【#2】変化し続ける働き方 〜僕たちは、オフィスに行きます〜

フルリモート化を経て、若手社員を中心に各地のワークプレイスで働く選択肢も持つようになったソニックガーデン。それは、常に自分たちらしい働き方を模索した中での変化でした。
そんな、「私たちらしい働き方のつくりかた」を全3回の特集記事としてお届けします。
ソニックガーデンの働き方の変化を追う特集シリーズ「私たちらしい働き方のつくりかた」。
第2回目は、フルリモートの看板を掲げていたソニックガーデンが、その働き方を変化させていった足取りを2つのエピソードと共に紹介します。リモートワークをする中である悩みを抱えていた青年プログラマ、そしてアフターコロナ時代に社会人になった4人の若者たち。それぞれの働き方の変化から、ソニックガーデンのカルチャーを紐解きます。
本当にリモートワークが働きやすいのか?
2020年3月13日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく措置として日本で初めて緊急事態宣言が成立。4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で緊急事態宣言が発出され、続く4月16日に対象が全国に拡大されました。
不要な外出を控えるように求められ、オフィスへの通勤も制限されはじめる中、多くの企業がリモートワークを導入していきます。2019年は20%程度だった導入率が、たった2年後の2021年には、51.9%と大幅に増加しており(※)、いかに急速にリモートワークが広がっていったかがわかります。
※出典:総務省「通信利用動向調査」(平成25年~令和4年)
そんな、社会的に大きな動きがあった2021年1月、1人の男がソニックガーデンに入社しました。名前は渡辺信幸、入社当時30歳。福岡県出身のナベさんは、ソニックガーデンに入社するまでは、一人暮らしをしながら佐賀県のIT企業に務めていました。そのIT企業では、毎日出社をしており、ソニックガーデンでの入社ではじめてリモートワークをスタートします。

だから、リモートワークをしたいと思ってソニックガーデンを選んだわけではなかったんです。ただ、リモートワーク自体は出勤しなくて楽だし、周りもそうなっていた時期だったので、嫌だという気持ちはありませんでした
ソニックガーデンに入社後、リモートワークで仕事を進めていく渡辺。エンジニア経験を活かし、開発に勤しむ日々が続きます。しかし、日が経つにつれ、ある感情が渡辺の中に芽生えていくことになります。

ソニックガーデンには、自社開発した社内コミュニケーションツールがあります。何か困りごとがあれば、掲示板にすぐ投稿できますし、必要があればZoomで話すこともあります。それぞれ、気軽に相談しあっていたのですが、入ったばかりだったり、会ったこともない人がほとんどだったりで、変に気を使っていたんでしょうね。もともとの性格もあるかと思います。それで、1人で仕事での悩みごとを抱え込んでしまって、いい状態で働けなくなっていました
一人暮らしでリモートワークを続け、相談ごとも溜め込むようになってしまった渡辺。このままの環境で働き続けられるのか、悶々とした日々を過ごすなか、年に1回の倉貫との「ふりかえり」の日に転機が訪れます。この一年でやったことや、わかったことを話す中で、渡辺は「リモートワークで働きづらい」ということを、正直に倉貫に伝えたのです。

僕って人と話すのが好きだったんだ
2022年3月、トントン拍子で引っ越しを終えた渡辺は現在、溝の口にあるワンルームほどの大きさのワークプレイスに毎日出社しています。そこでは、親方である松村、そして親方に師事する渡辺を含む3人の若手プログラマが集まり、日々開発に勤しんでいます。急激な環境の変化は、渡辺の働き方や心境にどのような影響を与えたのでしょうか。

以前住んでいた佐賀県の町は、のどかで、刺激が少ないところでした。それはそれで、静かでよかったのですが、1人でそういうところに住んでいると代わり映えしない日々をつまらなく感じることもあります。日々刺激を受けていると、こんなに時間が流れるのは早いんだと実感しましたね
変化を楽しみながら、充実した日々を送る渡辺。現在は、溝の口のワークプレイスに毎朝遅くとも9時ごろ、早い時には7時30分に出社している。
さらに、週一回は田園調布にある別のワークプレイスに顔を出し、昼食を自ら作りそこで働くメンバーとランチを共にしているという。こうした働き方、いや生き方とも言ってもいい変化によって、仕事にもいい影響が出ている。

このワークプレイスで働くメンバーとは、よく一緒にお昼を食べに行きますし、夜も時々食べに行きます。そうやって、人と話すことが実は好きなんだって、リモートワークをしてから気付いたような気がするんです
こうした変化が起きたのも、ふりかえりという時間の中で倉貫に正直に自分の現状を伝えられたからこそ。一般的に言えば、経営者と直接話す場で「リモートだと働きづらい」と正直に伝えることは心理的な抵抗が強いはずだ。こうした筆者の感覚を渡辺に伝えると、こう返ってきました。

渡辺の現在の目標は「テックリード」のような存在になること。比較的規模の大きな開発案件に携わる中で、先輩プログラマが見せてくれているような、プログラマチームをリードできるスキルを身につけたい。そのために、今日も渡辺はワークプレイスに通いながら、親方の薫陶(くんとう)を受けていることでしょう。
薄々感じていた人間関係の距離感
渡辺と同様に、リモートワークからワークプレイスへの出社に切り替えたメンバーは他にもいます。しかも、4人同時に岡山へ、という少し変わった形で。そうしたユニークな働き方の変化を経験したのが、2022年入社の若手メンバーたちです。
2022年4月に3人、7月に1人、ソニックガーデンに入社をした第二新卒を中心とした合計4人の若手メンバー。彼らは入社してから現在(2023年10月)に至るまで、親方の野上誠司(通称:せーじさん)のもとにつき技術とセルフマネジメントスキルの修行しています。
ここからは、当初、リモートワークで4人バラバラな場所で働いていたのが、一転して親方の野上のいる岡山県で働くことになった経緯と働き方の変化について、4人のメンバーたちによる座談会形式でお届けします。






それが、オンラインだけになって、それに合わせたコミュニケーションが必要になってきて…。ソニックガーデンはオンラインのコミュニケーションに長けた人ばかりですが、それでも距離を感じることはありましたね。













自分の働き方は、自分で考えてつくる







ソニックガーデンの場合は、自分にはこういうのが合っているというのがあれば、聞いてくれるし、どうすればいいか一緒に考えてくれます。それもあって、変化のスピードもすごく早いですし、自分たちが会社を改善する一つのきっかけになっているという実感もあります。仕組みにすごくこだわる会社である一方で、変に固執せずに仕組みを捨てることもあります。常にベターな仕組みを真剣に模索している会社だと思いますね。

フルリモートの会社として知名度もありますが、リモートワークをしようと思ってしていないというか。実態としてどういう働き方がいいかを考えた結果として、リモートワークがあったんだと今は理解しています。だから、リモートがいい悪いという議論とは別の視点、一人ひとりがどう働くのがいいかを考えるというのが、ソニックガーデンのカルチャーなんだと思います。

自分がどうやったらソニックガーデンで成長できるかを考えたうえで、どういう環境で働くかも考える。そういう姿勢を受け入れてくれる会社を求めるのであれば、ソニックガーデンに応募してみてほしいですね。

でも、そういうのって人によっては面倒って感じることもあると思うんです。実際、難しい面もありますからね。ただ、そういう“面倒さ”が好きっていう人は、ソニックガーデンで楽しく働けるのではないでしょうか。
…以上、若手メンバーながら、働き方を大きく変化させた4人による対話でした。「自分で考える」「それを会社が受け止めて、一緒に考えてくれる」…。それぞれの言葉から浮き彫りになってくる、ソニックガーデンのカルチャー。言葉の節々から、「自分たちで自分たちが“いい感じ”になれる働き方をつくる」という意思表示も感じられました。そんな会社、そんな人たちだからこそ、決まりきった働き方のつくり方は存在せず、人それぞれの働き方のつくり方があるのでしょう。
さて、ソニックガーデンの「働き方のつくり方」の本質が見えてきたところで、次回の記事では、もう一つの視点での「つくり方」についても紹介しましょう。プログラマ集団らしく、「自分たちで使うツールは自分たちでつくる」という思いのもと、数年をかけてアップデートを続けている秘伝のソフトウェア「World」の開発秘話をどうぞ。