株式会社SonicGarden(ソニックガーデン)
お問合せ

ブログ

Ml 20120903 00

MessageLeafの出来るまで【その2】〜ズバッと言いあえる関係じゃないとダメ〜 2012年09月03日

本連載では、2012年7月2日に設立した株式会社MessageLeaf、及び提供サービスである「MessageLeaf(メッセージリーフ)」の成り立ちについて、同社CEOの鈴木英介氏とCTOの倉貫義人氏、またCOOを努める藤原士朗氏の3名の対談形式で4回に分けてお送り致します。


【その1】では、鈴木氏が最初の企画案の再考を迫られところまでご紹介しました。今回はその後、第一弾のアプリケーションをリリースするまでのお話です。

鈴木英介(以下、鈴木、文中は英介さん):あとその時思ったのは、この定額制のモデルっていうのは実はコンサルティングなんだと。そう考えると安い。というか、値打ちがちゃんとあると。1人でやってる会社だから別に楽な金額じゃないけど、でも同じくらいの金額で人1人雇えるぐらいでしょ?

倉貫義人(以下、倉貫):そうですね。

鈴木:だけど雇うとするとその人が真っ当かどうかというリスクもある。外しちゃったら、その時点で終わり。それに1人で全部できるかっていうと多分そうじゃない。

倉貫:そうなんですよ。僕らもいろんなお客さんとお会いして、僕らの価値って私がこういう風に口を出すこともあるし、藤原がちゃんとオペレーションすることもあるし、プログラムも作れるし運用もするっていう、少しずつの力を結集して1人みたいに扱える、何が起きても対応できるのが価値かなっていう風に思います。

「英介さんが熱かったことしか覚えてない(笑)」

鈴木:そうそう。あとは、その後の運用を考えた時に、全部まかせてもらえるからこそちゃんとした開発ができるっていうソニックガーデンの考え方は真実だと思った。で、もう1回話したいなと。でも、このままじゃ駄目だよなと(笑)。そこは自分でもすごくよく分かっていたから、そこで本当に久しぶりに真剣に考えた。あの時に出した結論は、結局自分のアイディアは「より強いフィードバックをしたい」っていうのが本質なわけだから、それを素直に表現するツールに変えれば良いよね、と。そうだとすると、ブログの書き手側がツールを置いてくれるかどうかなんて関係なく、読み手側が勝手に送れるような仕組みにすればいいや、と。で、「こういうアイディアできないの?」っていう話を持ってきて、最終的にはそれが一つの形にはなったんだけど。

投げ銭のサービスから方針を転換し、ブロガーは寄付よりも、facebookの「Like」よりも強いフィードバックを求めているのではないか、という仮説を立てました。

倉貫:そうですね。その2回目のアイディアの時に英介さんは有名ブロガーさんにもちゃんとヒアリングをされてきたんですよね。

鈴木:ああ、ちきりんにヒアリングしたんです。そうそう、思い出した。そうだね。

倉貫:それで、やっぱり投げ銭じゃないよねっていう確信を得たっていうのがありますね。

鈴木:そうそう。ちきりんさん以外のブロガーの人にも話を聞いてみて、ブロガーの書く真のモチベーションって「書きたいから書いてる」ってことなんだなって、確信した。だから、投げ銭用のツールなんてまず置かないだろうと。まあ、考えてみたら自分もブログ書いていて、そうだよなって。

倉貫:金銭とか、そういうものじゃないっていう。

鈴木:と、はっきりと思えたので、さっき説明したような、読み手側が勝手に送れるツールにしちゃえばいいじゃんっていう発想に転換して…

倉貫:第2弾の計画書を持ってきてもらったっていう。

鈴木:そうそう。あれが年末ですね。12月とか。

倉貫:その話を見て、僕と藤原は驚いたわけですよ。一度あんなにダメ出しをして、そんなにまたすぐ、しかもちゃんとヒアリングをしてきたって。いわゆる『リーンスタートアップ』っていう言葉を僕らは使いますけど、そこではまずはちゃんとお客さんになるユーザーの声を聞いてくるっていうのがすごく大事なんだけど、エンジニアってなかなかものづくりを先行して出来ないことが多い。それをやってこられたので、これは本気だなと。それで、話を聞いた後、2人で結構じっくり「大丈夫かな、一緒にいけるかな」っていうのを話し合って、「過去の経験とかキャリアじゃなくて、今から何を為したいかっていう情熱はすごすぎますよ」というのを藤原が言ってくれて、情熱があったら、僕らの技術があれば何かお助けできるんじゃないのかなっていうので、「一緒にやりましょう」っていうところから始まった。このプロジェクトが始まったのはそれかなという感じですね。

藤原士朗(以下、藤原):覚えているのは3人で飲みに (※1) 行きましたよね。

倉貫:あの後飲みに行ったんだっけ?ああ、そうかそうか。

※1 「GALALI」外苑前のオフィス近くの隠れ家的な日本酒が美味しいお店。SonicGardenも同じく隠れ家的だ、と英介さんからコメントを頂いたことが印象的でした。

藤原:そこの打ち合わせの第一印象が、「もう調べてきた、しかも新たな事業モデルを持ってきた。」という驚き。それで飲みに行って、とにかく英介さんが熱かったことしか覚えてない(笑)。この人すごい思いを持ってるんだっていうのを僕はすごく感じて、これだけ思いがあったらこの人はもう何でもするっていうか、その事業モデルに対して成功までとにかくいこうとするだろうということをすごく感じて。最初、僕らも肩書きだけ見て、医療コンサルタントの方がウェブのアプリを作るっていうのうは思いつきに過ぎないのかと思ってたところがあって(笑)。ところが、人間対人間で話した時に、英介さんはすごかった。

倉貫:ああ、そうかも知れない。

藤原:確かそれまで鈴木さんだったのに、何かすごく思いが伝わってきて愛してしまった(笑)。「英介さんって呼んで良いですか?」って。

鈴木:よく名前で呼ばれるようになりますけど、早かったですね。

藤原:僕、確か初対面だったんですけど(笑)。

倉貫:ああ、そうだったかもしれない。

藤原:最初の印象と飲み会で感じたことが全然違ったので、「倉貫さん、もうちょっとちゃんと…本気ですよ」って(笑)。

「ズバッと言いあえる関係じゃないとダメ」

倉貫:その飲み会でまた良かったのが、会社を作った哲学だとか会社の在り方とかについても段々深い話になっていて、ソニックガーデンが考える小さな組織の在り方だとか、ナレッジワーカーはセルフマネジメントする方が大事だとか、そういうところで話が合って。

藤原:共感する部分がすごく。

倉貫:共感する部分がすごくあったね。

鈴木:やっぱり哲学がお互いに近いところにいたっていうのは大きかった。

倉貫:だから、いけそうかなっていうのがあったという感じですよね。

鈴木:やっぱり心の深いところでの信頼関係が築けないと事業パートナーになり得ない。だから、お互いの哲学が合うって、すごい大事なんですね。あとね、最初、倉貫さんにズバズバッと(笑)…斬られたのも良かった。肩書き見て遠慮があって言うべきことがズバッと言えないようだと、その時点で正しい答えに近づけなくなっちゃうから。やっぱり見えない道を行くわけなんで、新しい事業って…

倉貫:分からないですからね。

鈴木:だからズバッと言いあえる関係じゃないとダメ。で、この人たちなら、パートナーとしてちゃんとディスカッションできて、見えない道の中でも自分達なりの答えを見付けられるっていう、感触がすごく持てた。だから、この人達に賭けて悔いはないよね、と。

倉貫:そうしてスタートしたプロジェクトで、年明けぐらいから。最初はChromeExtension (※2) っていう、ちょっと技術的にトリッキーだけれども、それを使うとどこのウェブサイトでも読み手からのフィードバックを送れるっていうところが達成できそうだっていうアプローチで始めたんですね。それで、1ヶ月ぐらいして、我々のやり方なので最初のバージョンが完成して。

※2初期バージョンでは、GoogleChrome限定で利用可能な機能で開発を進めていました。

藤原:MVP (※3) ですね。

倉貫:そうですね。MVPを作って、その時も開発者の安達と藤原で一緒にディスカッションしながら設計していって、結構その時はまだ難しいことがあったりとかした…

藤原:どちらかっていうと、今回の件はMVPが決まるっていうのもなかなかできないぐらい、ビジョンとか思いがすごく大きいものだったと。「何々が作りたい」、でもなかなか落ちてこない。なので、機能を作る側も結構模索があって、今回のゴールはどこだろうっていうのは結構相談しながら作っていた。我々はアジャイルなやり方で作っていくので、プロトタイプのものを作って見てもらって判断するっていうやり方でした。

※3 MVP(minimum viable product)の略。使い始めるために必要な最小限の機能を指す。詳しくはこちらのブログを御覧ください。

倉貫:はい。どこにMVPを作ればいいか分からないという状態が続いたんですね。

藤原:先週、MVPだったことが次の週にはMVPでなくなるっていうのは結構あるので。やっぱりこのやり方じゃない、ログインなんて不要だとかいろいろな話が出てくるので、やっぱり揺れる部分が苦労しましたね。苦労はしているんですけども、元々我々もそういうスタンスでいるし、それになるべくついていけるような作り方、考え方でやっているので、それはそれでエキサイティングではありました。

「思ったより使ってくれないもんだな」

倉貫:ただ使い方がちょっと難しくてね。GoogleStoreに行かなきゃいけないとか。

鈴木:最初のインストールが難しかったですよね。

倉貫:インストールが難しかったですよね。で、2月くらいからですか、アルファユーザーさんっていうアイディアを出して。まず最初は英介さんの知り合いを見つけようって感じでしたね。

鈴木:そうでした。

倉貫:それはどういう人たちを集めて?

鈴木:基本的にはお友達です。こういうものに興味を持って協力していただけそうな人に、とにかく声をかけました。20人くらいかな…多分20数名に声をかけて、GoogleChrome自体を全く分からないという人たちもいたので多分3割くらいはそこで落ちて、そこから最終的には20名くらいいったのかな、インストールしてもらった人は。で、試しに色んなウェブサイトにメッセージを送ってみて下さいって感じで始めてみたんだけど、インストールまではいったんだけど結局そのまま、という方もやっぱり出てきましたね。今日来てる春名さんみたいにすごく熱心にやってくれる人もいたし、そうでない人もいたしという状態が続きました。

倉貫:作ったはいいんだけどアルファユーザーさんが使ってくれない時期って、どう考えてましたか?どう感じてました?

鈴木:思ったより使ってくれないもんだなって。何でだろう、と。あとは自分自身、最初は新しいおもちゃを手に入れた子供みたいな感じで、面白くて結構使ってみたりしたんだけど、ちょうど倉貫さんと「お食事会でもして実際生の声を集めて聞きましょうよ」って話になった頃に、自分自身もちょっと飽きてきていた。気づいたら何日も使っていなくて。だから一回ユーザーの生の声を聞くっていうのは、多分正解だろうなと。

「誰が言い出したか覚えていないけど、変えなきゃまずいよねって」

倉貫:そうですね。それまでもオンラインでfacebookグループでやり取りはしていたんだけど。

鈴木:ああ、そう。facebookグループはほとんど機能してなかったよね。

倉貫:直接、生の声を聞いたことがそれまでなかったんですよね。それで3月に一度、生で会うための食事会 (※4) をしましょうって話で。

鈴木:あの食事会は、まだアルファユーザーになってなかった人と、なってはいたんだけどインストールまではいったけど実際使ってない人と、結構それなりに使ってくれている人と、その3種類をとにかく集めようと意識して、ちょうどいいくらいの比率でそれぞれ2人ずつくらい来てもらって。

※4六本木ヒルズのとあるお店で開催した食事会。スクリーンに画面を映しながら、様々な業界の方々と食事したとても不思議で、刺激的な体験でした。

倉貫:その時、『MessageLeaf』って名前でしたっけ?

鈴木:『MessageLeaf』って名前にしていた。『MessageLeaf』って名前は結構初期の頃に。

倉貫:初期の頃に考えて決めた。

鈴木:ChromeExtensionだって葉っぱのマークでしたでしょ。

倉貫:そうでしたね。それにしても、あの食事会はインパクトありましたね。

鈴木:ありました。

倉貫:休みの日に普通の人たちが集まって、エンジニアでもIT関係でもない人たちがITのサービスについて語り合いながら食事をするっていうのは。

鈴木:ある意味、倉貫さんたちにしてみれば異人が来たような(笑)。僕は全部知っている人だから、全然異人じゃないんだけれど。

倉貫:そのお食事会の中でいろんなフィードバックを貰って、そこでの学びが大きかったですね。

鈴木:大きかったですね。強烈に。あの食事会のあとすぐに、これはやっぱり変えなきゃ駄目だって話になったと思うけれど。

倉貫:あの生の声を、藤原も私も参加して、ユーザー候補、ユーザーの人たちがこうだ、ああだって聞いて。誰からともなく言い出しましたね。ピボットというかちょっとやり方変えませんかって。僕は誰から言い出したか覚えてないんですけど…

鈴木:そのくらい、みんななんか。

藤原:みんななんかありましたね。

鈴木:僕も誰が言い出したか覚えていないけど、変えなきゃまずいよねって。


なんと、3ヶ月の期間をかけて練り上げたアプリは、αユーザとの食事会で早くも転換を迫られてしまいました。さて、このチームはどんな判断をし、行動をするのか!?

【お知らせ】ソニックガーデンの本が出ました!

リモートチームでうまくいく~マネジメントの"常識"を変える新しいワークスタイル

企業に所属することで得られる安定と、自分の好きな場所で働く自由を両立できる新しいワークスタイルとして注目を集めている「リモートワーク」。本書はそのリモートワークが抱える問題に対してソニックガーデンが実践してきた取り組みと、そのノウハウから生まれた「リモートチーム」というマネジメントの手法についてまとめています。あらゆる組織、チームのマネジメントと個々人の働き方を考えるヒントとなる一冊です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)

「納品」をなくせばうまくいく~ソフトウェア業界の"常識"を変えるビジネスモデル
「納品」をなくせばうまくいく 表紙

本書は、IT業界の、とりわけソフトウェア開発の業界で〝常識〟とされているビジネスモデルを変えてしまおうという試みです。ソフトウェア業界にはびこる多くの問題を解決するために取り組んだ新しいビジネスモデル「納品のない受託開発」について書いています。「受託開発」なのに「納品」をしない、なぜそんなことをやっているのか、そして、なぜそんなことが実現できるのか、その秘密について解説したのが本書です。(著者:倉貫義人 出版:日本実業出版社)