「金融×IT」のサービスをゼロから創出。方針転換や社会情勢の変化にも柔軟に対応して事業を成長させ続ける
個人の資産運用や資産形成等のファイナンシャルプランニングをはじめ、コンサルティング業を営むブロードマインド株式会社様。
「人生という”旅”にお金のガイドを」をコンセプトに、個人向けサービスの「マネパス handy」とFP(ファイナンシャルプランナー)・コンサルタント向けサービスの「マネパス withFP」をソニックガーデンとともに開発・展開し、あらゆる人のライフプラン設計に役立てています。
これまで使用していたシミュレーションシステムは金融機関が保持しているものだったため、個人が更新を必要とする場合は、FPに依頼するというひと手間が必要でした。しかし本来、シミュレーション結果はご本人が自分のために保有し続けるものであるという考えから、「ライフプランの民主化」を図るべくゼロからプロダクトを構築したいと考える中、ソニックガーデンの「納品のない受託開発」に出会ったと言います。
試行錯誤を重ね、時には全てを捨ててコンセプトから練り直すという、まさにゼロからの構築に伴走しました。変化の激しい金融業界に柔軟に対応する、生きたプロダクトを現在もともに開発し続けています。
その一連の取り組みについて振り返っていただきました。
インタビューに参加された皆さん
ブロードマインド株式会社 経営企画室シニアマネジャー。マネパスの開発リーダーとして、初期からプロジェクトに参画。東京工業大学大学院卒業後、大手クレジットカード会社に入社し、その後大手総合コンサルティングファームへ転職。2011年、ブロードマインドに入社。コンサルタント職を経て、現在は経営企画室に所属し、全社の戦略策定や事業開発に取り組んでいる。
ブロードマインド株式会社 経営企画室マネジャー。慶応義塾大学 理工学部卒業後、2015年にブロードマインドへ入社し、個人・法人に対するコンサルタントやセミナー講師として活躍。2021年4月に経営企画室へ異動し、現在はマネパスのプロダクトオーナーとして開発・改修や、営業、導入サポートを担当。
ブロードマインド株式会社 経営企画室シニアマネジャー。マネパスの開発リーダーとして、初期からプロジェクトに参画。東京工業大学大学院卒業後、大手クレジットカード会社に入社し、その後大手総合コンサルティングファームへ転職。2011年、ブロードマインドに入社。コンサルタント職を経て、現在は経営企画室に所属し、全社の戦略策定や事業開発に取り組んでいる。
⎯
「マネパス」について簡単に教えてください。
村上
「ライフプランシミュレーター」と呼んでいます。ライフイベントや人生の選択によって生じるお金や、現在の家計収支、社会保障や公的年金なども含めてシミュレーションして可視化するものですね。通常は、金融機関、主に保険会社や保険代理店が使っているものです。
マネパス自体は2つのプロダクトに分かれておりまして、一般の方が無料で使える「マネパスhandy」というものと、FPが使用する、より精緻なシミュレーションができる「マネパスwithFP」です。
マネパス自体は2つのプロダクトに分かれておりまして、一般の方が無料で使える「マネパスhandy」というものと、FPが使用する、より精緻なシミュレーションができる「マネパスwithFP」です。
⎯
お2人の役割分担はどのようなものでしょうか。
水野
私はプロダクトの責任者として、マネパスの本当に初期からソニックガーデンさんと一緒に全体を主導する立場にいます。
村上
私はそもそもはFPだったんですが、3年ほどまえに新規事業を行う経営企画室へ異動しまして、そこからは水野からプロダクトオーナーを引き継いで、水野とソニックガーデンさんと一緒に事業運営をしています。
未知のサービスを作りたい。対話を重ねて道を探る作業に伴走してくれるのは、ソニックガーデンだけだった。
⎯
ソニックガーデンへご相談いただいたきっかけは何だったんでしょうか。
村上
ライフプランシミュレーターというものは、金融機関が出しているものを使うというのが通例だったんです。でもそれだと、お客様と作り上げたライフプランのデータが金融機関のシステム自体に蓄積されていくばかりで、弊社のものにはならない。かつ、担当者が離職すると、データが引き継げないんです。これは非常にもったいないことだなと感じていました。
せっかくこれまで数万件とコンサルティングしてきたにもかかわらず、そのデータが蓄積されていない。このデメリットを解消するためには、ライフプランシミュレーターを自社で開発して、自社にしっかりとデータを貯めていくようにするしかない、と考えました。
せっかくこれまで数万件とコンサルティングしてきたにもかかわらず、そのデータが蓄積されていない。このデメリットを解消するためには、ライフプランシミュレーターを自社で開発して、自社にしっかりとデータを貯めていくようにするしかない、と考えました。
水野
そんな背景がありまして、ライフプランシミュレーターを自社で作ろうとなったのは良かったんですが、じゃあどういうものを作ろう、どういうふうに価値提供していこうというところで、いきなりつまずいてしまいました。
先ほど村上が、「自社にデータを蓄積する仕組みを作りたい」という動機について話してくれましたが、実は動機はもう一つあるんです。
先ほど村上が、「自社にデータを蓄積する仕組みを作りたい」という動機について話してくれましたが、実は動機はもう一つあるんです。
⎯
自社にデータを蓄積できると良いですね。もう一つの動機も教えてください。
水野
ライフプランデータは、基本的には金融機関が所有するというのが業界の通例だったんですが、でもそれって本当はお客様自身のものですよね。お客様の人生に関わるデータなんですから、常に自由に触れてもらえるようなサービスにしたいという思いがありました。
それもあって自分たちで開発しようとなったんですけれども、「お客様が触れるようなものにしていきたい」って、要件としてかなりふんわりしています。
それもあって自分たちで開発しようとなったんですけれども、「お客様が触れるようなものにしていきたい」って、要件としてかなりふんわりしています。
⎯
作るものが決まりきっているわけではなかったのですね。
水野
そんなふんわりした状態だと普通の開発会社は困ってしまいますよね。しっかりとした要件があって、それに基づいて作って、納品して、あとは保守、というのが普通ですから。
でもソニックガーデンさんの「納品のない受託開発」は、サービスを一緒に作っていくことができる。多少ぼやっとしたようなイメージの中でも一緒にスタートして、対話して、良いものを作り上げていくという伴走スタイルが、今回の弊社にはフィットするなと思いまして、お願いしたという経緯になります。
でもソニックガーデンさんの「納品のない受託開発」は、サービスを一緒に作っていくことができる。多少ぼやっとしたようなイメージの中でも一緒にスタートして、対話して、良いものを作り上げていくという伴走スタイルが、今回の弊社にはフィットするなと思いまして、お願いしたという経緯になります。
⎯
一緒に作り上げるというところに共感いただいたということですね。
水野
そうですね。そもそも弊社は、自分たちでサービスを作って価値提供する、それによって収益を上げるという活動を今までやったことがなかったんです。ルーツが保険代理店で、今でこそ取り扱える金融商品は増えましたが、仲介業者という立場はずっと変わりませんでした。なので、全くノウハウがなく、サービスを1から作り上げるためにはどのような段取りで進めるべきかというところから、知見が本当になかったんです。
ソニックガーデンさんにはその知見がありましたし、また一緒に考えてもらえる、対話を重ねて探っていくという作業ができることは、非常に心強かったですね。
ソニックガーデンさんにはその知見がありましたし、また一緒に考えてもらえる、対話を重ねて探っていくという作業ができることは、非常に心強かったですね。
システムを動かしてみてわかった改善点。怒涛の改修作業にも柔軟に対応してくれた。
⎯
実際にソニックガーデンとシステム構築に取り組んでみて、いかがでしたか?
水野
マネパスにはエンドユーザー向けのものとプロ向けのもの、2つ種類があります。実は開発当初、プロ向けのものは想定してなかったんです。「ライフプランデータはお客様のもの」という思いから始まっていますので。
だからお客様が触れる、わかるもの、という前提で作ったんですが、出来上がっていざコンサルティングの現場に持って行ったら、FPたちに「もっとお客様の家計が浮き彫りになるような、詳細なプランニングができるものでないと利用は難しい」という厳しいフィードバックをもらったんです。同時に、FPの「ライフプランニングに対する想いやプライド」を垣間見た瞬間でした。
だからお客様が触れる、わかるもの、という前提で作ったんですが、出来上がっていざコンサルティングの現場に持って行ったら、FPたちに「もっとお客様の家計が浮き彫りになるような、詳細なプランニングができるものでないと利用は難しい」という厳しいフィードバックをもらったんです。同時に、FPの「ライフプランニングに対する想いやプライド」を垣間見た瞬間でした。
⎯
現場のフィードバックにどのように対応したのでしょうか?
水野
そこでソニックガーデンの開発責任者である野上さんとも相談して、これとは全く別にFP用のものを作る必要があるな、ということになりました。そこからもう一回、FPが使うための仕様からディスカッションして…。
そこまでお付き合いいただけるっていうのは本当にありがたかったですね。これが普通の受託開発だったら、「もう作りましたよ。納品しました。また次のプロダクトとして発注お願いします」になってしまいますよね。そんなふうになりかねないところを、継続的に柔軟にご対応いただけて。
そこまでお付き合いいただけるっていうのは本当にありがたかったですね。これが普通の受託開発だったら、「もう作りましたよ。納品しました。また次のプロダクトとして発注お願いします」になってしまいますよね。そんなふうになりかねないところを、継続的に柔軟にご対応いただけて。
村上
私がマネパスを運営するチームに異動した頃に、プロ向けに開発したマネパスを社内でリリースしました。でもやっぱり最初の頃は全く使ってもらえなくて。批判がたくさん来て、そこから怒涛の改修を始めました。上がってきた意見をまとめて週次で野上さんと相談して、改修に改修を重ねてどんどんレベルアップさせていきました。今はだいぶ安定していますけど、それでも意見は現場からちょこちょこ出てくるんで、いまだに進化を続けている状態です。
水野
一番最初に作ったものと、今FPが使っているものはかなり違うものになっています。お恥ずかしい話ではありますが、今思えばターゲットが明確になりきれてなかったんだと思います。どういうサービスを誰に提供するのか、そこがいまいちわかっていなかった。ソニックガーデンさんとだったから、ここまで導くことができたんだと思っています。
⎯
ソニックガーデンの「納品のない受託開発」だからこそ、という出来事があれば教えてください。
村上
最近、FPを抱えている会社さんから大型の受注がありました。ライフプランシミュレーターって、基本的にはどれもそこまで変わりはないんです。そんな中で弊社が他社と差別化できたのは、カスタマイズを積極的に受け入れられるというところなんです。大型受注の最大の決め手はその部分だったと先方もおっしゃっていて。
実際私も、要望には「できないことはないです」って答えてしまっているんですよ(笑)。で、その後に野上さんに改修してもらうと。その結果をスピーディに先方に提示して、「本当にできるんだ」っていうのを感じてもらう、その繰り返しで受注が実現しました。これはソニックガーデンだからこそだな、と実感しています。
実際私も、要望には「できないことはないです」って答えてしまっているんですよ(笑)。で、その後に野上さんに改修してもらうと。その結果をスピーディに先方に提示して、「本当にできるんだ」っていうのを感じてもらう、その繰り返しで受注が実現しました。これはソニックガーデンだからこそだな、と実感しています。
水野
社内リリースの時もそうでしたよね。最初はゼロだった社内利用に、細かい改修要望をどんどんもらって、柔軟にご対応いただけた。一緒にプロダクトを育てていっているという感覚が持てたのは、やっぱりソニックガーデンさんだったからだなと思っています。
時代の流れに応じて姿を変えながら育つものに、ずっと寄り添っていける
⎯
どんな会社に「納品のない受託開発」がフィットすると思いますか?
水野
「こんなシステムを作りたい」よりは、「システム使ってこれがやりたい」「こんな世界が作りたい」みたいなものが、ある程度クリアになっている会社さんだと、「納品のない受託開発」の伴走スタイルがよりフィットすると思います。その時その時で適切な助言もいただけますし、またそれをしっかりとプロダクトの中に落とし込んでくださる。
こういうことは、例えば3ヶ月間の開発期間で納品して終わり、みたいな関係性だとなかなかできない。「伴走する」っていう関わり方がベースにあって初めてできることなんじゃないかなと思います。
こういうことは、例えば3ヶ月間の開発期間で納品して終わり、みたいな関係性だとなかなかできない。「伴走する」っていう関わり方がベースにあって初めてできることなんじゃないかなと思います。
村上
マネパスのようなプロダクトは、社会情勢や時代の流れ、税金の在り方など、いろんな要素によって変えなきゃいけない部分が複雑に絡み合ってできています。つまり開発に終わりがないということです。そういう、変化する可能性がより多いシステムを作ろうとする会社さんには、非常にフィットすると思います。あとは、今、世にないサービスを作ろうとしたときにも、この伴走スタイルは合っていますね。同じ目線でディスカッションして作り上げていくことができる。
水野
まだまだお付き合いは続くと思いますが、御社に伴走していただけるのはとても心強いです。これからもどうぞよろしくお願いします。
- 開発責任者の声:ソニックガーデン 野上
- プロダクトの焦点を定めるために、急いで実装しなくてもいいアイデアは一旦置いて、解決すべき問題を明確にすることを意識しました。また、長くサービス運営することを視野に、メンテナンスしやすい設計になるよう伝えることも大切にしています。
ブロードマインド様は、そういったフィードバックや意見を受け止め、ともに考えて作り上げることに対して積極的な姿勢で取り組んでくれたため、スムーズに開発を進めることができています。
付き合いが長くなる中で、今では少ない議論で意思疎通し、スピーディに物事を進められるだけの信頼関係が築けているということは、大きな喜びです。今後ますますプロダクトの発展に寄与していければと思っております。