株式会社SonicGarden(ソニックガーデン)
お問合せ

インタビュー

Ml 20120921 00

MessageLeafの出来るまで【その3】〜自分の思いがちゃんとこもったものが作れる〜 2012年09月23日

本連載では、2012年7月2日に設立した株式会社MessageLeaf、及び提供サービスである「MessageLeaf(メッセージリーフ)」の成り立ちについて、第3回では同社CEOの鈴木英介氏とCTOの倉貫義人氏、またCOOを務める藤原士朗氏の3名の対談形式で4回に分けてお送り致します。


【その2】では、3ヶ月の期間をかけて練り上げたアプリは、αユーザとの食事会でいい反応が得られず...というところまでお伝えしました。今回はそこからのピボットについてのお話です。

「捨てる勇気」

倉貫氏:けれども、大転換じゃないですか。今振り返ると大転換、ピボットだったのに、そうせざる得ないような雰囲気になりましたね。

藤原氏:開発者含めて全員で行ったのが良かった。

鈴木氏:そう。あれはやっぱり、多分みんな生で聞いたから良かったんだなと思う。

藤原氏:ショックをみんな受けて、これは変わろうというか。これがもし開発側が参加しなくて

倉貫氏:英介さんだけだったら。

藤原氏:そう、2人がユーザーがこうだったって言っても、開発側は「いやいや…」って。

鈴木氏:そうだよね。絶対出ちゃうよね。

藤原氏:そこを捨てる勇気って、自分でユーザーの声を聞かないと決断できないですよね。

倉貫氏:でも、あのピボットで一旦ChromeExtension (※1) やめましょうって言って、エンジニアチームとしてはどうだったんですか?

※1初期バージョンでは、GoogleChrome限定で利用可能な機能で開発を進めていました。

鈴木氏:それは僕も聞きたいな。

藤原氏:”開いた口が塞がらない”(全員笑)ピボットじゃないし。(笑)ゼロクリアですからね、あれは驚きましたよ。

鈴木氏:開発の視点からしたら、オールクリアに近いよね。

倉貫氏:せっかく作ってきたのに…っていうね。

鈴木氏:それはそうだよね。

藤原氏:ただ、やっぱり開発してる側としてもこのサービスは多少難しいよねっていうのがあって。説明をするにしても、いろんなことを伝えなくてはならなかったので言われてみればっていうのはあった。

倉貫氏:でもそこを捨てられるっていうのはエンジニアとしてすごいいいエンジニアじゃないかなって思っていて。しかも、手前味噌ですけど、今回の僕らの契約のやり方って同じ人がピボットしても続けてやるので、少なくともChromeExtensionってものはなくなったけれども、『MessageLeaf』に携わった経験は次に活かせるわけじゃないですか。それって、彼が多分そのあと新しいサービスのプログラムを作ったけれども、絶対に活かされていると思うんですよね。1から説明しなくていいっていうか。

鈴木氏:うん。でも結構あの後は早かった。1週間くらいで答え出しましたよね。

倉貫氏:出しましたね、割と早かったですね。

「作者の人だとフィードバックがほしいので設置してくれるんじゃないか」

鈴木氏:ランチ会が終わった後、変えなきゃ駄目だね、こういう方向かなって言って、確かその次にディスカッションしたときに大体ホワイトボードで今の近い形に。

倉貫氏:あの時のピボットはそれまでのChromeExtensionという読者側のツールから、どうピボットされたんでしたっけ?

鈴木氏:読者のツールであったものをもう一回当初のオリジナルの考えに近いんだけれど、作者が使う(欲しい)ツールに変えたというのが大きな転換ですよね。

倉貫氏:今度は読者じゃなくて作者側のツールにしようと?

鈴木氏:そう。なんでそういう話だったかというと、結局ランチ会の学びの一番大きなポイントは、「送ったんだけど、見てくれているかどうか分からない状態っていうのはつらいよね」ということ。やっぱり、送ったからにはちゃんと見てもらいたいし、返事も欲しい… 当初は、ファンレターだって、読み手が勝手に送り付けるものだけどみんな送っているからそれはそれでいいんだ、ということを言ってたけど。

倉貫氏:あとは設置するモチベーションというか、やっぱり作者の人だとフィードバックがほしいので設置してくれるんじゃないかっていう仮説がありましたよね。

鈴木氏:今の『MessageLeaf』みたいな形で、ポイントとかじゃなくて、ちゃんとしたフィードバックが来るのであればそれ自体は嬉しいことのはずだよね、と。

倉貫氏:そのために設置するんじゃないかって。今、ローンチした後だから考えると当たり前な気がするけど、そこに至るまではディスカッションは深くしましたね。

鈴木氏:結構しましたね。

倉貫氏:ちょうど4月くらいから、新しい『MessageLeaf』を作ろうと。

鈴木氏:4月の初めくらいの感じでしたよね。食事会が春分の日にやってっていう感じでしたから。だから、4月の頭からまた次の段階に入りましたよね。

倉貫氏:そこからまたすぐ新しいサービスというかプログラムが割と早く出てきたと思うんですけれども。それってどうしてそんなに早くできたのかなって。

藤原氏:1つは参考になるものがあった。一旦真似をしようという形で、この位置まで行ったらこういう表示の仕方をするというものをコピーする形で作りました。なるべく早い段階で動くものを見せて、そこからまた修正していく、そこを大事にしたので。

倉貫氏:最初にちょっと簡単に真っ白だけど動くものを作った。

藤原氏:そう、そう。

倉貫氏:それで英介さんに見てもらって、「この動きでいいんじゃないか」って言って、徐々に肉付けをしていったという。

鈴木氏:でも、その時期に今回のポイントである右下からにゅっと出てくる感じは、あの時にもう出来ていましたね、最初ね。

倉貫氏:出来ていましたね。そこは多分一番肝になるって分かっていて。

鈴木氏:そう、そう。

「本当に作りたいもの、自分の思いがちゃんとこもったものが作れる」

倉貫氏:そこから彼らは作り始めた。多分普通の作り方って、もっと設計書、仕様書を用意して、「これで行きましょう」って言って、何カ月か山にこもって出てくるっていうやり方だと思うんですけれども。そうじゃなくて、今回のように1週間ぐらいで肝ができて、次にまた肉付けしてっていうやり方をしていくのは英介さんとしてはどんな経験でしたか?それを一緒にやっていって。

鈴木氏:さっきも言っていたけれども、戦略系のコンサルティングプロジェクトと相当近いんだよね。コンサルティングプロジェクトって、お客さんに仮説をぶつけながらディスカッションしていって、それをどんどん繰り返し進化させていって、最後「答えはこうですね」というのを見つけていく、というやり方なんだけれども。それってお客さんに最初に資料をがさーっともらって「ふーん」って時間かけて分析して、「はい、どうぞ」で終わるのとは全然違うので。

倉貫氏:違うんですね。

鈴木氏:だから、今の2つの比較で言うと、自分がやっていた戦略系コンサルティングの仕事のやり方と実は全く同じスタイルなのですごく気持ち良かった。

倉貫氏:ああ、なるほど。

鈴木氏:逆に言うと、こちらがやりたいことをホイって渡して設計書がポンと出てきて、後はじーっと待っていたら「はいどうぞ」って完成品が出てくるのはすごく気持ち悪い。というのは、多分僕自身がシステムの設計書を読めないでしょ。それよりは、やっぱりもっと途中途中でディスカッションしながら、「いや、そこはそうじゃなくてこういうこと」とかって、いちいち確認しながら進めるほうがよっぽど危なくないというか、本当に作りたいもの、自分の思いがちゃんとこもったものが作れる。だから、今のスタイルがすごく良かったし、やっぱりディスカッションを週に1回…

倉貫氏:毎週やってますからね。

「絶対に俺は毎週来る!」

鈴木氏:あのディスカッションがものすごくクオリティが高いと思っていて、ブログにもちょっと書いたけれども、結局はあのディスカッションを通じて次の週に本当にやらなきゃいけないことを絞るでしょう?

倉貫氏:そうですね。「1週間分」ってまず決めますからね。

鈴木氏:逆の言い方をすると、不要不急のものは捨てると。本当にそのときに集中しなきゃいけないものを作って、次にそれをレビューしてという、あのやり方は本当に正解だと思っているので。自分としてはこれ以上ない、すごく理想的な仕事の進め方だと思う。僕は今回の『MessageLeaf』がこの後どうなるか分からないけれども、こういう仕事のやり方をここまでやれたということ自体がすごく気持ちいいかな。

倉貫氏:ありがとうございます。開発側はどうですか?英介さん、プロダクトオーナーが毎週来てくれて、毎週ディスカッション…まあ、バタバタ変わるんだけれども(笑)。

鈴木氏:逆に質問なんだけれども、それは珍しいことなのかな?

倉貫氏:どうですか?

藤原氏:我々としてはやっぱり最初の数回は会って話すことってもちろん大事で、そこで設計するんですけれども、ある程度固まるとスカイプで進めていくケースが多いですね。

鈴木氏:そうだよね。そういうふうにホームページにも書いてあるものね(笑)。

藤原氏:そう(笑)。そういうやり方になっていて、それなのに「絶対に俺は毎週来る!」っていって、大きなキャリーバックを…(笑)。

倉貫氏:毎週、家出してる?(笑)。

鈴木氏:いやいや(笑)。

藤原氏:その印象がすごく強くて。だから、ものすごく大事にされているんだろうなと思ったんですけれども、それはやっぱり会ってお話しするのが大事なポイントがあるんですか?

「マーケティングの話だとかプロモーションの話だとか事業戦略の話も一緒にしている」

鈴木氏:ある。やっぱり目の前でディスカッションしないと、本当のところ何を考えているのか分からないところがある。もちろんスカイプで出来ないわけじゃないけど、多分本当に会ってディスカッションをするのだと10分で済むことが、スカイプだとやっぱり30分かかっちゃう。30分かかっている上に、まだ…

倉貫氏:通じ合えていない?

鈴木氏:今一つ通じ合えていないっていうこともあり得るかなと。

倉貫氏:そうですね。多分僕らが他でやっているスカイプと、今回の英介さんと一緒にやっている『MessageLeaf』の大きな違いは、ディスカッションの中にマーケティングの話だとかプロモーションの話だとか事業戦略の話も一緒にしているんですね。

鈴木氏:うん。そうだね。

倉貫氏:他のお客さんの場合には、基本的に僕らはシステム開発の会社なので、「システムの部分に関してはプロでお任せいただくけれども、マーケティングはお客さんにお任せする」というスタンスなんです。なので、スカイプでしっかりものを決めて作っていくのはいける。だけど、今回は本当にシステムじゃなくて、エコシステム、ビジネス全体を考えるということなので、ディスカッションというのがすごく良かったのかなと。

鈴木氏:そうだね。その違いはあるかも。何かの社内システムを開発しますとかだったら、そこまでね。


その1では事業戦略、今回は製品戦略のピボットをしました。このチームが次にとった行動、それは会社を作ること。どんな流れでその結論に行き着いたのか。次回の最終回をお楽しみに。

メールマガジン登録

ソニックガーデンのお客様の新規事業に関する開発秘話やノウハウ、業務効率化の成功事例、シークレットなイベント情報などをお伝えします。

【お知らせ】ソニックガーデンの本が出ました!

リモートチームでうまくいく~マネジメントの"常識"を変える新しいワークスタイル

企業に所属することで得られる安定と、自分の好きな場所で働く自由を両立できる新しいワークスタイルとして注目を集めている「リモートワーク」。本書はそのリモートワークが抱える問題に対してソニックガーデンが実践してきた取り組みと、そのノウハウから生まれた「リモートチーム」というマネジメントの手法についてまとめています。あらゆる組織、チームのマネジメントと個々人の働き方を考えるヒントとなる一冊です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)

「納品」をなくせばうまくいく~ソフトウェア業界の"常識"を変えるビジネスモデル
「納品」をなくせばうまくいく 表紙

本書は、IT業界の、とりわけソフトウェア開発の業界で〝常識〟とされているビジネスモデルを変えてしまおうという試みです。ソフトウェア業界にはびこる多くの問題を解決するために取り組んだ新しいビジネスモデル「納品のない受託開発」について書いています。「受託開発」なのに「納品」をしない、なぜそんなことをやっているのか、そして、なぜそんなことが実現できるのか、その秘密について解説したのが本書です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)