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頭の中で組んでいた配車を、会社の財産に。1,000台のトラックを動かしてきた暗黙知のシステム化

頭の中で組んでいた配車を、会社の財産に。1,000台のトラックを動かしてきた暗黙知のシステム化

株式会社日本トランスネットさまは、1,000台を超える車両を擁し、九州の南から東北まで張り巡らせたネットワークで、企業間の中長距離輸送を担う運送会社です。

荷主から受けた仕事に別の会社への発注を重ねる「多重下請け」が一般的な業界にあって、同社は99%を自社の車両と自社のドライバーで運行。最後まで責任を持って運びきる体制が高く評価されています。

一方で、その屋台骨である「受注から配車まで」の業務は、長らくベテランの経験と勘、そしてエクセルとFAXに支えられてきました。どのトラックにどの荷物を積み、誰がいつ走るのか。膨大な条件を頭の中で組み合わせる、職人技の世界です。『納品のない受託開発』では、この暗黙知を会社の仕組みへと育てるお手伝いをしています。その歩みと、先に描く運送業の未来を語っていただきました。

インタビューに参加された皆さん

  • 日本トランスネット 松本 砂苗
    日本トランスネット
    松本 砂苗(まつもと・さなえ)さん
    取締役 副社長。創業者であるCEOの娘。メーカーと大手EC企業の物流拠点を経て家業へ。入社11年目。業務の見える化とDXを推進する。
  • 日本トランスネット 松本 彬寿
    日本トランスネット
    松本 彬寿(まつもと・あきひさ)さん
    取締役 運行管理本部長。創業者であるCEOの息子。2011年入社後、およそ10年現場を担い、大阪支店長を経て、現在は現場の責任者として輸送の最前線を統括する。
  • 日本トランスネット 鈴木 義孝
    日本トランスネット
    鈴木 義孝(すずき・よしたか)さん
    DX推進室長。前職はメーカーの社内IT担当として基幹業務システムの統合などを担う。日本トランスネットではDX推進の中核として、システムづくりと社内の「システムマインド」「データマインド」の向上に取り組む。
  • ソニックガーデン 石澤 佳祐
    ソニックガーデン
    石澤 佳祐(いしざわ・けいすけ)
    プログラマ・開発責任者。2017年にソニックガーデンへ。「コードを書くことではなく、問題解決をするのがプログラマ」を信条に、お客様と直接対話しながら開発を進める。

自社車両99%。責任を持って運びきる、幹線輸送のプロ集団

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まずは、日本トランスネットさまがどのような会社なのか教えてください。
副社長の顔副社長
企業から企業へ、中長距離の幹線輸送を担っている会社です。大型トラックと、トレーラーの荷台を牽引する「ヘッド」を合わせて1,000台ほど。九州の南から東北まで、日本全国に車両を配置しています。
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業界の中で、御社ならではの強みはどこにあるのでしょうか。
副社長の顔副社長
物流業界は、建設業と同じで多重下請けが当たり前なんです。発注が何度も重なるので、実際に運ぶ会社には本当の荷主が誰かも分からない。その中で私たちは、99%が自社の車両と自社のドライバー。だからお客様に責任を持って最後まで運べる。そこを評価いただいている会社です。

頭の中だけで組んでいた配車。個人の技とエクセル、そしてFAX

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ソニックガーデンと出会う前、配車の業務はどのように回っていたのでしょうか。
鈴木の顔鈴木
スキルを持った人が自分のノウハウで、頭の中で考えて配車を組んでいく。その人がいなくなったら、仕事が回らなくなってしまう。そういう状態でした。

運送業で何が一番重要かといえば、お客様のものを運ぶこと。それを支えているのは、注文を取って、配車をして、ドライバーさんにお願いする、という流れです。ここが一番の肝なんです。その肝が、個人の技とエクセル、場合によってはFAXのやり取りで回っていた。ここを変えなければ発展はない、と考えていました。

「ゴールはいつも成長する。それなのに、ゴールを決めて作るのか」

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なぜ自社オリジナルのシステムを作ろうと思われたのでしょう。
副社長の顔副社長
A地点からB地点まで運ぶときに「安いことが正義」という業界なんですよね。でも、そこにはドライバーさんのノウハウも、私たち運送業者のノウハウも眠っている。それがまったく評価されない。事故を起こすリスクの高いドライバーでも、10年間無事故のドライバーでも、同じ価格なんですよ。おかしいよなと、違う業界から入ってきた私はすごく嫌でした。

娘としても「お父さんが運送業をやってます」というのを、あまりかっこいいと思えていなかったんです。でも、せっかく入ったんだったらかっこいい業界にしたい。そのためには、みんなが何をやっているのかを見える化して、数値にして、付加価値を社外の人に分かってもらう必要がある。その手段としてシステム化を進めたい、という話をしました。
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創業者であるお父様は、こうした取り組みをどうご覧になっていますか。
副社長の顔副社長
父は、コンピュータを使っている会社なんてほとんどなかった時代に、バンと決めてオフコンを導入しているんです。パソコンは全然できないんですけど、デジタルの考え方は分かってくれる。今回の取り組みも「わしは使われへんけどな、やったらええで」という感じで見ていますね。
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ソニックガーデンを知っていただいたきっかけは何だったのでしょうか。
副社長の顔副社長
X(旧Twitter)で、たまたまソニックガーデンの倉貫社長を見かけたんです。おもしろいことをやってるな、と思って本(人が増えても速くならない)を買って読んでみました。

ずっと疑問だったんですよ。ゴールを決めて逆算して作ります、というやり方。でも、ゴールっていつも成長するし、変わっていくじゃないですか。それなのに何千万円もかけてゴールを固定して作るのか。それはナンセンスやな、と。一緒に成長して、ゴールも高めて、ずっと改善していけるところはないのかな。そう思っていたときに本を読んで、「ここに連絡してみたい」と。
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実際にソニックガーデンに決めていただいた理由は何だったのでしょう。
鈴木の顔鈴木
開発会社には3つのタイプがあると思ったんです。仕様を決めて積み上げ、費用と期間を約束する一般的なタイプ。とにかく一旦作って、変更があっても何とかやりきるというタイプ。これは柔軟でコスト面も良さそうでしたが、お互いが不幸になるよね、と。3つ目が、ソニックガーデンさんのように作りながら成長させていくやり方でした。

ただ、検討していた時点ではシステムエンジニアがいない状況、現場の人も「こういうものを作ってほしい」と言えない。仕様を決めきってから進めるのは無理だと思いました。だったら、動くものを作りながら進めるほうがいい。ウチに合うな、と。

「じゃあ、ちょっと作ってみますね」から始まり、2週間ごとに育っていく

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実際に始まってみて、いかがでしたか。
鈴木の顔鈴木
最初に「こういうことがしたいんです」とご説明したら、「じゃあ、ちょっと作ってみますね」と。出てきたものはとても素朴で、とにかくデータが入力できます、というところから始まりました。でも今になってみると、そこが良かったと思うんです。

動くものが目の前にあるから、「ここにこういうことを入れてほしい」「ここは変えられないの?」という会話ができる。それを重ねるうちに、気がつけば結構いい仕組みができているな、と。

受注~配車~実績の業務が稼働しており基幹システムへのデータ連携も実現しています。後続業務に必要な情報を明確にして入力することによるトータルでの効率化、二重入力の排除で効果を発揮しています。使っている人も本当にいいと言ってくれています。
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これまでのシステム開発との違いを感じるところはありますか。
鈴木の顔鈴木
今は2週間ごとにバージョンアップしていきます。これまでのシステムは作りっぱなしで、機能を追加しようとすると、それだけで大がかりな話になる。「今までと全然違う」と、実際に業務をしているメンバーが言ってくれています。むしろ、ソニックガーデンさんの開発が早いので、こちらが追いつかないくらいで(笑)。

※『納品のない受託開発』では通常、週1回のミーティングで進めますが、同社では隔週で進行しています。

価値観をつくり変える時間。「今、一番必要なのはどこですか」

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長くシステムに携わってこられた鈴木さんにとって、この進め方は最初どう映ったのでしょうか。
鈴木の顔鈴木
最初のうちは、こちらの意図がうまく伝わっていないな、と感じることはありました。うちの業務は、前提となる背景を説明した上で「これです」と言わないと伝わらない。順を追って話しているつもりなのに噛み合わない、ということが何度かありました。
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ソニックガーデン側は、どう受け止めていたのでしょうか。
石澤の顔石澤
「要るか要らないか」でお聞きすると、要るものを全部詰め込むことになるんです。そうすると、できあがりが遠のいて「実際に使う」ところにたどり着けない。だから「今一番どこが必要ですか」と、そぎ落とすための会話をかなりしました。
鈴木の顔鈴木
お互いに、こういう言い方をしたらいいのかな、と少しずつ変わっていきましたね。

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副社長から見て、進め方はいかがでしたか。
副社長の顔副社長
私は、「削る」という作業がどうしてもできないんです。あれもやりたい、これもやりたい。優先順位をつけるのはなかなか難しい。それを毎回、冷静に問い直してくれるので、「そうか、一番やりたいことを決めないといけないのか」と気付かされる。あの問いかけは、いつも斬新でした。最初の頃は「全部やってほしい」と思いながら、しぶしぶ削っていましたけど(笑)。

ベテランの判断を、誰もが上れる階段に

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現場を統括される立場から、システムに期待することは何でしょうか。
本部長の顔本部長
事務所のメンバーが、少しずつできる仕事を増やしていける状態をつくりたい。今は、何か起きたときにベテランが「これはこうするんだ」と教えて、それで終わり。判断の基準がその人の中にしかないので、周りの仕事はいつまでも変わりません。

システムがあれば、その判断が形になって残る。経験の浅い人でも一段ずつできることを増やせる。みんなが上っていける階段にしたいんです。

鈴木さんとソニックガーデンさんのやり取りを見ながら、システムの考え方が分かったんです。何のためにシステムを作るのかといえば、人にしかできないことを最大限にするためなんだ、と。一般的なシステム会社に発注していたら、そもそも私がミーティングに入ることもなかったでしょうから。

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10年後、システムがどうなっているといいというイメージはありますか。
本部長の顔本部長
やっぱり自動で配車ができているといいですよね。僕は以前から「ドライバーさんの心の体力を見て配車しています」と言っていて、今日はこの人にこの距離を任せて大丈夫か、その日の状態を見て決めているんです。そこまでITやAIで察知できたら最高だなと思います。
副社長の顔副社長
絶対にやっていてほしいのは2つです。ひとつは、お客様が受注の見通しをシステムに入れてくださる状態。早めにお約束いただけたら安く、直前のご依頼なら割増で、という値付けができるようになります。

もうひとつは、ドライバーさんの価値の見える化です。一人ひとりの仕事ぶりを数値にして、お客様に選んでいただき、割り増しいただいた分を本人に還元したい。いずれ他の運送会社に移るときには、うちがその実績を証明して送り出したい。この2つができたら、業界に貢献できるんじゃないかと思っています。
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鈴木さんは、システムの展望をどうお考えですか。
鈴木の顔鈴木
受注から配車、請求まで、業務の全てを賄える仕組みにしていきたいですね。人の頭の中にあるノウハウがそこに溜まって、隠されるのではなく発揮される仕組みに。

どんな会社に『納品のない受託開発』を勧めたい?

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最後に、システムの展望と、どんな会社が『納品のない受託開発』と相性がいいと思われるかを教えてください。
鈴木の顔鈴木
相性でいえば、決めてから進めるのではなく、やりながら進む方向も決めていく、そういうタイプの会社には合うと思います。仕組みを作りたい業務主導の人がいれば、社内にITの分かる人がいなくても向くんじゃないかなと思います。
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ありがとうございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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