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Rubyで開発した基幹システム「Panair Cloud」が新しい電力サービスを作る|株式会社パネイル【第1回】 2017年09月11日


「電力自由化」という言葉を、聞いたことはありますか? 電力自由化とは、東京電力や関西電力といった電力会社以外の企業から電力を買うことができるという制度です。2016年4月から一般家庭や商店も対象となり、電力会社や料金メニューを自由に選べるようになりました。

今回ご紹介する株式会社パネイルは、電力小売供給基幹システム「Panair Cloud」を通して、ITを使った電力サービスを展開するベンチャー企業です。ソニックガーデンはPanair Cloudの開発を担当しています。

Panair Cloudが電力業界へ与えた影響。そして、パネイルが手がける電力サービス事業は何を目指しているのか。パネイルの代表取締役社長 名越達彦さんに、ソニックガーデンの倉貫義人が聞きました。全4回でお届けします。

企業プロフィール

株式会社パネイル
2012年12月に設立。電力小売供給基幹システム「Panair Cloud」の研究開発と小売電気事業者等に対する業務支援、電力小売販売事業などを行う。

インタビュイー

株式会社パネイル 代表取締役社長 名越達彦氏
東京工業大学工学部開発システム工学科卒。学生時代は人力飛行機の設計に従事し、鳥人間コンテスト人力プロペラ機部門で優勝の経験を持つ。2004年に株式会社ディー・エヌ・エーに入社以降、インターネットサービスの業界で数多くの事業を手がける。
目次
  1. ベンチャー企業が、お堅い電力業界へ参入するまで
  2. 電力業界に、ベンダー企業からベンチャー企業への流れを持ち込む
  3. 少人数で、電力会社は運営できる
  4. 日本の電気代は、ITの技術で下がります

業界初「電力業界をアジャイル開発とRubyで変える」パネイルに、みんなが驚いた

倉貫の顔倉貫
やっとパネイルさんをご紹介できる時がやってきました。早くね、みなさんにパネイルを知ってほしかったんです。本日は、よろしくお願いします。

名越の顔名越
よろしくお願いします。「パネイルを知ってほしかった」って、本当ですか?嬉しいです。

倉貫の顔倉貫
パネイルのサービスで、ソニックガーデンが開発している「Panair Cloud」。簡単に言うと、インフラである電力を管理しているシステムです。これを、アジャイル開発の手法を用いてRubyで作っている。そのインパクトが、とてつもないんです。

名越の顔名越
確かに、インフラサービスの基盤をRubyで作っている事例は他にほとんどないと思います。ソニックガーデンの担当プログラマーは伊藤 淳一さん。私がプロダクトオーナーで、あとパネイル側の企画担当者がおり、3人を中心に進めています。

倉貫の顔倉貫
Rubyやアジャイル開発の話をすると、「小さいシステムでしょ」「ウェブだからでしょ」と言われやすいです。その声に対して「いやいや、アジャイル開発とRubyで電力サービスできますよ」「Panair Cloudというシステムがありますよ」と伝えたい。今日の対談のテーマです。では、そもそも電力自由化って何?というところから、教えていただけますか。

名越の顔名越
電力業界の動きも交えて、お話ししますね。これまでの電力市場は、皆さんおなじみの東京電力や関西電力といった10地域の電力会社が100%占有をしていました。経済産業省が進めている電力自由化は、それら以外の企業からも電力が買えるようになるというものです。2000年に、まずは「特別高圧」区分の大規模工場やデパート・オフィスビルから自由化が始まり、2004年・2005年には「高圧」区分の中小規模のビルや工場が対象となりました。

倉貫の顔倉貫
キーワード自体は知っていましたが、電力自由化の動きそのものは段階を踏んで以前から行われていたんですね。国としては、自由な競争が働けば経済が盛り上がるだろうという狙いがあったと。

名越の顔名越
そうなんです。そして、2016年の4月に一般の家庭や商店の「低圧」区分が自由化となりました。2011年の東日本大震災をきっかけにして、電力のあり方について考える機会も増えたと思います。だからこそ、大きなニュースとして報道されたと思います。

倉貫の顔倉貫
従来の電力会社と、新しく参入する電力会社の違いはどこでしょうか。

名越の顔名越
電力の小売においては、従来の電力会社を旧一般電気事業者(みなし小売電気事業者)と呼び、新しく参入する企業を小売電気事業者とよびます。簡単にいうと、インターネットのプロバイダを選ぶように、従来の電力会社と新しい小売電気事業者を比較して選べるようになったわけです。

倉貫の顔倉貫
引っ越しをしたら、今までだと自動的にその地域の電力会社と契約しますよね。これまでを振り返ると営業に関してはあまり得意とは言えない印象です。そもそも、営業をしていたのかな?と思いますが。

名越の顔名越
電力やガスなどのインフラは、安定供給が第一です。そのため総括原価方式という制度のもと、エネルギーの仕入れやまつわるコストを含めて料金設計をするのが常でした。一般的な企業であれば利益や消費者のために企業努力を行いますが、従来の電力会社はその必要がなかったとも言えるかもしれません。

倉貫の顔倉貫
なるほど。電力の販売部分をオープンにして、いろんな事業者が参入して営業努力をする。その結果、電気代が下がり、消費者も嬉しいという適切な競争が生まれることを目的としているんですね。

太陽光発電バブルが弾けてピボット。数億円かかる基幹システムを自社で開発しようと決意

倉貫の顔倉貫
どんな企業でも電力を売ることができるのですか?業界の堅いイメージがあって、ベンチャーは入りづらい気もしますが。

名越の顔名越
電力を売るためには、まず小売電気事業者という経済産業省の許認可が必要です。現在は、全国400社ぐらいが許認可を得ていますね。ガス会社や通信事業者・不動産会社・商社など、いろんな事業者が分け隔てなくいまして、その並びの中でベンチャー企業も入れるようにはなっています。

倉貫の顔倉貫
入り口は開かれていると。パネイルも許認可取られてますよね。許認可を取ることは、大変でした?

名越の顔名越
電力というインフラを扱うわけですから、厳しい審査も含め簡単ではありませんでした。そもそも、どうやって電力を取り扱えるのか分からないことだらけで。いかに電力を調達し、安定供給していくのかという知識やノウハウを、ひとつひとつ勉強して地道に積み上げてきましたね。

倉貫の顔倉貫
電力って、未知すぎる業界ですよ。何社かが独占していたところへ入っていくわけです。でも不透明な領域に対して勉強をするというのは、名越さんの得意分野ですよね。そもそも電力に関するビジネスをしようと考えたきっかけは、どこにあったのですか?

名越の顔名越
少し話はさかのぼりますが、パネイルは2012年に創業したベンチャー企業です。Panair Cloudの前には、太陽光発電ガイドというサービスを提供していました。

倉貫の顔倉貫
パネイルとは、お互い創業してすぐにお付き合いが始まりましたよね。太陽光発電ガイドもソニックガーデンが開発していて、太陽光発電を始めたいお客さんと施工業者を結びつけるインターネットのマッチングサービスでした。

名越の顔名越
順調に成長していたんですけどね。2014年の「九電ショック」を引き金に太陽光バブルがはじけたことで、うまくいかなくなってしまった。

倉貫の顔倉貫
ソニックガーデンとしても、次に何を作ったらいいのだろうという状況で。双方でモヤモヤしていた時期もありましたね。でも、名越さんは次のことを考えていました。

名越の顔名越
次のビジネストレンドはなんだろうと考えていたとき、2016年4月からの電力自由化に注目しました。太陽光発電市場より圧倒的に大きなマーケットです。ここに、ピボットしてチャレンジしようという意思決定をしました。

倉貫の顔倉貫
太陽光発電ガイドはマッチングでしたが、電力業界では基幹システムを開発する側になろうと考えたのですか?

名越の顔名越
電力業界で、何が一番問題なのか、そして、私たちにどんなチャンスがあるのだろうかと考えたときに、電力供給を行う基幹システムの導入にヒントがあると気づいたんです。

倉貫の顔倉貫
基幹システムがないと、ビジネスができない?

名越の顔名越
電力の安定供給のために、基幹システムの導入は必須だと思います。いっぽう、基幹システムは大手ベンダーによりソリューション提供されているのですが、導入に数億円程度かかるためかなり高額です

倉貫の顔倉貫
確かに基幹システムはそのぐらいのコストがかかりますが、さらに年間のランニングコストを考えると大変です。大掛かりなシステムの導入が前提だと、せっかく自由化したのに参入できる企業が限られてしまいますね。

名越の顔名越
そういった状況だからこそ、ひとつ逆の発想を持ちました。システムに大事なことは、インプットとアウトプットが揃っていることで、従来のシステムと全く同じ中身である必要はありません。ならば、基幹システムそのものを根本的に見直して、Rubyによるフルスクラッチで研究開発すれば大きなイノベーションが生まれるのではないか、と判断したのです。大手にはできない、ベンチャー企業だからこそできる挑戦でした。

<第2回へ続く>

【お知らせ】ソニックガーデンの本が出ました!

リモートチームでうまくいく~マネジメントの"常識"を変える新しいワークスタイル

企業に所属することで得られる安定と、自分の好きな場所で働く自由を両立できる新しいワークスタイルとして注目を集めている「リモートワーク」。本書はそのリモートワークが抱える問題に対してソニックガーデンが実践してきた取り組みと、そのノウハウから生まれた「リモートチーム」というマネジメントの手法についてまとめています。あらゆる組織、チームのマネジメントと個々人の働き方を考えるヒントとなる一冊です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)

「納品」をなくせばうまくいく~ソフトウェア業界の"常識"を変えるビジネスモデル
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