「自由にはたらく」は小学生に伝わるのか?広島県は尾道の小学校で講演してみました

2018年11月、広島県にある浦崎小学校のPTA会長をされている中谷様より、「広島の各地域が活性化するために、ITなどの力を使ってお手伝いをしたい!」「地元浦崎地域の子どもたちに、新しい一つの働き方を知るチャンスを提供したい」という想いからソニックガーデンに講演依頼がありました。
ソニックガーデンには全国でリモートワークをしているメンバーがいますので、広島県でリモートワークをしているソニックガーデンの坂川が地元の小学生向けに「自由をはたらく」をテーマに講演を行ってきました。以下坂川からのレポートです。
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ソニックガーデンの坂川です。2018年11月最後の金曜日、尾道市立浦崎小学校全校生徒を対象に、私、坂川による講演会「自由にはたらく」が開催されました。
浦崎地区は尾道市内からの飛び地で人口3300人弱、高齢化率約42%、地区内には浦崎認定こども園は1つ、小中各1校、といった規模感の地域です。神楽に代表される伝統行事や町民運動会、元旦駅伝などの地域行事も盛んな結束の固い地域であるようです。今回は業務ハック事業に一緒に取り組んでいるHracn合同会社様の、「広島の各地域が活性化するために、ITなどの力を使ってお手伝いをしたい!」「地元浦崎地域の子どもたちに、新しい一つの働き方を知るチャンスを提供したい」という想いからソニックガーデンにお声がけいただきました。
果たして、浦崎小学生125名は、リモートワークという働き方にどのような感想を頂くのでしょうか?(ちなみに私は小学生の子どもを持つ父親です。)
ソニックガーデンの働き方に驚く小学生たち
講演は、大型プロジェクターに自身のPCモニターを写し、児童にすべて見えるようにしました。
まずは、ソニックガーデンでの働き方
- インターネット上に会社があること(リアルに出社してこないこと)
- 全国に社員が35名おり、インターネットでつながっていること
- 僕の実際の作業場の紹介
- 一日のリアルなタイムテーブル
- 「出勤に係る時間はたったの5秒」
- 「子供たちが帰ってきたら、宿題をみて傍に居られる」 など、実際の様子について写真などを用いて説明しました。
バリ島にいる社員や全国にいる社員がPCモニターに10人以上一斉に並ぶと、子どもたちは目を輝かせました。
「何人写るんだろう?」「え?バリ島ってどれくらい離れてるの?」と。
倉貫さんが社長だとわかると、「えーーー?」という声。社長は白いシャツを着た人、スーツの人みたいなイメージがあるようで、ラフな服装の社長に驚いていました。
じゃんけんゲームを披露
次に、私がこの日のために作った「じゃんけんゲーム」を紹介しました。
実際のじゃんけんの画面の背面には、コーディングの画面(黒地に緑や白字でコードが書かれた画面)を写し、「このように、プログラムに僕が命令を書き込むことでこの絵は動いているんです」と説明しましたが、理解してもらえたかな?
じゃんけんゲームにすっかり夢中になってくれました。
僕がプログラマになった理由
最後には、「僕がプログラマになった理由」を中学時代の思い出と共に紹介しました。私が中学生の時(20年以上前)、好きなことをするためにプログラムを手探りで作ったこと、そのプログラムをとても褒めてもらえたことを伝えました。
そして、好きなことを一生懸命頑張ればいい、好きなことを自由な生活スタイルで仕事にできるんだ、ということをしっかりと伝えました。
これは私の人生を左右する、大きな成功体験でした。今日の話が純粋な子供たちの心にしっかりと届いてくれれば嬉しいです。
質疑応答タイム
講演会後の質問タイムでは絶え間ない質問がありました。
- 「バリ島はとても離れていますが、時間の差はなくて、一緒に仕事ができるんですか?」
- 「一人でプログラムの仕事をして、失敗することはないんですか?」
- 「出張はありますか?」
- 「プログラミングをしていて、楽しいときはどんな時ですか?」
- 「誰とでもテレビ会議はできますか? 会議には何人出られるんですか?」
- 「給料はどのくらいもらえますか?」
- 「お休みの日はありますか?」
これらの質問全てに回答し、以下のことを繰り返し伝えました。
- 「どんなところに居ても、ネットの環境とPCがあれば仕事ができる」
- 「会社の仲間とインターネット上でつながり、インターネット上でも協力して何かを作ることができる」
ちなみに、講演には、大人4名の参加もありました。パラレルワークや新しい働き方に興味津々の地元公民館長は、「今日だけの講演だと物足りん。この働き方が浦崎に住んでも可能で、東京でサラリーマンをするのと同じくらい好待遇なのかどうか、もっと知りたかった。」と、もっと話を聞きたかったようです。
講演内容が難しかったと感じる教員の方もいたようでした。「まずは会社に就職して、通勤がルーティン化する働き方を通して社会人として一人前になっていくプロセスが普通」と考える大人にとっては、内容が難しいというより、理解がし難いのかもしれません。
大人の方々の感想を聞いて、リモートワークの就業スタイルは今は特別でも、継続して普及啓発されることで社会に馴染んでいけばいいなと感じました。
最後に
後日、先生がまとめた全校生徒からの感想文は、講演で伝えたかったことが子どもたちに届いたことを確信させてくれました。
■以下児童の感想文一部抜粋です■
・私が,いいなと思ったことは,どこにいても関係なく,会社で働くことが出来ることです。それに,プログラミングをしてゲームを作ることがうらやましいと思いました。
・私も、自分自身で選んで,自分の仕事を見つけたいです。
・同じ仕事の人でも,インドネシアとかいろいろな所に行く人がいるから,すごいなと思いました。いろいろなゲームとかを作っていたからすごいなと思いました。一画面に12人もの人たちがいたので,すごいなと思いました。
・浦崎にいて、パソコンでテレビ電話は,誰にでも伝わるので,そこが心に残りました。
・質問です。ぼくたちが遊んでもいいゲームもありますか。テレビゲームも作っていると言われたけど,任天堂スイッチやwii uも作っているんですか。パソコンでしか,会話が出来ないんですか。趣味はプログラミングだけでしたか。子供とも,プログラミングで遊ぶんですか。楽しかったし,勉強になりました。また来てください。
・リモートでの「講演会」というのは、初めてでした。だから、どんなものかもまったく分からなかったので、わくわくしました。おもしろいところは,仕事がインターネット上にあって、プログラマになっていることです。もう一つは,遠くの同じ仕事の人とすぐ話すことが出来ることです。ぼくもプログラミングをやってみたいです。講演をしていただき,ありがとうございました。
・講演会で楽しかったことは、テレビ会議です。ぼくは,最初はテレビでするんだと思っていました。パソコンでするんだと知りました。いろいろなプログラマさんたちと、テレビ会議で会って,会話を聞いてみると、おもしろい方ばかりでした。社長さんが,あの方だとは意外でした。インドネシアから,時間差無しで通信できるのですごかったです。いい体験が出来たと思います。
・心に残ったことは,リモートワークで,4800㎞も離れたバリ島の人と,普通に話をするように会話が出来たことと,旅行しながら,いつでもどこでも仕事が出来ると言うことと,一つの画面に何人もの人が映し出されるということです。ぼくは、将来、こういう働き方もしてみたいなと思いました。
・私は,将来の夢を悩んでいたので,自由に働ける職業があると気付いて,少し楽になった気がします。自分にしか出来ない事が才能だったら、一人に一つは必ず才能はありますね。自分にしか出来ない事をこれからも探していこうと思います。ありがとうございました。
・私は,インターネットを通して,仕事場に行かなくても,5秒で会社について仕事が出来るので,すごく便利だと思いました。未来には,今ない仕事が出来ているかも知れないので,これからはパソコン(インターネット)のことについてたくさん知っていきたいです。
・普通の人は,電車通勤などをしているけれど,ソニックガーデンの人たちは好きな場所で仕事が出来ていいなぁと思いました。パソコンでテレビ電話が出来,会議が出来て,時間差がなかったので,すごいなぁと思いました。これからも頑張ってください。ありがとうございました。
児童からの感想文は、先生方の想像を超えていて、先生方は驚かれていたようです。
住み慣れた、愛すべき「浦崎地区」に住みながら、日本全国、世界中の人と一緒に、好きなことを仕事にできるという選択肢がある、という夢を子どもに提供できたと手ごたえを感じました。
実際、ソニックガーデンの北陸地方の方には、地元の獅子舞の指導を一生懸命されている方もいます。地元に残り伝統を守る活動をしながら、都市部で働くのと同じ待遇で勤務できる環境を、多くの大人が知らないかもしれません。
今後も機会があれば子どもたちに広く新しい働き方の選択肢を広めていきたいと感じます。
貴重な機会を与えてくださったHracn合同会社様ありがとうございました。

- プロフィール: 坂川雅俊
- 複雑な物事を紐解いて上手く繋げられた時、そしてプログラムとして上手く書けたときに喜びを感じます。
”上手く”をお客様と探し、一緒に喜べる関係を目指しています。