2022年5月、ソニックガーデンチームビルディングプログラム(SGTBP)が開催されました。
SGTBPとは、チームビルディングの専門家である仲山進也氏(仲山考材(株)代表取締役/楽天グループ(株)楽天大学学長)をファシリテーターに迎え、ソニックガーデンと共同開発した、チームづくりの考え方を学ぶ社内向け実践プログラム(オンライン開催)です。
対象は、
・指示命令がなくても、自分たちで考えて動けるチーム
・正解がない仕事を、面白がりながら試行錯誤できるチーム
・相互に信頼でつながっているチーム
・ひとつの生き物のように機能するチーム
をつくりたいと考えている人たち。
アクティビティを通じて体験的に「チームづくりの考え方」を学ぶ構成になっており、今回は、ソニックガーデン社員でオンラインゲームに詳しいメンバーがいることを活かしたプログラムが開発されました。
全3回(5時間/回)のプログラムを5/13から、5/27、6/10と隔週での開催です。
さて、オンラインで、メンバーが共同参加することができるアクティビティとは…?
今回SGTBPで採用されたアクティビティは、オンラインゲーム「Unrailed!(アンレイルド)」。
最大4人での協力プレイで、材料を集めて線路を敷き、走り続ける電車を次の駅まで無事に運ぶゲームです。さまざまなタスクや制約があり、メンバー同士がしっかりと連携しなければゴールに到達することができません。
参加者4人でプレイし、レクチャーを受け、ふりかえりを挟むというプロセスを繰り返すことで、チームビルディングに対する理解を深めます。
初開催のSGTBPを終えた参加者の方々にインタビューを行いました。プログラムを通して得たものはなんだったのでしょうか?
SGTBP参加者に感想を聞いてみた!
【ソニックガーデンチームビルディングプログラム(SGTBP)参加者】
坂川 雅俊
祖浦 雅人
田中 義人
中谷 一郎
祖浦
「素直にゲームが面白かった」というのが1番の感想です(笑)。ゲームは好きで普段から1人で遊んでいるんですけど、大人になってから誰かと遊ぶということはやってこなかった。会社の人と協力プレイをやってみて、「だれかとゲームで遊ぶのってこんなに楽しかったんだ」って思い出しました。あとはソニックガーデンの中でも比較的穏やかなメンツで構成されていたので、リラックスした気持ちで遊べました。
(運営より:人選は「チームのことを考えなければならない立場の人」でした。プログラム自体が初回の開催だったので、不具合が生じても許してくれそうな、落ち着いたメンバーを無意識に選んだかもしれません)
田中
先の2人とほぼ同じですが、もともと読んでいたチームビルディングの本の内容を、体験をもって理解を深めることができたので、非常に良い機会でした。祖浦君も言ってましたが、何よりゲームが面白かった。ゲームに関しては全然自信がなかったんですけど、楽しくやれて、みんな優しくてよかったです。楽しみながら学ぶというのがぴったりの言葉なので、同じチームの人もぜひ受けてほしいですね。
中谷
率直に言えば、「楽しかった」です。仕事中にゲームで遊んでいいのかな、と思いながら、おそるおそる思いっきり遊びました(笑)。オンラインゲームを使うというのは本当に画期的だと思います。大体の人は楽しめる。心からおすすめできるポイントのひとつだと思っています。楽しく燃えちゃって、このために高いコントローラーを買ったりしました。
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このプログラムの前後でご自分の意識など変わったことはありましたか?
坂川
これまで事勿れ主義で、ぐっと言葉を飲み込むことが多かったんですけど、とにかく「思いを場に出す」ことが大事だとわかったので、意識して言うようになりました。これはチームの中だけじゃなくて、対お客さんでもそうですね。本当に意見がなくて言わないのか、意見はあるけど飲み込んで言わないのか、黙っているとどっちかわからないので、「意見がないんだよ」ということも言う必要があるんだと思いました。「自分はこう思っている」ということをその場に出さないと、メンバーにこちらの状況が伝わらない。まずはそこがないと何も始まらないなと思って、あまり言葉を飲み込まないようになりました。
祖浦
私も事勿れ主義というか、揉めそうになると「まあまあ」って言っちゃう、「空気読めてない」と思われるのが怖くて抑えてしまうタイプの人間なんですけど、それだと先に進めないなということを強く思いました。
「チームの成長ステージ」では、4段階のうち第2ステージが意見をすり合わせながら試行錯誤する「ストーミング期」なんですけど、今回「Unrailed!」をやって、ストーミングより先に進むことができたっていう体感をしました。それはメンバー4人全員が衝突したわけではなくて、みんなが思っていることを全部出して共有することで先に進めたという感じだったんですね。ストーミングには必ずしも対立や衝突が必要なわけではない、自分の意見を場に出すことで空気が悪くなるわけではないというのを体感できたのがすごく新しかった。逆に意見をひっこめてその場を収めるみたいなことって、チームとしてはマイナスなんだということが理解できたと思いました。
チームが成長するためにはチャレンジが必要で、乗り越えるべき「壁」が出てきて初めて成長できる、場も自分も活性化されるとわかったので、適度な課題設定はとても重要なんだと思いました。
田中
チームの発達段階に名前をつけるというのはこのプログラムの中で改めて学んだんですけど、そのおかげで仕事に戻った時に、「このチームは今どの段階なのかな」と意識するようになりました。それはソニックガーデン内のチームでも、お客さんと組む案件のチームでも同じです。
中谷
意識として変わったのは、「コミュニケーション量をなるべく増やそう」と思えたことですね。チームの発達を第1段階から先に進めるためには、一旦「混沌」とした状態になるストーミングが必要なんですけど、ストーミングは人為的に起こそうとすると怪我するらしいんですね。最初の段階でしっかり温めていない、お互いの距離が縮まっていない状態で、いきなり「さあみんな意見を言い合ってくれ」と強制的にストーミングを起こそうとすると、険悪になってしまう。だからストーミングは自然に起こるまで待つものなんだということがよく理解できました。そしてストーミングが自然に起こるためには、心理的安全性が大事で、そのためには「ザッソウ(雑談+相談)」が大事であって、それはつまりコミュニケーション量に帰結する。すべての基礎はコミュニケーション量なのかなという理解を僕はしました。これがわかったのが1番の収穫で、最も僕の意識が変わったところでもあります。
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このゲームを始める時に、打ち合わせとかしたんですか?例えば役割分担を決めるとか…。
中谷
いえ、最初はいきなりとりかかるかんじで始めました。途中でうまくいかなくなって役割分担みたいなものが発生するんだけど、それがまただんだんいい意味で壊れていくんです。それぞれ自分のやることが高速で入れ替わっていくみたいな。それぞれが最適な判断をして役割が変わっていくという、良い体験をしました。
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予備知識なく始めて、プレイしていく中で声を掛け合ったりしていくような?
中谷
ただずっとゲームをするわけじゃなくて、途中途中でふりかえりが挟まるんです。「こういうことが起きた」「それは仕事だと何で表せるか?」「仕事に通じることはある?」みたいな話をします。
「必ず全員全ての役割を体験しましょう」みたいな課題的なものも随時設けられていて、そこを通りつついいように運営に乗せられて回っていった気がします。
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司令塔を1人立てるというよりは、みんなが並列に考え連絡し合いながら動くやり方に落ち着いたわけですか。
祖浦
最初は僕がよく喋ってたんです。誰かに役割をお願いしたり、「ここがこうなってます!」とか言いまくってるってかんじになって、それを受けて坂川さんが「祖浦くんリーダーで仕切ってくれよ」って。でもそうなった途端に、「自分がリーダーなんだ」ってプレッシャーに負けてうまく回らなくなるという現象が起こりました(笑)。
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なるほど、自覚してしまうとだめだったんですね。それはちょっと坂川さんに任命責任が…。
坂川
まさかの、そうなるとは。この中で祖浦くんが一番上手でいろんなところが見えてたんですよ。だから絶対仕切ってもらった方がいいなって思ってしまった。でも1人に全部を見させるのは良くなかったんですね。それぞれが自分の今やってる仕事の最適を考えつつ、他のメンバーの仕事を見て、困ってることがありそうだったら動くとか、みんなが「考えて」ないと結局うまくいかなかった。かえってそういうことを体験できて良かったなと思います。
祖浦
誰か1人が指示出したらクリアできるって形のゲームではなかったんですね。それには時間が圧倒的に足りないというか。
電車を次の駅に持っていくために、線路を作って、その線路を敷きつつ進行方向を切り拓き…っていうのを、4人全員がひとつの生き物のように、各々が適切に判断して行動しないとクリアできない、そんなゲームでしたね。
田中
それぞれが判断をしつつも他の人の動きとも連携しないといけないっていう、両方必要でした。
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それを楽しみながら学べるとは、優れたゲームなんですね。その実践があって、ふりかえりがあって、座学もある。座学ももちろん実りある内容で。
中谷
そうですね、レクチャーも面白かった。さっきもちょっと話題に出した「無理矢理ストーミングを起こそうとするリーダー」の行動を「リーダーご乱心」って呼ぶんです。「さあなんでも言ってくれ!」と言って無理矢理ストーミングを起こそうとしても全然うまく行かないし、参加者もポカンとしてしまう。だから「リーダーがご乱心」(笑)。あと印象に残ったのは、「ご機嫌は価値、不機嫌は罪」というフレーズですね。不機嫌の方がご機嫌より「強い」。ちょっと空気が悪い人がいると、それだけで全体がそっちに引っ張られやすいということですね。これまで僕は、「不機嫌が表れてしまう方が人間らしい」くらいに思っていたんですけど、本当にチームのことを考えるんだったら、気分を殊更表に出すべきじゃない。不機嫌状態はむしろ無闇に出さないようにした方がずっとチームのためにあるんだな、ということがわかりました。気づきのあるワードをいくつか頂くことができましたね。
田中
僕は「ストーミングは怖くない」ってワードがすごく印象に残りました。ストーミングは、決してギスギスしてしまう意見のぶつけ合いじゃなくて、みんながいろんなこと言い合って「わちゃわちゃ」する感じ。関係を悪くするために言うんじゃなくて、言い方には気をつけながらも意見をちゃんとするというのがストーミングだよ、ということですね。本当に怖くなくなった。
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このプログラムを周りの人にも勧めたいと思いましたか?
一同
思います(口々に)
田中
とりあえず「行ってみなよ」と言われて参加しましたけど、本当にとりあえず「行ってみて」って言いたい。学んだことや得たものを使って仕事しつつ、周りに伝えつつ、「とりあえず行ってみて」。
この後、フォローアップの集まりが3回あって、ソニックガーデンチームビルディングプログラム(SGTBP)は終了とのこと。
今回を踏まえて、また内容をアップデートしつつ、社内全体に行き渡るように順次開催されていくことが予定されています。
これからの時代を生きるチーム作りに欠かせない「ソニックガーデンチームビルディングプログラム(SGTBP)」、さらなる展開が期待されますね。
参加者のみなさん、運営のみなさん、お疲れ様でした!