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【#1】1人のメンバーの思いを叶えることがフルリモートの原点だった

私たちらしい働き方のつくりかた

フルリモート化を経て、若手社員を中心に各地のワークプレイスで働く選択肢も持つようになったソニックガーデン。それは、常に自分たちらしい働き方を模索した中での変化でした。

そんな、「私たちらしい働き方のつくりかた」を全3回の特集記事としてお届けします。

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【#1】1人のメンバーの思いを叶えることがフルリモートの原点だった
【#2】変化し続ける働き方 〜僕たちは、オフィスに行きます〜 【#3】仮想オフィス「world」はソニックガーデンそのものである!

ソニックガーデンの働き方の変化を追う特集シリーズ「私たちらしい働き方のつくりかた」。

第1回目は、かつてのソニックガーデンの代名詞でもあった「フルリモート」の誕生秘話です。今でこそ当たり前なリモートワークを、2011年から実験していたソニックガーデン。その発端と、フルリモート化を決めた経緯、そして働き方の新たな変化の兆しを追います。
(本記事はソニックガーデンストーリーの一部内容をベースに再編集したものになります)

目次

    とある宣言が発端となり
    はじまったリモートワーク

    リモートワークの発端は、今からなんと12年前に遡ります。ソニックガーデンが社内ベンチャーからの独立準備を進めていた2011年7月。まだ社員数は数名程度の小さな組織の頃です。フリープログラマでありながら、ソニックガーデンのメンバーとして働く前田は、アイルランドへの短期移住を開始していました。事の発端は、ソニックガーデン名物「宣言大会」での発言でした。

    「宣言大会では、その年にしたいことを各メンバーが発表します。何を話そうか、ギリギリまで悩みながらも、『海外で働く』ということを宣言したんですよね。ちょうどそのときに、海外で働く人のブログを読んでいて、憧れていたのと、英語を勉強してみたいという思いがあったんです。でも、難しいだろうなとは思っていたので、ただただ願望を話してみるみたいな気持ちで宣言しました」(前田) 

    しかし、前田の予想に反して周囲は乗り気でした。「いけるんじゃない?」と他のメンバーは好意的に前田の宣言を受け止め、後押しをしたのです。その頃のソニックガーデンは社内ベンチャーという立ち位置ながら、ノートPCを使い、システムはすべてクラウドに置き、厳密な勤怠管理はしないなどリモートワークの下地が整っていたことも大きな要因となります。

    「引くに引けなくなった」という前田は、試しにカナダへの2ヶ月間の短期滞在のビザを申請することに。「まあ、取れないだろうなと思っていた」という前田の予想にまたもや反して、ビザはすんなりと取得できてしまいました。

    「もう、行くしかないですよね(笑)。僕も、他のメンバーもリモートで仕事をするのは始めてだったので、まずは当時住んでいた川崎の自宅で1週間ぐらいリモートワークの練習をしてみました。その頃はSkypeを使っていましたね。画面共有でどう仕事をするか、コミュニケーションに不都合はないかなどを試しながら仕事をしました」(前田)

    今でこそ、フルリモートで働く“先進的”な企業として注目を集めるソニックガーデンですが、そのはじまりは「海外で働きたい」という1人のメンバーの願いを実現するためでした。ギリギリまで何を話すか悩み、半ば勢いで発した前田の宣言が、ソニックガーデンを代表する働き方のきっかけとなったのです。

    前田のリモートワークについて書かれた倉貫のブログ記事
    「『国境なきプログラマ』を目指す~ノマドワークの究極のかたち」

    前代未聞のリモートワークの実験

    カナダでの2ヶ月の短期滞在の後、前田はアイルランドへ1年間の移住ができるビザを取得。2011年の夏に、アイルランドへ出発します。そして、遠く海外の地でSkypeを使いながら、納品のない受託開発をつつがなく進めていきます。

    「お客様もすごかったと思います。リモートで、しかも海外から開発をすると言っても仕事を継続してくれましたから。当時、Skypeを仕事で使うなんて発想はほとんどの人は持っていなかったんですよ。今でこそ、Zoomとかオンラインのコミュニケーションツールはたくさんありますけど、当時は数もそこまでなかったですからね。そういう働き方を許容してくれた倉貫さん、ソニックガーデンのメンバー、そしてお客様がやっぱりすごかったんだなって、改めて思いますね」(前田)

    海外で働く前田について、倉貫も当時のブログでこう触れています。

    前田の海外移住での“実験”は多くの気付きをソニックガーデンにもたらしました。大きかったのが、Skypeのような同期型のコミュニケーションツールだけではなく、非同期型のコミュニケーションを可能にするツール「youRoom」の開発と活用です。アイルランドとは9時間の時差があるため、同期型のコミュニケーションだけだと時間が限られてしまいます。また、オンライン電話やリアルタイムでの応答を求められるチャット(Skypeのチャットは、スレッド機能などがなくどんどん流れていってしまう)などは、プログラマの時間を拘束し、生産性を阻害する要因ともなります。

    こうして使われることになったyouRoomは、後にRemottyへと進化していくことになります。こうしたオンラインコミュニケーションにまつわる話は、リモートワークが普及した今では当たり前に感じられますが、2012年当時はほとんど話題にもならない、まさに実験的な働き方です。

    また、雑談の重要性もこの頃すでにメンバー間で話されていました。オンライン上でのコミュニケーションだとどうしても仕事の話だけになってしまう。かといって、リモートランチやリモート飲みをしようにも、時差や回線の問題(当時のアイルランドのネット回線はとても弱く、ビデオ通話ができなかった)もある。それであれば、仕事の話をする前後でなんとなく雑談を入れていこうかと、メンバー間で意識の共有がされたのです。

    非同期コミュニケーションの重要性、雑談を大切にするカルチャーなど、今に繋がる考え方を生み出し、“リモートワークの実験”は大きな成果を残したのでした。

    フルリモート=どこにいても働いていい

    2016年7月には、全社フルリモートへの切り替えが行われました。前田の思いつきに近い(?)宣言大会での発言に端を発したリモートワークは数年の時を経て、ついに全メンバーに適応されることになります。

    「リモートとオフィスを両立していると、やっぱり情報格差みたいなのはどうしても生まれてしまうんですよね。オフィスで会話していたことが、リモートのメンバーには共有されていなかった、みたいなすれ違いも増えてきた。うーんと考えていたら、倉貫さんが『俺もリモートワークする』って言い出したんです」(藤原)

    当時、神南にオフィスを構えていたソニックガーデン。倉貫は契約更新を前に、このまま同じオフィスを使い続けるか考えていました。決して売り上げに難があったわけではなく、特段オフィスに不満があったわけでもない。そうした物件に関する条件ではなく、会社としてどうあるべきか、を倉貫は考えていたのです。

    「全国から応募も増えてきて、我々が会社としてどうしていくかを考えていたんです。このまま、神南を本社とするままでいいのか。本当にオフィスは必要なのか。いろいろ考えた結果、フルリモート化をしてはどうかと。それで、まずは自分からリモートワークを始めて、問題ないと感じたので、決断しました。これは、会社としての社内外へのメッセージでもあったんです。私たちはオフィスを持たない、全国どこにいても働いていい。選択制ではなく、全員がフルリモートです、という意思表示でもありました」(倉貫)

    どこでもいいなら、集まってもいいんじゃない?

    2016年のフルリモート化からさらに時を経て、2023年。コロナ禍を経て、リモートワークはあっという間に世の中に浸透しました。もはや、新たな働き方の選択肢として当たり前となったリモートワーク。「柔軟に働ける」「満員電車に乗らなくていい」「自分のペースで働ける」…。こうしたリモートワークを喜ぶ声は、SNSやメディアなど、あちこちで目にするようになりました。

    しかし、コロナ禍真っ只中の2020年以降に就職をした若い世代からすれば、それは「最初から用意された働き方」でもあります。

    2023年にソニックガーデンに入社した4人の若手社員たちも、例に漏れず、リモートワークで働くことになりました。親方のもと、技術とセルフマネジメントスキルを磨く修行の日々。しかし、次第に4人は、もやもやとした思いを抱くようになります。

    「リモートワークはなんだか不安だし、仕事がやりづらい……」

    1人の思いを叶えるために、実験を重ねながらソニックガーデンに根付いていったリモートワーク。後に「フルリモートの会社」という看板を得て、コロナ禍においてはさらなる注目を集めていくことに。そして、コロナ禍が落ち着き、社会全体の働き方が変化したなか、未来を担う若い感覚は、さらにその先の働き方を敏感に求めはじめたのでした。

    「集まって働いてもいいんじゃない?」

    ――次回 変化し続ける働き方 〜僕たちは、オフィスに行きます〜

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