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【15期社史#2】手段が変わっても本質は変わらない。ソニックガーデン流AIとの付き合い方

ソニックガーデン15期社史

育成、AIとの向き合い方、そして関係性から生まれる豊かさ。15期の「1年分の社史」をまとめました。

ソニックガーデンの1年をふりかえる「15期社史」シリーズ。全4回のうち、この記事でお届けするのは「AIと、その土台」というテーマです。生成AIの波を自分たちの流儀で乗りこなしていった1年と、その裏側で静かに進んでいた約100件のインフラ刷新、そしてISMS認証の取得をご紹介します。

15期のソニックガーデンを語るうえで、避けて通れないのがAIです。社会全体を巻き込んだ生成AIの急速な進化は、プログラマ集団であるソニックガーデンの仕事にも、大きな変化をもたらしました。

とはいえ、ソニックガーデンはこの波にのまれたわけではありません。自分たちから動き、試し、自分たちなりのAIとの付き合い方を探っていきます。

その中心となったのが、15期に発足した「AIワーキンググループ」です。

野上の顔野上
1年前は、AIを好きで使っている人が何人かいる、という状態でした。それを個人の知見で終わらせず、会社の知見やノウハウにしていくために、ワーキンググループを立ち上げたんです。最初はいろんなAIサービスをメンバーで比較検討するフェーズがあって、そこからClaudeに決めた。今は、ソニックガーデンとしてのAIの使い方やスキルを整備する役割に変わってきています

比較検討を経て、2026年5月、ソニックガーデンは全社でClaudeを導入します。同時に「Claude on SonicGarden」と題して、30日間にわたってAI活用の記事を書き続けるという発信企画もスタートしました。自分たちで試し、手応えを感じ、それを社会に共有していく。ソニックガーデンらしいAIとの向き合い方です。

プログラマたちの仕事の風景が、一変した

整備されたガイドラインやスキルは、若手の育成にも活かされています。

野上の顔野上
ベテランはもう放っておいていい、と最初に決めたんです(笑)。主眼はこれからの若い子たちの指針をつくること。ワーキンググループで整備した使い方やスキルを、弟子たちには『AIをこう使って開発しよう』と共有しています

実際、プログラマたちの仕事の風景は一変しました。

松村の顔松村
ベテラン勢は、自分でコードを書くことがほとんどなくなりました。AIに生成させて、レビューするスタイルです
野上の顔野上
僕は1日8時間くらいミーティングをしているんですが、その裏でAIがコードを書いてくれる。昔みたいに、夜なべしなくてよくなりましたね

変化は開発の現場だけにとどまりません。経営レベルの情報共有のあり方も変わったと、安達は言います。

安達の顔安達
ミーティングの議事録やブログなど、あらゆるデータをリポジトリに入れてAIに分析させています。今までは調査が面倒で報告しきれなかった細かいデータも、AIに資料作成までさせることで、より質の高い情報共有ができるようになりました。経営レベルでも仕事の仕方が変わった1年でしたね

一方で、AIの浸透は、育成のあり方に新しいテーマも投げかけています。

松村の顔松村
AIに書かせると、そこそこのコードが出てくるんです。でもベテランから見ると、ツッコミどころがある。弟子はそれに気づかず、そのまま上げてしまうこともあります。30年前は本しかなくて、僕らの頃はインターネットが出てきて、今はAI。学び方は変わっていますが、『理解して、説明できること』が大事なのは変わりません。特に納品のない受託開発は、ただ開発するだけではダメで、お客さまに説明し、理解してもらう継続的なコミュニケーションが必須です。AIで容易に答えが出てしまう時代に、そこをどう教えていくか。親方としてはチャレンジですね

手段が変わっても、プログラマとしての本質は変わらない。むしろAIの登場によって、「何を教えるべきか」がくっきりと見えてきたとも言えます。

  

約100件のインフラ刷新とセキュリティ強化。見えないけど大事な土台のバージョンアップ

AIの波が社会の注目を集める一方で、15期のソニックガーデンには、目立たないけれど大きな仕事がありました。事業の土台であるインフラの、全面的なつくり直しです。

発端は、「納品のない受託開発」のインフラ管理で中核的に使っていたフレームワークに、突然メンテナンス終了の案内が届いたことでした。運用中の案件の大多数が、それを使っている。担当の安達たちは、代替の仕組みを自前で実装し、期首から順次移行を進めていくことを決めます。その数は、約100件に及びました。

安達の顔安達
まずは、万が一問題が発生しても許容できる社内システムから始めて、次にお客さまの小規模なサービス、最後に大規模なもの、という順序で進めました。最初から大きいものに手をつけると、問題が発生した際に原因切り分けが難しくなりますからね。リスクを小さく抑えながら、ノウハウを蓄積していきました。移行時にはお客さまにサービスを停止していただく必要もあったので、調整事も多かったです。ある意味ソニックガーデンらしくない(笑)、綿密な計画を立てて進めた1年でした

1年がかりの移行は、15期のうちにほぼ完了。この大仕事を支えたのが、14期に入社したインフラ専門プログラマdkanの存在でした。

安達の顔安達
メインは彼が担当して、私が全体を見るという役割分担でした。彼の加入で、インフラ周りの動きが数倍速くなりましたね

そしてもうひとつ、15期の大きな成果が、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得です。これまでのプライバシーマークから一歩進んだこの認証を、まずは「納品のない受託開発」事業を対象に取得しました。

安達の顔安達
『ソニックガーデンはしっかりやっている』という主観的な状態ではなく、外部の認証規格のお墨付きをもらうことで、信頼の根拠にしたかったんです。ISMSは『これをやりなさい』と項目が決まっているものではなく、自分たちで情報管理のリスクを洗い出し、改善のサイクルを回せているかを確認するもの。日頃後回しにしがちなセキュリティリスクを、冷静に考えるいいきっかけになりました

興味深いのは、このISMSの運用にも、AIが組み込まれていることです。膨大な管理ドキュメントをGitHubに集約し、複雑な更新ルールをAIに落とし込むことで、運用を大幅に効率化。「これでは運用が回らない」と感じてから、わずか3ヶ月ほどで仕組みをつくり上げたといいます。

安達の顔安達
AIの活用は、コーディングだけではないんです。約100件のシステムは構成がそれぞれ違うので、AIを介してAWSと接続して、セキュリティの弱い部分を自動で洗い出せるようにしました。入退職者のアカウント管理のような情シスの泥臭い業務も、AIで効率化しています。Claudeの利用リミットに毎日引っかかるくらい、使い倒していますよ(笑)

現在は、ISMSの適用範囲を全社に広げる準備も進行中。派手さはなくとも、お客さまの信頼を支える土台が、この1年で格段に強くなりました。

効率化で生まれた時間を、何に使うのか

開発の現場も、経営の情報共有も、セキュリティの運用も、AIによって効率化されていく。一人あたりの生産性は、かつてなく高まっていきます。

すると、次の問いが生まれます。生まれた時間を、何に使うのか。

野上の顔野上
『納品のない受託開発』は、月額定額で一定の成果を出し続けるサービスです。だからAIで効率化したからといって、そのままアウトプットの量を何倍にも増やせばいいのかというと、そういう話でもない。むやみに量を増やしたからといって、成果に繋がるわけではないからです。AIによる効率化を、どう事業の成長に結びつけ、お客さまやソニックガーデンに還元していくかは、これからの大きなテーマになるはずです

それは事業のあり方が問われる転換点であると同時に、大きな機会でもある――倉貫はこの変化を「ピンチと機会が同時に来ている」と表現します。

AIによって生まれた余裕を、何に使うのか。この問いへのソニックガーデンとしての一つの答えは、第3部「関係と豊かさ」で見えてきます。

(執筆: 長瀬光弘)


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