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兵庫から来た文系出身の音楽人 伊藤淳一がソニックガーデンに入るまで 2013年03月15日

今回はソニックガーデンの一番新しいメンバー * である伊藤淳一さんの紹介です。伊藤さんはソニックガーデンでは、倉貫さんに次ぐ年長者です。そのちょっと意外な青春時代から、今回のインタビューは始まります。

*2012年末時点。

ミュージシャン志望のはずが・・・

まずは単刀直入に、伊藤さんは学生時代、どんな大学生だったんですか?やっぱり、工学部出身で、プログラミング大好きだったんですか?

いえ。僕は文系出身です。学生時代は、仲間とバンドを組んで、真剣にプロミュージシャンを目指していました。コンピュータといっても、PCの操作に対する拒絶意識はありませんでしたけれど、プログラミング経験はありませんでした。

それは少しというか、かなり意外ですね。では、ミュージシャン志望だった伊藤さんは、どういう経緯でプログラマになったんですか?

僕らのバンドは大学を卒業した後も、一年間は就職しないで音楽活動を続けていました。でも、一年経ってバンドが解散することになって、僕も仕事に就くかってことになりました。その時、手の中にあった選択肢から譲れない条件を消去していったら、ある大阪のシステムインテグレータが残ったんです。まさに消去法で選んだ結果です(苦笑)。

そんな伊藤さんにとって、プログラマの仕事はどんなものでしたか?

その会社では、とんでもないどん底の仕事もあれば、とてもエキサイティングな仕事もありましたね。最初に割り当てられた仕事は退屈でした。 今にして思えば、COBOLで作ったプログラムを移植したんだろうなという感じのVisual Basicのアプリをメンテナンスしていたんですが、あまり学ぶことはなかったように思います。給料はかなり安かったですし、その他の待遇もお世辞にもいいとは言えませんでした。

そんな厳しい環境の中にもかかわらず、プログラミングに関心を持ったのは、どんなきっかけからだったんですか?

半年ぐらい経ったころでしょうか、いいプロジェクトに配属されました。英語の技術書を読みながら、僕らにわかりやすく指導をしてくれる、いい先輩に恵まれました。すごくかっこよく見えましたね、その先輩が。僕もこんな風になりたいと憧れました。 それに、何も考えていないプログラムときれいなプログラムの違いも目の当たりにしました。ここまで違うのか、こんなコードが書けるようになりたいって思いました。 そして、そのプロジェクトで初めてオブジェクト指向に触れたんですが、これがすごく面白かった。「これを極めよう」って思いました。 何より、それまでの仕事がひどくつまらなく思えました。そんな仕事に戻りたくなかったので、自分を洗練させようと思って、本を買いあさって読み込んでました。

そのプロジェクトが、伊藤さんにとっての最初のターニングポイントだったようですね。ところで、伊藤さんは兵庫県西脇市 * 在住とお聞きしていますが、そのころからお住まいなんですか?

いえ、違います。結婚して子どもができたのを機に、妻の実家に引っ越したんです。子どもを育てるのにいい環境だったので。僕も、しばらくは、西脇から大阪まで通っていたんですが、さすがにしんどいんで、転職しようかと。最初の会社に入って3年ほど経ってました。刺激的な仕事もありましたし、この業界での一通りの経験はさせてもらえたので感謝はしていますが、いかんせん給料が…(苦笑)。 それで、地元にあったある半導体メーカーの工場にSEとして転職したんです。

*兵庫県西脇市:兵庫県北播磨地区の北側、神戸市の北約50kmに位置し、東経135度線、北緯35度線が交差しており、経緯度で日本列島の中心点に位置することにちなみ「日本のへそ」としてアピールしている(出典:Wikipedia)。ちなみに、大阪駅までは車で片道約2時間。

新しい会社はいかがでした?

アップダウンの激しかった最初の会社に比べると色々な意味で安定していました。社内システム開発に携わったんですけれど、おかげさまで給料はよくなりましたし、残業も減りました。ただ、技術的な刺激があまり高くありませんでした。 それで、空いた時間を使って独習をするようになりました。それで、わからなかったことを他の人のブログで教わっているうちに、自分も発信する側にも回ろうと思うようになりました。自分なりに社内で取り組んでいることや、それに関する技術的なTipsが中心でしたね。

自己表現欲求が原動力

伊藤さんのブログはなかなかに人気があるということですが、どのあたりに秘密があるんでしょう?やっぱり読者の反応が支えになっているとか?

うーん、どうでしょう。ブログに投稿する際は、確かに読み手を意識してきました。でも、他人の評価を求めているわけではないですね。 僕は子供のころから、ものを作ったり、絵を描いたりといったオリジナルのものを作るというのが好きでした。学生時代の音楽活動はその最たる例ですが、曲を作っていたのも自己表現欲求が原動力でした。きれいなメロディ、きれいなコード進行を追求してました。

確かに、聞き手に自分が美しいと思うメロディを届けたいと思う気持ちと、聞き手にほめてもらいたいという気持ちは、少し違いますよね。読み手のウケを狙って題材を選ぶのではなく、自分で興味や関心のあることしか書かないけれど、読み手が読みやすいように気を配っているのが、評価されているのかも知れませんね。 さて、そろそろ、伊藤さんとソニックガーデンの出会いについて伺いましょう。

はい。去年(2011年)の春、Twitterで誰かのリツイートがきっかけで倉貫さんのブログにたどり着いたんです。面白いし、筋が通っているというか、理にかなっているなぁと思って惹かれたのが最初です。それでも、当時のソニックガーデンは、上場企業の社内ベンチャーでした。入社する機会もないでしょうから、遠くから見ているだけでした。 その後、夏ごろだったと思いますが、「納品しない受託開発」というコンセプトを知って、ますますいっしょにやれたらなぁって思いが強くなりました。

でも、中途採用で入れるとは思えないし…ってことですね。それが、独立したことで、身近になってきたわけですね。

そうです。その秋、独立したって知ったときは、まず「すげぇ!」って思いましたね(笑)。 それで、HPの募集要項を見てみたら、「リモート勤務OK」って書いてあるじゃないですか。これは「ダメでもともと」と思って履歴書を出しました。門前払いされるかなとも思ったりしたんですが、僕のブログを読んで人間的には悪くないって評価してもらえたようで、11月ごろ倉貫さんと面談することになったんです。 実際に面談したら、「じゃあ何かRubyでプログラム書いてみて」と言われました。

次の段階に進んだということですね。

そうですね。「よかった、まだ続くぞ」って思いました。僕としては、とりあえず、不採用と言われるまではがんばろうと思ってました。

ちなみに、その時、Rubyはマスターされていたんですか?

いやいやいや…(答えにくそうに)、YesかNoかって言ったら、Noですよね(苦笑)。 もちろん、存在は知っていましたけれど、マスターしていたとはとても言えませんでした。それこそ本気になって勉強しました。

なるほど。そこから採用通知をもらうまでは、どんな経緯だったんですか?

話せば長くなりますよ(笑)。 最初は、技術者向けのQ&Aサイトのプロトタイプを作るように言われました。それは、何とか1月に入って提出しました。そしたら、2月に他のメンバーに紹介するって言われました。 最初は、Skypeミーティングという話だったんですけど、やっぱりネット越しではわからないことがあると思ったんで、東京まで行ったんです。そうして一日職場体験させてもらったら、これが想像以上でした。

なおさら惚れ込んじゃったんですね。それから、どうなったんですか?ハードルの高さにくじけたりはしませんでしたか?

そこからは、本格的な適性判断が始まって、FacebookメッセージとSkypeでやりとりしながら、自社サービスの開発の手伝いをしていました。 ハードルの高さを感じるというよりは、ひたすらがんばっていたというのと、松村さんのコードレビューを楽しんでいましたね。それまでは、もっぱらコードレビューする側だったんですけど、される側に回って的を射た指摘を受けるのが新鮮で楽しかったです。きれいなコードを書きたいと思っていたので。 ただ、いつ終わるのかわからなかったのは、しんどかったですね。妻にも「いったい、いつ終わるの?」って、だいぶせっつかれてました(苦笑)。

ご家族の反応はどうだったんですか?

前の会社に比べるとかなり小さいし、できたばかりのベンチャーということで、最初は半信半疑でした。でも、粘り強く説明を続けたら、最終的には納得してくれました。

なるほど。それで、晴れて正式採用となったのは?

今年(2012年)の4月のことです。

リモートだからこそ見える自分のシゴト

実際に入社してみてどうでしたか?

それがですね…(ちょっと声を潜めるように)、いざ入れば当たり前ですけど、お客さん扱いが終わるじゃないですか。「じゃ、一週間でここまでやってね」って言われる量が、入社前に覚悟していたレベルの2つ、いや3つ上なんですよ。「おぉっ」て感じで、さすがに面食らいました(笑)。 それでも、3ヶ月過ぎて東京での研修が終わるころには、冷静に自分の足りないところや目標が見えてきました。

東京での研修を終えた後は、西脇からのリモートワークですね。

はい、そうです。ソニックガーデンでは、場所に縛られずに働けるように、クラウド上に開発環境があります。だから、リモート環境からでもどれだけ時間使っているかも、丸見えです。お客様との打ち合わせは通常Skypeで十分機能します。

初めてのリモートワークはどうですか?時間管理は難しくありませんか?

いいところ、悪いところ、ありますけど、トータルではプラスですね。っていうか、理にかなっていると思います。 ただ、危機感があるので、必死です。ソニックガーデンでは、毎日正味8時間の中で求められる成果を出さないと、落ちこぼれてしまうんです。「残業して決められたところまでやる」っていうのが普通でしょうけど、「決められたところまでできなかったの?それは残念だね」ってことになります。残業してもいいけれど、それはソニックガーデンでは、とても「格好の悪いこと」なんです。「よくがんばったね」なんて、プラスの評価にならないんです。 僕はもともと負けず嫌いでなんで、今の立ち位置は自分でもまだまだ不満です。もっともっと実力を付けて、多くの案件を併行してこなせるようになりたいですね。


文系出身でプログラミング経験も無かったと聞いたときには驚きました。でも、プロミュージシャンを目指していたほどの創造性と自己表現欲求、持ち前の負けず嫌いとど根性が道を切り拓いてきたんですね。エンジニアになるべくしてなったようなメンバーに揉まれながら、500Km彼方で働く異色のエンジニア。これからの活躍を大いに期待しています。


 インタビュアー/ライティング:古田英一朗

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「納品」をなくせばうまくいく~ソフトウェア業界の"常識"を変えるビジネスモデル
「納品」をなくせばうまくいく 表紙

本書は、IT業界の、とりわけソフトウェア開発の業界で〝常識〟とされているビジネスモデルを変えてしまおうという試みです。ソフトウェア業界にはびこる多くの問題を解決するために取り組んだ新しいビジネスモデル「納品のない受託開発」について書いています。「受託開発」なのに「納品」をしない、なぜそんなことをやっているのか、そして、なぜそんなことが実現できるのか、その秘密について解説したのが本書です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)