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アプリ「ファミリースタート」をきっかけに外へ出よう。リアルなコミュニケーションに繋がるサービス作りのヒント|NPO法人マドレボニータ【後編】 2016年11月21日


  • アプリ「ファミリースタート」をきっかけに外へ出よう。リアルなコミュニケーションに繋がるサービス作りのヒント|NPO法人マドレボニータ【後編】
  • 産後ケアが当たり前の社会へ。Googleインパクトチャレンジ採用プロジェクト・アプリ「ファミリースタート」開発エピソード|NPO法人マドレボニータ【前編】
  • 出産・産後の準備アプリ「ファミリースタート」。約1年をかけて、複数の組織をつなぐチームで開発されました。 産後ケアの重要性を難しくなく、明るく前向きにジェンダーレスで伝える工夫。その元となるコンセプトやユーザー視点で考えられた機能は、どのようにして生まれたのでしょうか。開発は、コードを書くだけではない。チーム全員で向き合ったサービス作りを振り返ります。

    好きなもの・イヤなこと。イメージを見える化して、チームの認識をそろえていく方法

    --
    アプリのコンセプトはどのように作っていったのでしょうか。

    大島の顔大島
    マドレの教室チケットをプレゼントする仕組みとアプリ、ということしか決まっていなくて。でも本当は、産後ケアが当たり前という世界を作りたい。そのためには、どういう仕組みが欲しいのかという話を最初の頃に突き詰めて、路線変更しました。プレゼントとアプリは切り離したという感じですね。

    野上の顔野上
    デザインコンセプトは、時間かかったね。

    三澤さんは、課題を可視化しデザインで解決するスペシャリスト。

    大島の顔大島
    イメージを言葉に表して伝えても、受け取る側によって違う感じになっていました。その上で会話をするから、またちょっと噛み合わないねって。さあどうしよう?という状態を、何回か繰り返しましたね。それを三澤さんがリードしてくださった。

    西見の顔西見
    そのとき思い出すのが、ワークショップ。みんながコンセプトに対してイメージしている写真や物を持ってきて、認識合わせをしました。

    三澤の顔三澤
    素材をいっぱい持ってきて、切り貼りしましたね。

    西見の顔西見
    切り貼りして、これはこういう風にカテゴライズできるよねと話し合いましたね。机の上に素材をばーっと広げて、少しずつ少しずつみんなのイメージを合わせる。あ、このイメージってこういうことだったんだねと見えるもので認識をそろえていきました。

    大島の顔大島
    好きじゃないことシリーズのカテゴライズが、わかりやすかったね。

    林の顔
    好きよりも、好きじゃないシリーズのほうがはっきりしていましたね。赤ちゃん向けのような幼い感じもイヤだし、現実とかけ離れてキラキラしすぎなのもイヤ。男性も使うので、使っていても恥ずかしくないものを作りたいよねと話していました。

    三澤の顔三澤
    アプリのデザインコンセプトに、マドレボニータさんの哲学や考え方が反映されています。たとえば、ムリして造られた外見だけキレイな女性の理想像のようなものは掲げたくない。これが正しいというのを打ち出したいわけではなく、みんながもっと身近に感じられて、気取ってもなく、でも子どもっぽくもなく……ということがすべて取り込めています。

    大島の顔大島
    去年の10月くらいからデザインコンセプトを始めて、翌年の1月末ぐらいまでかかりましたね。

    --
    機能も、いろいろと検討されたのですか?

    三澤の顔三澤
    妊娠してから産後を卒業するまでの期間、カスタマージャーニーマップでユーザーの体験を全部洗い出しました。どういうときに、どんなきっかけで何を使うかという基準を見つけたり、関係性を見ていきたくて。機能があるから作ったよ、ではなくて使い方。アプリを使う人の考えや動きを把握して作っています。

    カスタマージャーニーマップで見える化することにより、
    サービスの課題や目的をチーム全員が共有できる。

    西見の顔西見
    使い方にフォーカスして機能を考えましたね。また、実際に妻にマドレボニータさんのレッスンを体験してもらって、リアルな声を聞きました。毎週毎週、「今日はこんなことした、こんな人と知り合ったよ。終わったあとのランチが楽しいんだよね」ってレポートしてもらって。

    林の顔
    カスタマージャーニマップは、西見さんの話をメインに作成しました。野上さんにも話を聞いて、比較することもできましたね。そのマップから生まれたのが「あゆみ」の機能です。

    三澤の顔三澤
    「あゆみ」は追加機能としてお願いしたのですが、あのタイミングで機能の追加は難しいなと思っていて。

    大島の顔大島
    ユーザーテストが1月末ぐらいだったのに、12月に「やっぱりこれはほしい」って言い出したからね

    --
    想定していなかった新規の機能ですよね。相談されたとき、野上さんはどう思われましたか?

    野上の顔野上
    その機能いらないなって思ったら、すぐにまだいいんじゃない?って答えるけど、そう言い切れなかったから悩んだよね。入れた方が良いけど、でもなぁ、今か?と。

    林の顔
    ん?ってなってたよね。その反応は、初めてだった。

    三澤の顔三澤
    野上さん、第一声「やったほうがいいよね」って言ったよ。それで、この人すごい!って思った。

    野上の顔野上
    もっと言って!(笑)

    林の顔
    そう、それは思った。すごいねって思いましたね。ご理解頂いているなと。コンセプトメイクに、これほど時間をかけていることもすごいですし、ありがたいと思いました。従来の開発依頼の場合、アプリの機能やデザインのところを、充分に時間をとって考えられないことが多いので。

    それに、私がこれまで経験してきた受託開発の場合、機能追加をするとコストが増えるのが当たり前でした。でも、ソニックガーデンさんの開発スタイルは「これ入れようか、どうしようか……」というのがない。ノンストレス!

    (一同笑)

    野上の顔野上
    いや、ストレスは感じてもらっていいんだよ(笑)。そのとき、対応したほうが良いと思ったんだよね。デザインで考えていた、遊び心みたいなところに通じる機能だったので。

    三澤の顔三澤
    「あゆみ」は、すごろく状にデザインしています。そのくらいちょっとランダム感があって抜ける感じが、使っている人にとってはちょうど良いんじゃないかなと。こだわったところですね。

    野上の顔野上
    その流れだったら入れるべきだよねって思いましたよ。アプリとして実現したい物に対して、合致していたからじゃないかな。

    --
    人数や関わる組織が多いプロジェクトです。進め方に気をつけたことはありますか?

    西見の顔西見
    一貫して見える形にしていったのがポイントですね。カスタマージャーニーマップやステークホルダーマップなどを、紙にまとめるというのもそうです。みんなの思考を見える形に、ひとつにまとめていって。開発が始まってからはアプリを元に話していけたから、オンラインでのやり取りでもうまく進められたのかなと。

    双子の父である西見さんは、大変だったと産後を振り返る。野上さんは里帰り出産だったこともあり、ずっとコードを書いていたそう。同じ父でも体験が違うことは、サービスの考え方の参考になった。

    野上の顔野上
    開発をわかっている方がいるので、作る分にはやりやすかったですね。予めできないことを言わないのが良いか悪いかは置いといて(笑)

    林の顔
    実装可能な状態でお願いをしていますね。

    大島の顔大島
    お互いが持っているベースがあるのでうまく合わせて。その分、使いやすさなどに時間を割く方が良いものができるかなと。

    野上の顔野上
    開発以外のコントロールを割り切って僕は大島さんに任せるようにしたので、いい分業・分担ができたかなと思っています。

    「どうしたら妻は喜ぶの?」「手伝おうか?はNGワード」夫にしか見えないコンテンツは男性からのヒアリングを元に

    --
    開発者2人が父親という環境でしたが、夫婦で使うアプリとして男性からの声を反映させるということもありましたか?

    林の顔
    「パートナーが喜ぶには」というコンテンツは、夫にしか見えないんですよ。ここで得た知識で、パートナー(妻)が喜ぶことをしようという提案なので。パートナーにとって言って欲しくないことも書いてあります。「手伝おうか?はNGワード」とか。

    --
    「よかれと思って言ったことで妻が激怒」の話は、よく聞きます。

    林の顔
    アプリの開発過程で、妊娠中の妻がいる・すでにお子さんがいるという男性たちから「妻に喜んで欲しい」という声を頂きました。男性は言葉にはしていないかもしれませんが、実はパートナーに喜んで欲しいと考えているわけです。

    妻側の視点で見るとトラブルを未然に防ぐという方向になってしまいますけど、夫としては妻に喜んでもらえることがモチベーションになるとヒアリングでよくわかって。スマートに喜んでもらうためにネタバレしないよう、「夫にしか見えない」コンテンツという打ち出し方になりました。

    吉岡の顔吉岡
    「出産が始まったら、夫はどうする?」もありますよね。男性って、知っていればやったのにということが多くないですか?

    産後ケアにおいて、パートナーシップは大きなテーマ。
    アプリを通して、産前からパートナーシップを育んで欲しいという思いがある。

    西見の顔西見
    そうそう。知らなかったんですが、性格が変わっちゃったと思うくらい、女性は妊娠すると変化するんですよね。

    林の顔
    経験していると、そういえばあのとき妻はなんか、ずいぶん変わったなってわかるけど。知らされていないと、わからない。知らないことをあらかじめアプリでわかっておくと、夫側も「聞いてなかった!」にならないよね。

    三澤の顔三澤
    アプリの名前も、ヒアリングの中から影響を受けましたよね。

    林の顔
    新しい家族が始まる時のスターターキットみたいなのはどう?という声があって。そこから、「ファミリースタート」いう名前が生まれました。

    三澤の顔三澤
    名前の候補は、50案ぐらい出したよね。

    林の顔
    ファミリースタートになった時はね、みんなの腑に落ち感がすごかったです。これは……!って。

    --
    出産はゴールではなく家族の始まりであるというメッセージが込められていて、アプリの世界観がひとことで表されていますよね。

    林の顔
    産後と表現せずに、ここまで出産・出産後のことですよって伝えられるのは、手前味噌ながらよかったと思います。

    --
    こんなふうに使って欲しいな、というイメージはありますか?

    林の顔
    まずはカップルでアプリをインストールして、2人でタスクやお役立ちを見て会話しながら使ってほしいですね、1人で黙々とやるというのではなくて。

    吉岡の顔吉岡
    通勤途中で良いからダウンロードしてみて、ぐらいの感じで言えるのがアプリの一番の良さかなと思います。産後の準備しようよ!みたいに最初っから気張って、ではなくても。妊娠わかったし、そろそろ準備するから、ちょっとこのアプリ入れてという感じで。アプリに、こんなこと書いてあったよって会話が弾んでいけば、そんなに押し付けがましくなく使えますよね。

    林の顔
    たとえば本を読んで知識を得て欲しいという気持ちがあっても、そこまではやってもらいにくいですからね。アプリをきっかけに夫婦が会話したり、支え合ったりして欲しいです。アプリで「つわりが辛い」って出ていたら、LINEで大丈夫?って返してもいいし、家帰ってじゃあ俺がご飯作るから、食べられる物を教えてでもいい。リアルに繋げてもらえれば一番いいかなって。

    --
    最後に、今後の目標を教えてください。

    三澤の顔三澤
    今までは、「正しい」「良い活動」だから注目されていたと思っています。でも、そこまで見ていない人たちが、なんだこれ面白いぞという感じで関われるようなパスを、いっぱい用意できるといいなと考えています。

    西見の顔西見
    そもそも全然知らないという人に知ってもらうってのが最初のパスなので。大事なことですよね。

    吉岡の顔吉岡
    感度の高い人が面白がって使ってくれてもいいんだけど、それだけじゃもったいない。すごくユーザビリティも高いですし、どんな人でも全員に使ってもらいたいですね。

    林の顔
    インパクトがあるアプローチをしてもいいですね。あとはマコさんとね、自治体にぜひ提案しようと話をしていました。

    吉岡の顔吉岡
    自治体の公式アプリをイメージしていて。その地域の人たちは知っている、使っているという普及のさせ方ができないかなって考えています。アプリは、コーチング的な機能も持っています。妊娠から出産後まで、こういうふうにしてくださいねって全部ナビゲートしてくれる。それを、保健師さんをはじめとする自治体のリソースで全部対応できるかというと、できないでしょう?アプリを使うことで、簡単にみんなへ産後ケアを導入できますよと伝えたいですね。

    --
    母子手帳が渡されるタイミングなどに、「ファミリースタート」の紹介があると心強いですね。

    (インタビュー・構成・執筆/マチコマキ)


    産後ケアが当たり前の社会へ。Googleインパクトチャレンジ
    採用プロジェクト・アプリ「ファミリースタート」開発エピソード
    【前編はこちら】

    【お知らせ】ソニックガーデンの本が出ました!

    リモートチームでうまくいく~マネジメントの"常識"を変える新しいワークスタイル

    企業に所属することで得られる安定と、自分の好きな場所で働く自由を両立できる新しいワークスタイルとして注目を集めている「リモートワーク」。本書はそのリモートワークが抱える問題に対してソニックガーデンが実践してきた取り組みと、そのノウハウから生まれた「リモートチーム」というマネジメントの手法についてまとめています。あらゆる組織、チームのマネジメントと個々人の働き方を考えるヒントとなる一冊です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)

    「納品」をなくせばうまくいく~ソフトウェア業界の"常識"を変えるビジネスモデル
    「納品」をなくせばうまくいく 表紙

    本書は、IT業界の、とりわけソフトウェア開発の業界で〝常識〟とされているビジネスモデルを変えてしまおうという試みです。ソフトウェア業界にはびこる多くの問題を解決するために取り組んだ新しいビジネスモデル「納品のない受託開発」について書いています。「受託開発」なのに「納品」をしない、なぜそんなことをやっているのか、そして、なぜそんなことが実現できるのか、その秘密について解説したのが本書です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)