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テスト管理クラウドサービス「Quality Forward」で、テストはますますクリエイティブな仕事に|株式会社ベリサーブ【前半】 2018年01月31日


お客様事例として今回ご紹介する企業は、ソフトウェア検証サービス(テスト)を行う株式会社ベリサーブ。同社の新規事業として今年7月にリリースされた、テスト管理クラウドサービス「Quality Forward」(クオリティフォワード)の開発を、ソニックガーデンが担当しました。2年間に渡る開発の裏側を、全2回でお届けします。

前半では、テスト業界のことやソニックガーデンへ開発を依頼した理由を中心に3人のプロジェクトメンバーが語りました。

日本のソフトウェアの発展に、テストで貢献してきた株式会社ベリサーブ

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本日は、ベリサーブとソニックガーデンが開発したテスト管理クラウドサービス「Quality Forward」(以下、QF)についてお話をうかがいます。まず、みなさんの自己紹介からお願いします。

松木の顔松木
株式会社ベリサーブの松木 晋祐です。ベリサーブは日本ではじめてソフトウェアのテスト専門企業として設立し、テスト業界では一番の老舗となります。そこで、ソフトウェアR&D部門の部門長とQFのプロダクトオーナーの両方を担当しています。

遠藤の顔遠藤
QFの担当プログラマ、ソニックガーデンの遠藤 大介です。POが松木さん、開発が僕という2名でプロジェクトを進めています。

岩﨑の顔岩﨑
同じくソニックガーデンの岩崎 奈緒己です。ソニックガーデンでは開発に入るまでの間に、お客さまが求めるシステムやビジネスに関するビジョンを話しあう「相談期間」を設けています。今回は弊社の副社長(藤原 士朗)と私が、ベリサーブの担当でした。

松木の顔松木
岩崎さんには、開発が始まってからも節目ごとにQFの事業についてアドバイスをいただいています。ビジネスマネージャのような立場ですね。

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では、ベリサーブの事業について教えてください。

松木の顔松木
ベリサーブは、組み込みシステムのテストから事業をスタートしました。現在は、業務システム・医療・航空・宇宙や車、そしてウェブサービスと、ありとあらゆる業界のソフトウェアが関わる製品のテストを支援しています。日本のソフトウェア産業と一緒に育ってきた企業です。さらにテストだけでなく、品質向上のためのコンサルティングも行っています。

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テストとは、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。

松木の顔松木
テストは、大きく3つの作業に分かれています。ひとつ目は、ソフトウェア製品の開発と並行して、その製品が達成したい品質を備えているかを計測する方法の考案。2つ目が実際に計測を行う作業(テスト実行)、そして3つ目は計測結果をまとめ、改善点などを探る作業です。

たとえばカーナビであれば、地図通りに案内をするかというフィールドテストを行います。また、最近のカーナビにはメディアプレイヤーの機能もありますので、iPhoneやスマートフォンがユーザの期待どおりに連携できるか?といったテストも設計、実行します。

テストは、製品が持つ多様な価値を計測するクリエイティブな仕事

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QFは、どのようなシステムなのか教えてください。

松木の顔松木
QFは、テストエンジニアのためのクラウドを使ったテスト管理ツールです。従来のテスト管理は、ほぼ95%がエクセルを代表するような表計算ソフトで行われています。その代わりとなるウェブシステムにしたいと、開発を進めてきました。2017年7月にリリースし、引き続き機能追加などを手がけています。

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これまでのテスト管理方法には、何か課題があったのでしょうか。

松木の顔松木
まず、作業が非効率だったということが挙げられます。たとえば自動車のテストには、テスト項目が何百万件、何千万件とあります。他にもテスト作業や品質保証の仕事は、対象の製品の品質を測る多くのデータが集まります。それらを頑張ってエクセルで集計し、グラフを描くという作業に追われていました。

表計算ソフトは自由度が高く、多くの人が使えるといった点では優れていますが、大量のデータを処理しリアルタイム性を求めることには向いていません。つまり、作業に時間がかかり過ぎていました。ですから、効率的に作業ができ、データをまとめて一目で情報が分かるシステムがあればいいなと考えていたのです。

遠藤の顔遠藤
国内外でツールを探されたけれど、使い勝手が良く、コストも適正なツールがなかったと聞きました。そこで、自分たちが開発しようと思われたんですよね。

松木の顔松木
テスト業界はエクセルで細かく集計して……という地味なイメージが強いのですが、実は違うんです。テストはクリエイティブな仕事ですからね。システムを通してテストにコミュニケーションを作り出せれば、もっと楽しく仕事ができるのにと思っていました。

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テストは、どんなところがクリエイティブなのでしょうか。

松木の顔松木
テストのクリエイティブさは、製品を使う人・開発した人・ビジネスとして関わる人と、すべてのステークホルダーにとっての価値をイメージするところにあります。「この製品は、どんな価値を持っているのだろう?どのようなシーンで、誰が、どういった使いかたをするのだろう?その結果、どのような動作をするとユーザーは満足するのだろうか?」というところまで考えて、テストをしているんです。

遠藤の顔遠藤
関わる人の立場によって、製品の価値は変わってきますよね。まず同じ会社であっても、開発者と営業で違うし。

松木の顔松木
まさに、その異なる価値を構造化して整理し組み合わせて、テストを作り上げることが求められます。これが、とてもクリエイティブな作業。人が検証するためには定量化する必要もあるため、計測方法まで考えます。そのような想像する作業を通して、テスト項目は作られているんです。

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テスト項目にそって、マルバツをつける作業だけがテストではないということですね。

松木の顔松木
そうです。さらにテストの実行過程にも、創造性があります。有能なテスターは、テスト仕様書の項目に対し視野を10倍くらい広げてテストを行います。「このような使い方をしたら、どうなるだろう?」と、頭の中で上位の構造を再構成しているんです。

岩﨑の顔岩﨑
「テストにはクリエイティブな要素がたくさんあるのに、データの処理に作業時間を取られてしまい、思考をする時間がなくなってしまう。この状況がもったいないんです」という思いを、松木さんは日頃から話していらっしゃいますね。

開発をスタートするまでにかかった期間は4ヶ月。その理由とは?

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業務効率を上げることだけでなく、QFをきっかけにテストエンジニアがより創造性を発揮できる時間を作りたいという思いがあったのですね。それでは、なぜソニックガーデンに開発の依頼をされたのでしょうか。

松木の顔松木
ソニックガーデンの社長・倉貫義人さんの『納品のない受託開発』に衝撃を受けたからです。僕はテストのスペシャリストとして仕事をしてきましたが、人月という仕組みに疑問を持っていました。そこへ、倉貫さんの考えに出会ったのです。さらに事業として成立させて、かつ継続しているという事実に驚きました。

また、自分自身で製品開発や事業の立ち上げをやってみたいと思っていたんです。ちょうどベリサーブが新規事業を立ち上げたいという方針もあり、ソニックガーデンへお問い合わせをしました。

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松木さんがソニックガーデンへコンタクトを取ったのが、2015年。そこから開発をスタートするまでに、4ヶ月かかったそうですが…。

岩﨑の顔岩﨑
一般的な開発であれば「作りたいサービスをうかがって要件定義をする」という一括請負になります。しかしソニックガーデンは、はじめにお客様のビジネスをしっかりとヒアリングして、本当に求めているものは何か?というところを突き詰めます。ここに、時間をかけるケースが多いんです。

松木の顔松木
僕は、そのスタイルを知った上で相談をしました。それでもはじめのうちは、岩崎さんたちから「エクセルでいいじゃない」って言われて(笑)。

岩﨑の顔岩﨑
僕らはテスト業界については素人なので、お話を聞いていると「それってエクセルで問題ないんじゃない?」って思ってしまうんです(笑)。

つまり課題の本質をお互いで共感しないと、同じ視点でビジネスができません。松木さんにテストのことを教えていただきながら、「どうしてですか?」という質問をする。そのコミュニケーションが4ヶ月続きました。

遠藤の顔遠藤
僕もかなり質問しました。テスト管理を表計算ソフトで行うと非効率だというところは明確でしたが、グループで作業をするならオンラインでスプレッドシートをシェアすればいいわけです。その上で「なぜシステム化するのか?」という議論をしました。2週間に1回ぐらいの頻度でディスカッションをしましたが、松木さんたちも真剣でしたね。

松木の顔松木
同席していた役員が「経営会議より面白い」って盛り上がるんですよ。みんなでテスト管理とは?という、本質的なところから議論をすることが新鮮で。ファシリテーターの岩崎さんたちが、面白く僕らの意見を引き出してくれたからですね。

岩﨑の顔岩﨑
専門性があり、長く業界を引っ張っていらっしゃる企業は、みんなで感覚的に共有しているもの、暗黙知をたくさんお持ちです。いっぽうで、認識のずれや見えていなかった違いも出てきます。言葉にして初めて理解しあうことは、珍しくありません。

ソフトウェアを作る前にそれらをアウトプットしておかないと、完成したあとに何か違うねという話になってしまいます。今どこに立っていて、ゴールはどちらだ?という認識を揃えるための議論なんですね。

遠藤の顔遠藤
そうして時間をかけてビジネスの議論を行い、「では、やりましょう」となる。そして開発フェーズに入り、僕もメインで打ち合わせに参加するのですが……。そこからも実は長く時間がかかっています。

松木の顔松木
システムを開発するために、テストという業務の中から必要な要素を整理する必要がありました。実は、テスターが100人いるなら100通りのやり方があるというくらい、表計算ソフトで管理するテストは自由度が高いものだったのです。そこから本当にテストで必要な要素を選び出すことに、時間をかけて取り組みました。

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まだまだ議論が続いたということですね。では後半に、QFの開発について詳しくうかがいます。

テスト管理クラウドサービス「QualityForward」の
開発で分かった、コミュニケーションが品質を作るということ
【後編はこちら】


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