新規事業の立ち上げに大事なのは、恥ずかしさを捨てて熱い想いを語ること!:コノサー【後編】
今回は、海外取引担当者が安全・安心にビジネスを拡大できるように海外取引に関するリスクを分かりやすく紐解き、組立て、解決するWEBサービス「コノサー」を展開されている三井物産クレジットコンサルティング株式会社から飯田氏、富井氏、谷津氏をお迎えしました。
事業を立ち上げるにあたり、その情熱の源になった体験や、コンサルティング期間を経て、職人技である知識を落とし込んだサービスをローンチさせるまでの経緯をお聞きしました。
お客様のプレゼンを途中で止める。なぜこの事業をやるのか。
谷津
今日、実はご質問したいなと思ってきたことがあるんです。ソニックガーデンさんのホームページを拝見していると、お客さんに見つけてもらい、選んでもらうのが大事で、一方でソニックガーデンさん側もお客さんを選ぶ、という面がありますよね。最初にお会いしたときに、機能説明ばかりの60枚のスライドをお見せして、さらに名前も堅くて、しかも今日もスーツを着ているような会社で、そんな我々を「なんでお選び頂いたのか今回聞いてみたいね」という話を実はしていたんです。
藤原
私たちの会社のポリシーとして、拒みはしないです。ただ、問い続けます。最初に来たときに、かなりシステム開発に寄った資料でしたので、途中で止めてさせて頂いて「これをなぜやるんですか」というお話を伺いました。実は初回のMTGを経て、そのまま帰ってこられないお客さんも結構多いんです。「なぜやりたいとかをおまえらが聞くんじゃない!」というか、「とりあえずつくってくれよ」と。つくってくれることを期待しているというケースがかなりあるんですね。我々は「なんでやるの?なんでできるの?なんでやろうと思ったの?」とずっと聞いていくので、面倒くさくなって「ここには頼まない」と他社にいってしまう。けれどお二人はすぐ戻ってこられたんです。しかも、ビジョン、ミッションもちゃんときれいに1枚目に書いてくれたんです。さっきの、日本の中小企業を含め、企業が世界の海外取引を安心安全にできるようにするのが我々の本当の使命だと。そのために頼みに来たんだとおっしゃるので、「あるじゃないですか、なんで最初に言わないんですか」と(笑)
藤原
まず考え抜いて戻ってきてくれたことがすごく大事ですし、加えてビジョン、ミッションに立ち返ってくれたことで、私の印象もそこで変わりました。所属している企業とかも全然関係なくて、ミッション、ビジョンで動いている人とは、我々は仕事しやすくなる。あとは、まだシステム開発のタイミングじゃないので、色々検討しなければいけないということで認識をそろえました。かなり時間をかけて進めていきましたが、毎週毎週不慣れなウェブマーケティングのところや、先程申し上げた顧客視点というのをすごく勉強されて、日に日に資料が良くなっていく、視点が変わっていっていくのを感じました。固執するところが全然なくて目的のために変わっていってくれたというのが、すごく印象的だったんです。
倉貫
聞いてみてどうですか?
飯田
彼が結婚を受けてくれた、みたいな感じですね(笑)でも、そうは言いながらも、ソニックガーデンさんは何も変わらず、僕らだけが変わったということではなくて、僕らの堅い会社のカルチャーも理解して頂いて、我々にちょっと寄って頂いている部分もあると思うんです。我々が一方的に押しつけられているということでもなくて、お互いの歩み寄りでいいチームをつくれたので、一緒にやれているんだと思っています。
自分たちを律する仕組みを会社に対して宣言していく「潔さ」
倉貫
大きな会社の中でされている与信管理というプロジェクトを、こんな小さな偉そうにする会社と取引することに対して、問題はなかったですか?
飯田
三井物産は懐の広いところがあって、ちゃんと説明すれば分かってもらえますね。あと、今アジャイル開発って、ややもすればダラダラやっている風に見えなくもないじゃないですか。そうではなくて、ソニックガーデンさんにはご説明していなかったですけど、四半期ごとに立ち止まって定性、定量の評価をするということをやってまして、パフォーマンスや、やってきたことを報告して次に進むというやり方を、我々の中でも自分を律する枠組みとして自発的に取り入れているんです。逆に言うとそういうのがないと許可が下りないだろうという予測もあり、そうした形を取り入れたことで一定の安心感を会社にも持ってもらえ、任せてもらっているんだろうなと思います。
倉貫
アジャイル開発と、会社でのやり方のギャップを埋める活動もして頂いているんですね。おそらくこれから先も、同じような立場でソニックガーデンと仕事をしたり、アジャイル開発したいという人たちはたくさんいると思うんですけど、そういう方たちに対して、「こうしたらいいよ」というアドバイスってありますか?
谷津
僕はアジャイル開発という手法を取る今回の開発は、特に新規事業だったので最適だと思ってはいました。ただし、一方でこれは選んだ我々自身が問われる部分が大きい開発手法だなと感じてもいたんです。富井さんはITベンダーのプロマネという経歴です。私も審査職人的なところがありながらも、実は会社生活の半分ぐらいが与信管理とかリスク管理の仕組みを作ったり、それを支えるシステムの受け入れ窓口をしていたので、ウォーターフォール型の開発ばかりやっていたんですね。システム開発の目線で言うと「要件ありき」みたいなところをずっとやってきた人間なので、最初は「アジャイル開発はやっぱり難しいな、ちゃんと僕らはできるんだろうか」と思いました。
谷津
そこでバックアップになったのは富井さんの存在で、アジャイル開発の中で自分たちで担うべき役割を適切に見極めてくれました。あともう1つは飯田さんで、適切なタスク管理じゃないですけど、ソニックガーデンさんとの打ち合わせの中で、「これはやめよう」「これはやろう」と色々ご意見を頂きながら一緒に取り組むタスクをつくり上げる。契約を盾に押し付けるのではなく、また易きに流れるのでもない。やっていることの意義を感じて、内発的に自らを律するところがあったので、メンバーに恵まれたなというのを感じています。工夫は何か?仕組みとして先ほど申し上げたように、しっかりと定期的に振り返り評価を行い、報告するという事はあります。でも、やっぱり我々自身が一番よかったのは御社に巡り合えたことです。
僕らが足りないところを気付かせ、補完してくれるパートナーに巡り合えた
谷津
この開発の手法だけではなくて、先ほどの60枚の偏ったプレゼンをダメ出しされたというところも、やっぱり我々に足りない部分があったんですよね。やりたい熱い想いはありながらも、ミッション・ビジョンのような熱い想いをそこまで出すことに気恥ずかしさがあったところもあって、なかなか言えなかったんだと思うんです。けれどそこを「いや、違うんだよ、そこが大事なんだ」というのを気付かせてくれる、僕らが足りないところを補完してくれるパートナーに巡り合えたことが本当に良かったです。そういう意味で、与信管理もリスク管理もそうですけれど、結局やはり人なので信頼できるパートナー、仲間に恵まれていたというのが一番で、それがありながら、自分たちを律する仕組みをちゃんと上司に対しても自分から宣言していく潔さがあったのがよかったんだと思います。
飯田
自分の首を絞めるみたいな感じで(笑)
倉貫
会社の仕事とか、大人の仕事ってパワーポイントにしてきれいにすることが大事に見えてしまうし、それが評価されがちだとみんな思い込んでるんです。でも、実はそんなことなくて、その裏側にある想いだとか、軸があって、それが実は仕事をドライブする一番のモチベーションになったりするところがあって。それは、さっきお話しされていた中小企業とか、ベンチャーの社長だからそれをやっているんではなくて、どの立場の人間にも実はあって、それがないと、仕事が面白くないんですよね。藤原がその部分を問うて、そこに応えて頂けたので、一緒にやれているのかなと思います。
飯田
谷津が申し上げた通り、潔さというか、恥ずかしさを捨てるというのはあるかなと思います。やっぱり会社にいると、なかなかそれを言葉に出したり、社内で「それをやりたい」と言うことって実は難しくて、ちょっとオブラートに包んだような表現になってしまいがちです。ですが、特にこういう御社のようなやり方の場合は、それをまず社内で言って認めてもらう、評価してもらって、ある程度裁量をもらうところが大事だと思うので、そのためには恥ずかしさを捨てるというところが大切だと思います。
飯田
あとは、任せてもらうためには、定期的な振り返り評価という形で自分の首を絞めて、逃げ道をなくしていますというような、両方が必要だと思いますね。
「みんなの海外取引」というキャッチフレーズが出来て、ギアが上がった
倉貫
ようやく無料相談の期間が終わって、開発を始めることになったのはいつ頃ですか?
藤原
無料相談を7、8月とやって、9、10、11月でデザインを先行してやって、11月下旬ぐらいから開発に入りました
倉貫
ようやく見た目もデザインも見えてきて、開発にいけると判断したきっかけが何かありましたか?チームとして出来上がってきて、「もうそろそろ開発者を入れてつくってもいいんじゃない?」と決断するきっかけがあったんですよね。
藤原
「4つ質問したら、あなたに最適な回答を出します」という基本的な導線の作り込みが進み、あとプラスワンマイルの機能さえあればお客さんが喜ぶだろうというところまでなったタイミングでした。ここから質問に応じて回答をカスタマイズしたり、記録して継続的に自分の業務に活かしていくためにに必要な保存機能を実現するためには、もうウェブサイトじゃなくて、システムのほうがいいという段階までいって、ようやくソニックガーデンの職人を投入させることになりました。
倉貫
そこから開発をして、どれぐらいで最初のバージョンを出しましたか?
飯田
12月から開発に入り、最初のバージョンが出来上がったのが4月末なので、4カ月、5カ月でまず開発をしました。
倉貫
そこまではどういった開発の進め方だったんですか?12月ぐらいから弊社の前田が開発者としてチームに入って、5月に「出来上がりました」と言われたのか、もうちょっと打ち合わせをしたのか、どういうつくり方をしたんですか?
飯田
基本的には打ち合わせをしながらです。どこまでをファーストリリースのスコープに置くか見定めるのに結構議論がありました。いったん先ほど藤原さんもおっしゃって頂いた4つの質問をやって、それに対して顧客ごとの回答に応じた結果を出すというところ、それを保存するというところまでをまず見定めました。どの段階だったかちょっと正確には憶えていないんですが、藤原さんが社内の中を統一するためのキャッチフレーズみたいなものがあったほうがいいよと助言して下さり、社内で議論をして「みんなの海外取引」という1つのキャッチフレーズが出来たんです。そこからかなりギアは上がって、「みんなの海外取引なんだから、こういうものはいるよね」とか、1つの背骨ができて、よりスピードがアップしてきました。
谷津
開発の進め方というところでは、カギはやはり週次の打ち合わせですかね。毎週タスクを決め「来週はここまでいきましょう」と、お互いに宿題を持ち帰りあって、次の打ち合わせでやってきた宿題を毎週持ち寄る。その中でやっぱりイメージと違うから変えるところがお互いにある。開発面やデザイン部分も含めて我々も意見を言わせていただく、逆に、我々がやってきた宿題についても「なんですか、これ」みたいなご指摘もいただくという形でした。
マイルストーンを適宜設定しクリアし続ける
谷津
ウォーターフォール型のシステム開発はある意味要件を決めて開発に入ってしまうと、最後にポンと出来上がってきて、「え、思ってたのと違う」みたいなところがありますけど、それは全くありませんでした。すり合わせながら1週間やってきたけど、「すみません、ちょっとやっぱり前の言ったことと違います」、「じゃあ、来週やりましょうか」というふうな対応もできていました。今回、新規事業ということもあり、ある程度コンセプトは固まりつつも、具体的に何をご提供するかという形が定まっていない中では、とてもいいやり方をさせてもらったと思っています。
倉貫
全体像を把握してその中で何%進んでいるというのが見えない中で、進んでいることだけが分かるというやり方は不安ではなかったですか?
谷津
ちょっと途中、確かに焦りはありましたね。
飯田
多少の不安もありましたね。とはいっても、ここまでにこれをやろうというマイルストーンを適宜設定させて頂いたので、それに向けてまず進んでいけましたね。それをクリアしたら、新たなマイルストーンに向けて進むので、全く見えないということはなかったのです。
谷津
打算的にいうと、3月決算なので、2015年3月期でどこまでいけるかという焦る気持ちは多少ありつつも、そこで負けなかったのは、最初にコンセプトを固めたことで、ここまでいかないとお客様に対して1つのストーリーとして完結しないよねというところを見定められていたからだと思います。3月末の時点ではそこまでは到達できないことがはっきりしていましたので焦りはしましたが…。
谷津
「2月、うーん、これは3月に終わらなさそうだな」とか、「でもソニックガーデンの前田さんがこんなに頑張ってくれているから、もっと頑張ってとは言えないしね」みたいな。
前田
確かに、そういうところは気を遣って頂いてたのかなと思いますね。
谷津
でも、我々も妥協していたつもりはないですね。逆に言うと、我々自身も、ここまでいかないとお客様にベータ版とはいえ提供する価値はないよねという風に、感化させてもらったと感じますね。
エンジニアとのコミュニケーションで事業に対する視野が広がる
倉貫
開発者として前田は、一緒に打ち合わせを毎週していてどんな感じでしたか?
谷津
富井さんは、前田さんに電話するときはすぐ分かるんですよね。
富井
緊張して、背筋がピンと伸びます。
前田
やりにくいっていうことですか(笑)?
富井
いえいえ、そういうことではないです。前田さんと週次で打ち合わせをさせて頂く中で、「デザインはここまでにつくって、あとはちょっと市場の様子をみたらどうですか」とか「まずはここまでの開発にしておいて」というシステム目線での的確なアドバイスを頂けるので、とても勉強になります。また「ここまでやらなきゃいけない」と視野が狭くなってるところを、前田さんと話しながら「そうではない」と気付かせて頂くことが多いです。そういった実力を知ってるが故に、前田さんが最大効率で開発を進められるように、掲示板に書き込む内容などは気をつけながらやってます(笑)
前田
必要以上に丁寧だなと思ったんです。
富井
コミュニケーションで、伝え損ねとか間違いがないようにと気遣って、そういう意味で背筋がすっと伸びているのだと思います。
技術的なところを加減せず説明してくれるのが、納得感とか安心感につながっている
倉貫
納品のない受託開発は、最初の開発者が入って、1カ月、2カ月位はお試しということで開発者を変えてもいいという制度があるんですけど、前田で大丈夫だなと思いました?
富井
とても信頼しています。お会いする以前から巨匠だとずっと聞いていて、その巨匠の名の通りの方だったので。
藤原
かなり引っ張ってから前田を入れることになったので、事前にハードルを上げていたんですよ。「今度すごいの連れてきます、巨匠ですから。唯一巨匠と呼ばれている男」って(笑)
富井
前田さんとの打ち合わせはとても楽しいです。毎週システム的な話をする中で、私自身もそっちのバックボーンがあるからかもしれないですけど、「ここはやっぱりこういうやり方のほうがいいんじゃないか」とか、「ここはこう変えるんじゃなくて、こう変えたほうがいいんじゃない?」といった話を交わすことが、たぶん谷津さんもそうなのですが、非常に楽しいのです。前田さんの話を十分に理解をしながら、納得感を持って一緒に業務的な決断をできたかなと。
谷津
確かにそうですね。技術的なところも、多分、加減せず説明してくださるのが、納得感とか安心感につながっていますし、逆に背筋を伸ばさせてくれているところでもあるかもしれないです。我々自身もそこをちゃんと理解して、それが最短距離なんだというのを理解しないといけないと思っていますので。
飯田
ビジネス面のところを藤原さんと相談させて頂き、そこで一致してきた部分を、我々経由なり藤原さん経由で前田さんに伝えてもらっても、前田さんの中でワンクッションあって、すぐに「分かりました」という話ではなくて、「それはまだ早いと思います」という回答だったりで、なんでも「分かりました」というスタイルではないんですよね。非常にポリシーというか、考えがちゃんとされている方なんだなというのを、当初の2カ月で思いました。ぜひお願いしたいなと思いました。
出来たものをその都度見てもらえるので、具体的なフィードバックをもらえる
倉貫
今年の4月末にベータ版という形で出されて、もう一般公開ですか?それとも限定された方に使って頂いている感じですか?
飯田
一般公開ではあるんですけども、まだ大々的にプロモーションをやるという感じではなくて、僕らの目の届くようなホームページとかでお使い頂いている感じです。
倉貫
ユーザーさんの反応はどうですか?
飯田
まだ使いこなすには難しいというのが正直なところですね。だいぶ噛み砕いたつもりではあるんですけども、難しい部分がまだあります。僕らのイメージとしては階段を登ってもらうようなステップをイメージしているんですけど、まだそこが十分伝わっていないかなと感じているところです。
倉貫
つくる前よりも、ユーザーさんが使い出してから直したいところがたくさん出てきた感じですか?
飯田
もちろんそうですね。やっぱり目に見えるものをもって話をすると、これはお客様だけではなくて社内への説明もそうですけど、貴重なフィードバックや具体的なフィードバックをもらえます。出来たものをその都度見てもらえるのは非常にやりやすいなと思っています。
倉貫
そもそも昔のウォーターフォールでやっていたやり方とはだいぶ違っていて、ウォーターフォールだと出来たら終わりですよね。ですが我々の感覚からすると、ベータ版を使い始めてからが開始なので、ゴールとスタートが逆になっている感じですよね。じゃあ、まだまだ引き続き直していくことになりますか?
飯田
それもありますし、今の段階ではまずはコノサーにたどり着いてもらうところが十分できていないので、まずたどり着いてもらって、登録してもらう流れに、どれだけお客さんを呼び込めるか、そこを直近の3カ月ぐらい色々やっていこうかなと考えています。
コノサーが海外取引のプラットフォームとなり、総合的にお客様のサポートをしていきたい
倉貫
今後コノサーとしては、どういう展望を考えてらっしゃいますか?
富井
100%ではないですけれど、本来目指していた「与信管理のサポートができるフレームワーク」をお客様に提供できる形に実装して、プロモーションで広められたらと思っています。また、そこで終わりではなく、その中でやはり使いづらい点であったり、もっとこうした方がお客様が社内導入しやすいとか、そういった意見を積極的に取り入れて、より使いやすいものにしていきたいですね。
富井
納品のない受託開発の事例に出てくるスパニッシモさんのサービスも、ユーザが私の知人にいるのですけど、日に日に使い勝手がよくなっていると伺っています。コノサーとしても、利用を始めて頂いたお客様の満足度がどんどん上がっていくように継続的に開発していきたいと思っています。
飯田
まずはお客さんを集めるというところなんですけれど、コノサーでできることって、与信管理だけといえばそれだけなんです。でもお客様の課題は、「海外の取引」という点にフォーカスしても様々あると思うので、お客さんが集まることで、保険会社や調査会社などのこれまで関係を築いてきた協力先の方にコノサーを1つのプラットフォームとして使って頂いて、総合的にお客様のサポートをするような形を次のフェーズでは考えています。
飯田
アメリカなんかは、そういう取引の情報を相互に企業間で交換しあうような仕組み、「クレジットレファレンス」というんですけれど、そういった商習慣があって、日本だとちょっと機密情報にも関係してくるので難しいところはあるんですけれど、できれば我々とお客様だけではなくて、お客様同士でもつながって、企業が海外で商売していく中での経験などをシェアできるような、そういったところまでいけたら最高だなと思っています。
チームがお互いに敬意を払い、お互いの仕事を尊重しながらやれている
倉貫
何か言い残したエピソードとかありますか?
藤原
では1つだけ。このチームでやっていてすごいありがたいなと感じるのは、すごく敬意を感じる点です。私たちにお金を払って仕事をさせているとか、各システムをつくらせている、ではなくて、自分たちはやりたいけれど開発のところまでできないから、それをできる人として尊敬じゃないですけど、敬意をすごく払って下さっているのを感じます。なので、それこそ僕らは背筋が伸びますよね。敬意を払って頂いているということは、プロとして扱って頂いているので、プロとしての成果を出さなきゃいけないと思うんです。
藤原
それから、これまで話に出てきている「職人技」をノウハウに落としていくために、ものすごい宿題が多いんです。お客さん側の宿題が毎回毎回大変で、これはたぶん終わらないだろうなと思いながも前田と2人でお願いを投げるんですけど、次の週には必ず仕上げて下さるんです。8割ぐらいでも1回仕上げてきて下さることで、私たちからしても、また皆さんへの敬意が生まれるんです。チームがお互いに敬意を払い合ってお互いの仕事を尊重しながらやっていくということができているので、すごくやりやすいし、かといって甘えは生まれなくて、すごくうまくやらせてもらっているなと思います。
飯田
いいお話をありがとうございました(笑)今日いらっしゃってないですけど、ヨキノさんがいらっしゃるトライアングルというのがやっぱりすごくいいバランスだと思っているんです。それぞれキャラももちろん違いますし、ビジネス面での色んなアドバイスをくださる藤原さんと、デザインのところのヨキノさんと、エンジニアからの前田さん、そういったいいトライアングルのチームをつくって頂いたので、我々も安心してお願いできています。
新規事業の立ち上げで感じたそれぞれの成長と想い
倉貫
最後にお一人ずつ、個人的な思いで構わないですけど、このプロジェクトを通じて自分の中で変わったところ、1年半位前と比較して、何か変化があれば教えてください。
富井
実は私は、仕事をそれほど楽しいと思ったことはなくて、どちらかというと趣味でやっていることの方が断然楽しいです。もちろん仕事によって楽しさの濃淡はあるのですけど、そんなに面白いと思ったことはなかったんです。けれど、このプロジェクトに携わらせてもらってから、やっぱり仕事って楽しんだほうがいいんだなと再発見させてもらったと思っています。作るものに十分な納得感や明確な目的・意義を持って開発を進められており、やりがいを感じています。自分自身はブリッジ的な立場にいて、そこまでノウハウや技術があるわけでもないですけど、全体の協力を得ながら、コノサーが出来ていくのを担当者として見ていけるのが楽しいですね。
谷津
一緒にお仕事させて頂く中で感じているのは、勉強させて頂いている部分が多いなという点です。アジャイル開発そのものではないですが、新規のウェブビジネスを立ち上げることの考え方を学ばせて頂いたなと思います。これまでの自分の経験もあって、与信管理やリスクマネジメントですとか、あるいはウォーターフォール型の開発って、どちらかというと突き詰めるんですね。収束させるというところ、かつ「自分が」みたいなところで生きてきた17~18年位だったような気がします。けれど、先ほどお話した藤原さんに引き出して頂いた「みんなの海外取引」というキャッチフレーズではないですけれど、「自分が」がじゃなくて、「みんなの」多様な力、多様性の中から新しいものが生まれるというのを学ばせてもらったのはとても貴重な経験だったと思っています。
飯田
個人的に非常に成長させて頂いたと思ってまして、1担当者から1つの組織を立ち上げて、そこの責任者をやらせて頂いているので、これはかなり大きな変化でした。普通でしたら既存の事業の担当者から徐々に責任のある立場になるわけです。自分でつくったものに対する愛着というのは人一倍あって、だからこそもう少し引いて見なければいけないと思ったりするところもあります。まずこれを絶対に成功させたいという思いが非常に強くありまして、一方でビジョンもあり、そこの理想と現実じゃないんですけど、そのバランスを考えるようになったというのは非常に大きな変化だと思います。個人的には成長したという実感はあるんですけれど、まだまだそれを会社や事業に対してフィードバックできていないと思うので、コノサーを成功させていきたいな、発展させていきたいなと思っています。
倉貫
ありがとうございました。我々も引き続き、ご協力できたらと思いますので、よろしくお願いします。
みんなの海外取引 CONOCER(コノサー) https://www.conocer.jp/