の中に伝搬していってもらいたいし、そうでないといけないとさえ思います。日本のプログラマー社会で健全なフリーエージェント化が実現した暁には、今回のイベントが小さくとも名を残すのかも知れない。気持ちのいいお酒とあいまって、そんな妄想を抱きつつ、帰路につきました。


 レポート執筆:古田英一朗

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