産後ケアが当たり前の社会へ。Googleインパクトチャレンジ採用プロジェクト・アプリ「ファミリースタート」開発エピソード【前編】 2016年11月21日
妊娠・出産、そして見落とされがちな産後の準備と生活をサポートするアプリ「ファミリースタート」が9月24日にリリースされました。NPO法人マドレボニータが企画・運営、開発をソニックガーデンが担当しています。
マドレボニータは昨年、テクノロジーを使い「世界をよくするスピードをあげよう」と日本国内の非営利団体へ向けたプログラム・Googleインパクトチャレンジにエントリー。日本の女性たちの可能性を広げる画期的なアイディアへ送られるWomenWill賞に選ばれました。そして誕生したのが、アプリ「ファミリースタート」です。
「卒業するアプリ」「夫婦で一緒にタスク管理ができる」と、ユニークで実用的な機能。女性も男性も使いやすいデザイン。マドレボニータが描く世界観を反映したというアプリは、どのように開発されたのでしょうか。
出産はおめでたいことなのに、悩みがいっぱい。マドレボニータが取り組む「産後ケア」とは
赤ちゃんを迎え、家族としての生活がいよいよスタートする産後。しかし、産後のケアを怠ると母親の心身の回復が遅れるほか、夫婦の仲がぎくしゃくしてしまうことも。核家族が基本となる現代は、母親に偏った育児・父親の長時間労働と子育てのし辛い環境でもあります。
初めての育児は夫婦ともに手探り、忙しくて話し合うきっかけもなく、お互いを気遣えない。産後のすれ違いから起こる夫婦間のトラブルは、産後クライシスとも呼ばれています。
NPO法人マドレボニータ代表の吉岡マコさんと林理恵さん。林さんは、Googleインパクトチャレンジへの応募を提案。申請チームをリードした。のちに勤めていた会社を退職し、マドレボニータの理事に就任。
マドレボニータは、産後ケア教室を通して出産後の母親の心と体の回復をサポートするNPO法人。産後ケア教室では、バランスボールエクササイズ・産後のセルフケア・シェアリングと呼ぶワークを通じて、母親自身にひとりの女性としてどう生きたいかと問いかけ、産後の人生をよりよいものにするプログラムを行っています。
Googleインパクトチャレンジには、アプリを通し多くの母親が産後ケアを受けられる仕組みを作り、産後ケアの重要性を社会に認知させていきたいというプロジェクトを申請しました。 受賞までの道のりはこちら
ソニックガーデンに転職したらいいんじゃない!? ドリームチーム結成の立役者がいた








※1 市民が主体となり、地域課題解決に取り組むコミュニティ作り支援や、テクノロジーを活用したアクションを創発する活動を支援していく団体。関さんは、吉岡さんが受講していたスタートアップ・プログラムの同期にあたる。



株式会社グラグリッドの三澤直加さんは、UXデザインとアートディレクションを担当。このインタビューの写真に登場するお面も三澤さんが作成した。







夫婦で、みんなで新しい家族の準備をしよう。産後までケアするアプリは「ファミリースタート」以外ありません。



実際のアプリ画面。お役立ち情報は、産科医・小児科医・助産師3名の専門家が監修している。


タスク機能の画面。進捗度合いや対応状況のステイタスが表示される。
夫婦で取り組むタスクは、双方が終わらせて初めてタスク完了となる仕組み。


産褥期は夫がリードして周りの方達にサポート頂きましょうということを、アプリ内のいろんなところでお知らせしています。ご夫婦で同じ情報を見て、進捗も確認して……と、まず2人で産後に取り組んで欲しいなと期待しています。





子供が1才の誕生日を迎えたら、卒業するアプリ「ファミリースタート」

「あゆみ」は、ソニックガーデン西見さんのリアルな体験を元にできた機能。そのエピソードは後編で。





マドレボニータは1998年に活動を開始。2015年から2018年の間に、「産後のボディケア&フィットネス教室」の受講者数2万人/年を目標に掲げている。

人と繋がり、みんなで子育てをする。テクノロジーを使うと、それが伝播していくスピードは速くなり、世界を変えられる。そのビジョンが、実際にアプリでやってみようという段階に今なったと感じますね。

「すごい、コンセプトをご理解いただいている」と林さんが感じた開発中の出来事とは?
後編では、時間をかけたデザインコンセプト作り、ユーザー目線で考えられた機能についてお話を伺います。
(インタビュー・構成・執筆/マチコマキ)


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