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【15期社史#1】任せて、支える。徒弟制度の一つの成果――若手が開発責任者へ

ソニックガーデン15期社史

育成、AIとの向き合い方、そして関係性から生まれる豊かさ。15期の「1年分の社史」をまとめました。

ソニックガーデンの1年をふりかえる「15期社史」シリーズ。全3部のうち、この記事でお届けするのは「人が育つ」というテーマです。弟子として入ったメンバーが開発責任者になり、高卒採用や韓国採用など、新しい仲間も加わりました。ソニックガーデン流の人の育て方を、この1年の出来事からご紹介します。

14期の社史で、親方(※)の野上はこう語っていました。「弟子たちが"稼げる"ようになってきました。『一人前』になるのも現実的になってきたかなと思います」――。

※ソニックガーデンでは徒弟制度と呼ばれる育成制度を取り入れており、教育を担うベテランプログラマを親方、修行をする若手プログラマを弟子と呼んでいる。

15期、その言葉は現実になりました。親方のもとで経験値を積み重ねていた弟子が、開発責任者として案件を持ちはじめたのです。

野上の顔野上
弟子で入ったメンバーが、5年目で開発責任者として案件を持ちはじめました。順当に育ってきたな、という手応えがあります

     

もちろん、若手がいきなり開発責任者の全てを務められるわけではありません。15期のソニックガーデンでは、若手プログラマを集めた「開発責任者勉強会」を月1回のペースで半年近く開催。「ソニックガーデンの開発責任者とは、一体何なのか」を、みんなで考え、言葉にしていく取り組みを重ねてきました。

とはいえ、経験豊富なベテランと若手とでは、当然、仕事の質に差が出ます。若手に任せることは、サービスの品質を落とすことにならないのか。野上には、悩んだ時期もあったといいます。

野上の顔野上
僕がやれば出せる価値が、弟子がやっても出ないわけではない。でも比較すれば、差はある。それをどこまで許容するのか、悩んだ時期もありました。ただ、ソニックガーデンは、何かあってもきちんと向き合って乗り越えられるだけの体力のある会社になった。組織の成長とともに、取れるリスクも広がったんです。だからこそ、若手がチャレンジしやすくなったんだと思います

実際、若手が開発責任者を務める案件では、野上たち親方は打ち合わせに同席しても、基本的に口を出しません。「喋らない。見守っているだけ」と野上は笑います。

さらに15期には、若手のチャレンジを支える新しい仕組みも生まれました。「納品のない受託開発」に、プロジェクトマネージャ(PM)の役割を組み込んだのです。

きっかけは、あるリプレイス案件でした。お客さま側に開発の受け入れ体制が十分に整っておらず、リリース前にソニックガーデンがフォローに回る場面が多くなってしまった。お客さま側にプロジェクトマネジメントを担う人がいないと、システム開発はうまくいかない――その反省から、お客さまと開発責任者の間に入り、プロジェクトの進行やコミュニケーションを支える役割を、サービスとして提供することにしました。

このPMを担うのは、約10年にわたって、ソニックガーデンのお客さまとしてプロジェクトに関わり続けてきた人物です。長年の付き合いがあるからこそ、ソニックガーデンの仕事の流儀も、お客さまの気持ちもわかる。まさに適任でした。

野上の顔野上
開発者ではない人にプロジェクトに入ってもらうのがポイントなんです。開発者ではない人が間に入れば、開発のことは開発責任者が自分で説明し、自分で決めるしかない。一方で、進行やお客さまとのコミュニケーションはフォローしてもらえる。若手が開発責任者として育つためにも、いい立て付けになりました

一方、人事の面でも、弟子たちの成長を支える仕組みが大きく進化しました。評価の考え方そのものを見直しながら「キャリブレーション」と呼ばれる人事の仕組みを運用し、若手プログラマの成長の道筋を整理する取り組みが行われました。

藤原の顔藤原
弟子たちが実際に育ってきてくれたことで、一人前までの道のりの解像度がどんどん上がってきたんです。これができるようになる、次はこれができるようになる、と。その道のりを親方同士が同じ目線で語れるように、キャリブレーションをしながら整理しました。弟子たちの成長の道筋や現在位置を見える化して、次のチャレンジを親方と一緒に見つけていくためのものです

手探りで始まった徒弟制度は、弟子が開発責任者になるという実りの季節を迎えました。その歩みは社外からも注目され、NHKの番組で徒弟制度が紹介され、好評を受けて2026年6月には再放送もされました。

AI時代に際立つ、プログラマの「人間力」と新たな仲間たち

「いいソフトウェアをつくる。」という理念を実現するために、いいプログラマを増やしていく。14期の社史の終盤で語られていたこの取り組みは、15期、大きく花開くことになります。

まずは、高卒採用です。「職人の道を歩むのであれば、大卒でなくても良いのではないか」という仮説から14期に準備が始まった高卒採用は、15期に内定式を行い、2026年4月、4人の新しい仲間を迎え入れました。

ソニックガーデンでは、彼らのことを「ユース」と呼んでいます。

藤原の顔藤原
高校を出てすぐの彼らは、プロになる前の存在。サッカーでいえば、プロチームの一歩手前にあるユースです。2年間のエンジニア育成プログラムを、ソニックガーデン本体とは別の組織として設計しました

ユースの設計で藤原が重視したのは、技術力だけではありません。入社した彼らと接する中で見えてきたのは、自分の感情を理解し、相手に伝える力――EQ(感情知性)やSQ(社会的知性)の重要性でした。

藤原の顔藤原
学校というのは、実はチームワークがいらない社会なんです。自分のペースで勉強して、成績で評価される。でも仕事はチームで行うものです。だからユースでは、技術だけでなく、EQとSQも含めて全部を鍛えていきます。特に今は、技術力はAIのおかげで格段に伸びやすくなりました。だからこそ、その手前にある人間力を鍛えることが、ますます大事になっているんです

ユースでは、自分の好きな作品づくりに没頭する機会を設けます。これも実は、EQの訓練なのだと藤原は言います。没頭とは内発的動機、つまり「自分が何に興味を持つ人間なのか」を知ること。プロになれば納期や顧客価値が最優先になりますが、訓練中である今だからこそ、失敗しながら、時間をかけて、没頭する経験を積めるのです。

そして15期には、もうひとつ、採用の大きなチャレンジがありました。韓国での採用活動です。

2025年の夏、倉貫と藤原は韓国へ向かいました。現地での採用活動には100人を超える応募があり、選考を経て3人が内定。内定者たちは翌春までリモートでトレーニングとコミュニケーションを続け、2026年4月、来日して入社しました。ソニックガーデンにとって、初めての外国籍メンバーの誕生です。

倉貫の顔倉貫
初めての試みでどうなるのか未知な部分も多かったですが、結果的にはうまくいきました。韓国のプログラマの熱量も感じられたし、来期以降も続けていくつもりです

高卒のユース、韓国からのメンバー、新卒、中途――。2026年4月の入社式には、これまでになく多彩な顔ぶれが揃いました。世田谷のオフィスで彼らと毎日顔を合わせている松村は、その変化を肌で感じています。

松村の顔松村
高卒の子たちや韓国のメンバーと、毎日オフィスで一緒に過ごしています。うちの娘が高校1年生なので、年齢の近い子たちを見ていると、お父さんのような感覚になりますね(笑)。韓国のメンバーとも一緒にランチに行ったりして、言葉の壁はありつつも交流しています。これからどう育っていくのか、とても楽しみです

高卒のユース、韓国からのメンバー――。多彩な仲間が増えた15期のソニックガーデンは、同時にもうひとつ、大きな変化の渦中にありました。仕事の風景を一変させた、AIの波です。その様子は、第2部でお伝えします。

(執筆: 長瀬光弘)


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