複数プロダクトの開発から、お客様のビジョンの実現をより強く支援する
2006年の創業以来、日本の働き方改革のパイオニアとして1,000社を超える企業の働く環境を改善し、残業時間の削減に寄与してきた、株式会社ワーク・ライフバランス(以下、WLB社)。 ソニックガーデンは、同社が認定するワーク・ライフバランスコンサルタントの養成講座システム(WLBC養成講座)をはじめとして、複数のプロダクトのリプレースや開発、社内の業務ハックを担当しています。
今回のお客様事例では、働き方を可視化し分析する「朝メールドットコム」と、働き方改革の実践をチームで考える「カエル会議オンライン」の開発をうかがいました。 あわせて、複数のプロダクト開発を通し、より強固にお客様のビジネスを支える、ソニックガーデンの新しい関わり方もご紹介します。
働き方改革は、朝メールドットコムから
安達
WLB社さんは、WLBC養成講座の開発事例に引き続き、2回目のインタビューです。今回は、ソニックガーデンが新たに担当している朝メールドットコム(朝コム)と、カエル会議オンラインの開発についてうかがいます。まずは、朝コムのご紹介をお願いします。
山﨑
朝コムは、WLB社が推奨する「朝・夜メール」を簡単に作成できる、オンラインサービスです。朝・夜メールとは、始業前にその日の業務予定をチームメンバーに共有する「朝メール」と、終業時に振り返りを行う「夜メール」の仕組みのことです。
もともと朝・夜メールは、「働き方チェンジナビ」と呼ばれるサービスでした。何度か改修を重ねたのち、2019年にリプレースを行い、朝コムとしてリブランディングしたんです。現在は、WebアプリとiPhoneアプリを提供しています。
もともと朝・夜メールは、「働き方チェンジナビ」と呼ばれるサービスでした。何度か改修を重ねたのち、2019年にリプレースを行い、朝コムとしてリブランディングしたんです。現在は、WebアプリとiPhoneアプリを提供しています。
朝メールドットコムの画面。急速なテレワークの普及に伴い、チームビルディングのツールとしても注目。
山﨑
朝コムは、企業の働き方改革のはじめの一歩を後押しするツールです。業務内容やチームメンバーの動向を見える化するほか、分析から課題を見つけ、解決に繋げます。さらに、コメント機能を使ったコミュニケーションも促進できるんです。自律性を持ち、自ら時間や業務マネジメントの習慣をつけるツールとして活用いただいています。
「②問題点を明らかにする」上で、朝メールドットコムによる業務の可視化が重要。
安達
社員の管理ツールではないところが、ポイントですよね。
川本
そうです。コロナ禍により、テレワークへシフトした企業では、「社員同士でコミュニケーションが取りづらくなった」「社員が孤立感を感じている」といった新しい悩みや課題が生まれています。私たちが働き方改革で重視している、関係の質と心理的安全性の向上が、一層求められていると実感します。
そのような中で、朝コムは社員を管理するのではなく、コミュニケーションを取り、チームビルディングができるツールとして支持され、昨年の5月から6月にかけては、導入率が7倍になりました。ユーザーも、今や15,000人を超えていて、非常に有難いことです。
そのような中で、朝コムは社員を管理するのではなく、コミュニケーションを取り、チームビルディングができるツールとして支持され、昨年の5月から6月にかけては、導入率が7倍になりました。ユーザーも、今や15,000人を超えていて、非常に有難いことです。
「システムを新しく」ではなく、サービスの進化を前提としたリプレース
安達
仕事の相談はもちろん、何気ない雑談が交わせるコメント機能は、朝コムの特徴です。続いて、朝コムのリプレースを決めた経緯を教えてください。
工藤
先ほど山﨑が話した通り、朝コムの前身はフィーチャーフォン向けに開発した「働き方チェンジナビ」というサービスでした。
個人のタイムマネジメントにフォーカスした機能が中心で、何度か改修もしてきましたが、ユーザーの増加に伴うサーバー負荷の対応やこれからの機能追加を考え、いよいよ抜本的な見直しをしようと考えたのです。
個人のタイムマネジメントにフォーカスした機能が中心で、何度か改修もしてきましたが、ユーザーの増加に伴うサーバー負荷の対応やこれからの機能追加を考え、いよいよ抜本的な見直しをしようと考えたのです。
川本
あわせてリプレースには、朝・夜メールの持つ役割が大きく変わってきたことも影響しています。2016年に、政府は、働き方改革実現会議と働き方改革担当大臣を設置し、国を挙げて働き方改革に取り組む方針を出しました。これにより、企業の間でも「日本の未来のために働き方を見直そう」という機運が高まっています。
工藤
社会が働き方改革への関心を強める中、私たち自身が「朝・夜メールは働き方改革になくてはならない存在だ」と、再認識しました。
朝・夜メールは、「つねに最先端の働き方を実践する企業でありたい」という信念のもと、WLB社内の働き方改善に取り組む中で生まれた仕組みです。コンサルティングや講習、セミナーで認知を広げ、導入された企業の残業ゼロや働く環境の改善に大きく貢献してきた手法なんですね。
ですから朝・夜メールは、今ある機能の改善やUIの刷新だけでなく、働き方改革を推し進める進化を前提としたリプレースであるべき。このような意志を持って、朝コムのリプレースを決意しました。
朝・夜メールは、「つねに最先端の働き方を実践する企業でありたい」という信念のもと、WLB社内の働き方改善に取り組む中で生まれた仕組みです。コンサルティングや講習、セミナーで認知を広げ、導入された企業の残業ゼロや働く環境の改善に大きく貢献してきた手法なんですね。
ですから朝・夜メールは、今ある機能の改善やUIの刷新だけでなく、働き方改革を推し進める進化を前提としたリプレースであるべき。このような意志を持って、朝コムのリプレースを決意しました。
サービスの提供価値を一緒に議論できるパートナー
安達
朝コムのリプレースとその後の開発は、ソニックガーデンのプログラマ・秋田さんが担当しています。あらためて、朝コムの開発をソニックガーデンに依頼された理由をお聞かせください。
工藤
やはり、WLBC養成講座のリプレースの体験がきっかけです。スピーディかつ適切にリプレースが実現しただけではなく、そこに至るまでの丁寧なコミュニケーションがとても印象的でした。
納品のない受託開発は、ユーザーファーストでありながら、私たちにもたくさんの気づきをくれます。以前の私たちは「こういう機能が必要だ」と突き進みがちでした。でもソニックガーデンさんは、「こちらの設計はどうでしょう?」と意見やアイディアをくださいます。議論をして一緒に決めていくプロセスがとても良く、この関係性を他のプロダクトでも取り組みたいと考えてお願いしました。
納品のない受託開発は、ユーザーファーストでありながら、私たちにもたくさんの気づきをくれます。以前の私たちは「こういう機能が必要だ」と突き進みがちでした。でもソニックガーデンさんは、「こちらの設計はどうでしょう?」と意見やアイディアをくださいます。議論をして一緒に決めていくプロセスがとても良く、この関係性を他のプロダクトでも取り組みたいと考えてお願いしました。
川本
「要件通りの開発」もシステム開発の解ですが、ソニックガーデンさんは、機能の追加1つに対しても、運用者の仕事をどのように変えるのか、そしてユーザーのどんな課題を解決し、どんな成功を約束するのか?といった、システムの先を見据えた視点をお持ちです。
朝コムも、「どんなふうに世の中を変えていきたいか?」のグランドデザインを描くところから、関わっていただきました。私たちもその影響を受け、より真剣にサービスの在り方を議論するようになりました。
朝コムも、「どんなふうに世の中を変えていきたいか?」のグランドデザインを描くところから、関わっていただきました。私たちもその影響を受け、より真剣にサービスの在り方を議論するようになりました。
安達
ありがとうございます。秋田さんは、担当プログラマとして、WLB社さんにどのような印象を持たれていますか。
秋田
朝コムは、管理のツールではなく、自律性を持って自分たちで働き方をコントロールするためのツールです。このサービス理念が、ソニックガーデンの働き方とも親和性があり、私自身もとても共感しています。
安達
そうですよね。ソニックガーデンも、プログラマの従来の働き方を見直し、より良く働けるビジネスモデルや環境作りに取り組んできた企業です。このような会社の価値観も、WLB社さんの目指すビジョンに寄り添えますし、近しいカルチャーがプロダクト開発に生かされていると感じます。
働き方改革の真の目的は、付加価値を生み出し、ビジネスを成長させること
安達
では、朝コムのリプレース後について教えてください。お客様からは、どのような反響がありましたか。
石井
すっきりとしたUIに変わったことで、「朝ログインしたときに、明るい気持ちになります」という声をいただきました。また、リプレース前は初期設定のお問い合わせが多かったのですが、UIの刷新で、はじめに何をしたら良いかが分かりやすくなり、そうしたお問い合わせは大きく減っています。
秋田
予定の入力・業務の共有・分析という朝・夜メールの本質的な価値を、より明確に提供できるようになり、良かったです。
山﨑
「朝コムは、私に欠かせない」という声もいただいていますね。さらに、私たちが、想像していた以上の活用も生まれています。あるお客様は、別チーム同士で朝コムを共有し、コメントを交わしたり、ときには業務改善のアドバイスをしたりと、部署を超えた交流をしているそうです。お客様ご自身が、朝コムに新たな価値を生み出し、使ってくださっている様子が、とても嬉しいです。
川本
残業をゼロにすることや、生産性を上げることは、働き方改革の目的ですが、効率化だけでなく、付加価値を生み出す機会を創出していくことも大切です。そのアプローチを朝コムから提供できたのは、とても良い成果だと思います。
工藤
リプレースで、ユーザーのアクティブ利用も高まっていますね。新しい機能をリリースしてもすぐに使っていただけますし、ご契約の継続率も増加しています。
安達
それは、私たちも嬉しいです。
山﨑
今は、分析機能の強化を進めています。ソニックガーデンさんは、開発の工程をすべて分解し、私たちが理解しやすい状態で情報を共有してくださいます。
何をするか?をブラックボックスにせず、オープンにしていただけるので、確認もしやすいですよね。このようなコミュニケーションがありますので、お互いのビジョンもぶれません。
何をするか?をブラックボックスにせず、オープンにしていただけるので、確認もしやすいですよね。このようなコミュニケーションがありますので、お互いのビジョンもぶれません。
秋田
ありがとうございます。開発内容をオープンにするだけでなく、プロダクト開発のロードマップを共有し、つねに先のことも話し合っていますね。とはいえ、1回の打ち合わせで無理にすべて決めることはしませんし、日頃から焦ることがないように気をつけています。また、お付き合いも長いので、気軽に聞き合える関係性もあります。
お互いを深く知ると、アイディアや選択肢が増えていく
安達
そして現在、WLB社さんでは、新しくカエル会議オンラインの開発を進めています。カエル会議も、WLB社さんが考案された、働き方改革のための仕組みですよね。
工藤
そうです。カエル会議とは、朝・夜メールで可視化された課題をどのように解決していくか、その施策を考え実行するための会議のこと。そのカエル会議の運営をサポートするツールが、カエル会議オンラインです。朝・夜メールと同様に、カエル会議も継続し、改善を重ねることが重要。カエル会議オンラインの開発では、どのようにカエル会議を習慣化していくか?を重視しています。
川本
当初、カエル会議オンラインの開発は予定していなかったんです。しかし、朝コムのリプレースが成功し、WLB社が提供するコンサルティングの意義が、より明確化したことが新規開発の後押しとなりました。
カエル会議オンラインの画面。提案や投票など、議論を活性化する機能が特徴。
安達
おかげさまで、ソニックガーデンでは、WLBC養成講座、朝コム、カエル会議オンラインの開発をご依頼いただいています。各プロダクトに担当のプログラマがいて、私は3プロダクトの全体像を把握し、WLB社さんとソニックガーデンを繋ぐ役回りとして動いています。このような取り組み方は、いかがですか。
工藤
朝コムとカエル会議オンラインは、それぞれ別のプロダクトですが、WLB社として地続きのサービスです。ですから、作りが違うと、お客様は迷われてしまいかねません。しかし、安達さんや担当プログラマの方達が、セキュリティポリシーや登録手順を揃えましょうなど調整してくださるので、とても助かっています。
安達
ありがとうございます。プロダクトとしては独立していますが、僕の中では、WLB社さんの提供価値を作るプロダクト群として捉えています。
プロダクト同士で何か矛盾を感じたらご相談していますし、エンジニアチームにも認識のズレがないように情報共有していますね。
プロダクト同士で何か矛盾を感じたらご相談していますし、エンジニアチームにも認識のズレがないように情報共有していますね。
川本
安達さんは、打ち合わせでも「その機能の要望はどこから?」「お客さんの反応はどうでしたか?」と、起きたことの事実や誰が言っているかまで掘り下げて質問されますよね。
一般的なシステム開発では、責任分界点を明確にしますが、ソニックガーデンさんは私たちの懐深くまで入ってくださいます。だからこそ、いろいろなアイディアや提案が生まれますし、私たちもさらけ出した方がいいんだろうなと気づきました。
一般的なシステム開発では、責任分界点を明確にしますが、ソニックガーデンさんは私たちの懐深くまで入ってくださいます。だからこそ、いろいろなアイディアや提案が生まれますし、私たちもさらけ出した方がいいんだろうなと気づきました。
工藤
実は朝コムのリプレースも、「今まで以上に素晴らしいサービスになるだろう」という強いプレッシャーを感じていました。そのような気持ちも受け止めて、一緒に開発に取り組んでいただき、とても頼もしかったです。
安達
ソニックガーデンのミッションは、お客様のビジネスの成功に貢献することです。一緒に取り組むサービスが増えると、インプットも成功に導くための手数も増えます。結果、いろんなことを提案しやすくなりますから、ヒアリングを丁寧に、複数プロダクトを開発する関わり方はこれからも進めていきたいです。
朝コムで、理想のワークライフバランスを叶えたい
安達
最後に、これからの展望を教えてください。
石井
ソニックガーデンさんが私たちと接するときのように、ユーザーサポートでも丁寧にヒアリングをしていきたいです。単に機能の紹介やご要望を聞くのではなく、お客様の本当に解決すべき課題は何か?を考えて対応し、その声を開発へフィードバックしたいと思います。
山﨑
今後も、朝コムから、良い働き方のサイクルが生まれ、前向きになれるお客様を増やしたいです。ユーザーの裾野が広がるぶん、新たな改善の伸びしろが見えてくるんじゃないかと思います。朝コムが、働く上で当たり前のサービスとなり、朝コムを使っていたら、働き方が自然と変わる、そんな世界を目指しています。
ソニックガーデンさんからの問いかけから、自分たちの考えがより深まったり、本当の課題に気づいて新しいアイディアが生まれることが多いなと感じます。引き続き、アドバイスをよろしくお願いします。
ソニックガーデンさんからの問いかけから、自分たちの考えがより深まったり、本当の課題に気づいて新しいアイディアが生まれることが多いなと感じます。引き続き、アドバイスをよろしくお願いします。
安達
長年、働き方改革に取り組んでいらっしゃるWLB社さんは、しっかりと実績を出す知見やノウハウをお持ちです。ソニックガーデンとしても、WLB社さんが未来に向かって何ができるか、どんな価値が提供できるのか?の戦略的なところを、システム面からサポートしていきたいです。
本日は、ありがとうございました。
本日は、ありがとうございました。
取材をしたお客様:株式会社ワーク・ライフバランス
開発担当サービス:朝メールドットコム
- インタビュアー/ライティング:マチコマキ
- 広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。