リモートチームという働き方
リモートワークは、場所を選ばずに自分のライフスタイルに合わせて仕事ができる働き方です。介護や子育て、家族の転勤や地元へのUターンなど、人生に起こるさまざまな転機にもリモートワークであれば柔軟に対応することができます。また、在宅勤務ができるという時間的な側面だけではなく、個人であれば自身のスキルが活かせる領域で仕事ができたり、企業であれば遠くに住む優秀な人材と一緒に働くことが可能になります。
従来のリモートワークといえば、一人でもくもくと仕事をするというチームワークとはかけ離れたイメージが強くありますが、会社形態であっても同僚とチームワークを活かしながら働くことは十分に可能です。私たちもおよそ10年という歳月をかけて試行錯誤し、物理的にオフィスに集まらないだけで、チームで協力しながらリモートで働く「リモートチーム」としての環境を整えてきました。

「リモートワーク」と「チームワーク」という一見すると相容れない要素に対して、私たちはこれまで長い間時間をかけて取り組んできました。その過程でわかったことは、同じオフィスで働いているからといってチームワークが自然に醸成されるわけではなく、チームワークを高めるための特別な努力や工夫が欠かせないということです。 リモートチームでうまくいく より(代表倉貫の執筆)

リモートチームに至るまで
リモートワーク導入のきっかけは「海外で英語を勉強しながら仕事を続けたい」という社員の一言でした。2010年当初は、私たちも全員がオフィスワークの時代でしたので、リモートワークへの取り組みはゼロからのスタート。希望した社員はプログラマーだったので、インターネットさえあればできるのではと想定しましたが、離れた状態でも滞りなく仕事ができるのかを会社は検証する必要がありました。

リモートワークの取り組みは、初めは在宅勤務で数週間その後は3ヶ月程度の海外滞在で、というように段階的にその期間と距離を広げていきました。社内外の打ち合わせやコミュニケーションの全てをオンラインツールに置き換え、初のリモートワークを実現しました。
そして2011年に東日本大震災が起きました。この時すでにリモートワークの基礎が整っていた私たちは、全社員が家族のそばにいながら仕事を続けることができました。この経験が大きな転機となり、本格的にリモートチームへの働き方にシフトし始めました。

私たちの目標はリモートチームという、オフィスでの働き方はそのままに、働く場所だけを変えるという形でしたので「リモートでもオフィスと同じコミュニケーションをすること」を方針としていました。何気ない雑談や相手の存在を感じながら仕事ができる環境を実現するために仮想オフィスRemottyを開発したのです。
当初私たちはRemottyへの出社を「論理出社」、オフィスへの出社を「物理出社」と呼び、各人がそれぞれの生活に合わせて出社先を選んでいました。しかし、次第に「論理出社」の割合が多くなっていきました。2015年辺りから思い切って全社員へリモートワークを推進、その移行がほぼ完了した2016年にオフィスの撤廃を決めました。

その後はワークプレイスとして、社員が自由に使うことができる住居用のマンションを借りました。現在は東京を含めた全国3箇所にあり、取材や営業、仕事や出張時の宿泊場所として活用しています。採用に関しても在宅勤務前提で行なっています。会社の文化を知ってもらい、セルフマネジメントを身につけてもらう研修期間を設けたうえで、リモートチームを築いています。
*より詳しい内容はこちらのブログをご参考ください。
社長である私がリモートワークをするようになって、以前よりもメンバー全員との距離が近くなったように感じています。オンラインでは物理的な近さも遠さもないので、フラットに誰とでも絡むことができるからです” リモートチームでうまくいく より(代表倉貫の執筆)

環境・ツールについて
リモートチームで働くためには、オンライン上で完結できるツールは欠かせません。私たちが日々使っているツールの一部を紹介します。
テレビ会議
お客様の環境や指定により他のツールを利用することもありますが、軽さや品質の高さから現在Zoomに統一しています。IDや事前インストールなどが不要で、URLの共有だけで使えるツールGoogle MeetやWherebyなども使いやすいです。

オフィス
Remottyではお互いの働いている様子が見えて、相手が在席かどうかが一目で分かるように設計されています。相手の今の様子を知ることができるので、ちょっとした相談や雑談が気兼ねなくできます。私たちは5分程度のテレビ会議を1日平均で5~6回ほど行なっていて、テキストでは伝わりにくい内容を会話で補足しています。
ファイル・ドキュメント共有
閲覧・編集等の権限付与が柔軟なGoogleドライブを利用しています。テレビ会議は議論の結論が曖昧になったり脱線しがちなので、ドキュメント、スプレッドシート、スライド等を使って議事メモを画面共有しながら会議をしています。

勤怠・労働時間管理
Remottyにログインすることを「出社」ログオフすることを「退社」とし、この入退室ログを元に労働時間を算出しています。Remottyのログをベースに正式な勤怠管理ができる「打刻レス勤怠管理サービス ラクロー」の提供もしています。(2019年7月からラクロー事業を分社化)
セキュリティ
セキュリティについてはトップダウン組織を設置し、漏れ・対策の滞りをなくすよう細心の注意を払っています。自社でセキュリティマネジメントツールを開発し「優先度」「誰がいつまでに」「どんな対策をするのか」といった内容を管理しています。
リモートチームで使っているツールは、リモートワークをするチームだけでなく、オフィスで働く社員にも役立つ、仕事の生産性を上げるものばかりですから、一度は取り組んでみる価値があります リモートチームでうまくいく より(代表倉貫の執筆)
習慣と文化
リモートチームでの働き方を成功させるには、メンバー同士がいつでも相談できて助け合える状態にあることが大切です。この状態を保ちつつ一緒に働くことが、信頼関係の構築に繋がります。私たちが実践していることのいくつかを紹介します。
働く時間を揃える
リモートワークなので場所はどこでも構いませんが、働く時間帯はだいたい同じにしています。お互いに助け合うためにはどうすればよいのかを考えた結果、自然と時間が重なりました。

会議へのラジオ参加
会議の出席メンバーでなくても、興味のある会議や打ち合わせであれば、自分の仕事をしながら音声だけを傍聴することを良しとしています。そうすることで社内の状況がより把握できるようになります。
「ハッカソン」「飲み会」「ランチ会」もリモート
人数を限定して音声と画面を繋ぎっぱなしにすることで、ハッカソンをリモートで開催しています。この方法は社内勉強会や研修にも最適です。また、飲み会やランチ会も少人数で開催し、各自がリモートで参加することで込み入った会話もできるように工夫しています。

雑談を奨励する
会社のチームビルディングにおいて重要な「連帯感」と「親近感」を生むのが、近況の共有やアイデアを話すといった雑談です。リモートで雑談を行なうことはなかなか難しいのですが、私たちはRemottyでそれを補っています。雑談は、リモートチームに欠かせない助け合いの風土を創ってくれる大切な要素です。

社員家族旅行
ソニックガーデンの社員は出社はせずに、自宅で働いています。 社員が自宅で気持ちよく働くためにはご家族の理解も必要不可欠なことです。理解あるご家族のために、”感謝の気持ちを受け取っていただく”という目的で毎年社員の家族が全員集合する家族旅行を行っています。

信頼関係とは、一緒に仕事をすることを通じて徐々に形成していけるものだと私は考えています
私たちは情報を社内でオープンにすることを大事にしています。チームで起きている課題を共有することは一体感の醸成につながります リモートチームでうまくいく より(代表倉貫の執筆)
陥りがちな課題
オフィスからリモートワークへ移行する際の懸念点は、オンラインツールが使いこなせるかという点だけではありません。よくあるご相談から、私たちが取り組んだことを紹介します。
「孤独を感じそう」
孤独感は「リモートチーム」で働くことで改善できます。物理的にオフィスには集まらないけど、働き方は従来どおりに進めるという方法です。ツール等を活用し、社員同士がお互いの顔見ながら同じ時間帯に働ける環境を整えることが大切です。リモートでの「ランチ会」や「飲み会」などを開催するのもおすすめです。

「気軽に相談や雑談ができない」「何気ない会話からのアイデアが生まれなさそう」
「Remotty」を活用することで、全社員が今それぞれどのような状況で仕事をしているのかをPC画面で把握できるようにしています。そこに、社員同士が雑談や相談をできるような専用のグループスペースを作り、各人がそれぞれの用途に適した方法で、オフィスで話しかけるように気軽にコミュニケーションが取れるようにしています。

「サボる人が増えそう」「働きすぎてしまう」
勤務態度に関しては、社員一人ひとりがしっかりとセルフマネジメントができることが大きなポイントとなります。働いている姿が見えにくいということは、見える成果を出さなければならないということに繋がります。自分自身を上手くコントロールし、オンオフといった仕事の切り替えをできるようになることが大切です。
セルフマネジメントとリモートワークはセットです。セルフマネジメントの働き方ができるのであれば、あとはリモートワークでもオフィスワークでも構わないのです リモートチームでうまくいく より(代表倉貫の執筆)
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