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<前編>プログラミングがしたくて48歳で入社。53歳の今、プログラミングからは少し離れ、足繁く現場に通う異色メンバーの仕事の仕方とは? 2019年12月24日


業務改善からシステム開発まで一気通貫にやってしまう「業務ハック」というコンセプト。その業務ハックでお客様が抱える課題を顧問として解決しサポートしていくのがソニックガーデンの「業務ハッカー」たちです。今回、個性豊かな5名の業務ハッカーに、それぞれどんな想いを持ち、どんな仕事に取り組んでいるか聞いてきました。

最終回に登場するのは上田幸哉(うえだゆきや)さん。現在53歳の上田さんはソニックガーデン最年長のメンバーであり、文化の醸成役でもあります。他社でプログラマとしてのキャリアを積み管理職をしていた上田さんですが、「組織マネジメントよりも現場が好き」という気持ちから、ソニックガーデンへ48歳にして転職。5年目の今は、プログラミングからは少し離れ、業務ハックのフロントを担当しています。

名だたるプログラマの精鋭たちの中で、長いキャリアを誇る上田さんは一体何を大事にして、どのような仕事をしているのでしょうか?公私ともに親しい、ソニックガーデン副社長の藤原さんが聞いていきます。

目次

    <第一回目のインタビュー記事>
    ソニックガーデン初の女性プログラマは、業務改善の現場改革に挑む挑戦者だった!

    <第二回目のインタビュー記事>
    入社門前払いの危機から、業務ハッカーのエースにまでなった猛者プログラマの軌跡

    <第三回目のインタビュー記事>
    「楽しい仕事。好きな仲間。望む環境。全て揃わなければ、働けない」イマドキ女子が辿り着いた、業務ハッカーという仕事の面白さとは?

    <第四回目のインタビュー記事>
    40代で北海道へ移住!オーストラリア一周、シベリア鉄道でロシア横断!世界を旅する自由すぎるベテラン業務ハッカーの仕事の真髄とは?

    プログラミングより、「心の業務ハック」が今の仕事

    藤原の顔藤原
    上田さんが今どんな仕事をされているのか、自己紹介と共にお願いします。

    上田の顔上田
    上田です。ソニックガーデンでは最年長のメンバーですね。今は業務ハッカーとして、主にフロント業務を担当しています。お客様からお問い合せが来たときに、まず最初にお話を聞かせてもらう役割です。

    藤原の顔藤原
    どんなことを考えながらお客様と話していますか?

    上田の顔上田
    お客様の課題は我々のサービスで解決できそうか、あとはお互いにフィットするか考えていますね。その後は適切なメンバーと組んでプロジェクトを立ち上げるところまで関わっています。

    藤原の顔藤原
    ご相談にいらしたお客様とまず最初にお会いするのが上田さんですね。

    上田の顔上田
    そうですね。最近では「車の定期点検」のようなイメージで、プロジェクトが始まって半年後くらいに、プロジェクトの様子をヒアリングすることも始めました。

    藤原の顔藤原
    なるほど。担当プログラマには直接言いにくいことも、上田さんになら言いやすいかもしれませんね。

    上田の顔上田
    よりお客様の本音に近づけるよう、これから定期点検の時などは、できる限りお客様に会いに行きたいなと思っています。ソニックガーデンは完全リモートでテレビ会議ですべて済ませるというイメージが強いと思いますが、僕は現場に足を運ぶことも大事にしていますね。

    藤原の顔藤原
    今は、上田さん自身がお客様と二人三脚で業務ハックをしている体制ではないですよね。

    上田の顔上田
    そうですね。プロジェクトがどんな方向に向かうのかお客様と話したり、スピードコントロールをしたり、メンバーが上手に楽しく仕事ができるように整えたりする役割ですね。プログラムを書くというより、「心の業務ハック」の方が多いですね(笑)

    藤原の顔藤原
    「心の業務ハック」(笑)

    お客様に会うときは、毎回ワクワクする

    藤原の顔藤原
    業務ハックのフロントという役割を始めて1年ほど経つと思うのですが、やってみて感じている事はありますか?

    上田の顔上田
    「どういう方に会えるかな?どういうビジネスを展開されていて、どんなお悩みや課題をお持ちだろう?」と毎回ワクワクしますね。お問い合わせの文面もフラットな気持ちで読み、色眼鏡で見ずに、好奇心を持ってお話を伺うようにはしています。

    藤原の顔藤原
    では何か経験を通して分かったことはありますか?

    上田の顔上田
    何か悟ったか、理解したか、という意味だと、分からないですね。お客様毎に毎回違うんですよね。

    藤原の顔藤原
    なるほど。業界が一緒だとしても、細かい仕事のやり方や業務フローは会社毎に全然違うし、採用しているシステムも異なりますよね。システムなんて入れずに、紙でやっているかもしれないし。

    上田の顔上田
    そうなんですよね。土台や背景もそれぞれなんです。「パソコンやスマホなんてうちの社員は使えません」とおっしゃる方もいれば、業務ハックを進めたい部署と、実際に作業を行う部署が別の場合もあります。

    現場の声を反映しない改革を続けていたら、変化を「拒否」するのは当たり前

    藤原の顔藤原
    業界や業種だけではなく、業務ハックを主導する人と現場との関係性であったり、または変化に対する柔軟性といったものによっても、業務ハックの難易度は左右されますよね。

    上田の顔上田
    そうですね。変化に対して抵抗を感じる方が多い場合は、そこに対するアプローチがまず必要です。

    実際にお客様のところにお伺いして、社長や管理職含む全員からヒアリングをして現状をまとめ、こんな風に皆の意識を変えていかないと難しいですよ、というようなレポ―ティングをしたこともありますね。

    藤原の顔藤原
    僕らが「納品のない受託開発」というサービスで共通して大事にしていることは、「システムを作ることを仕事にしない」という点ですよね。

    システムを作って終わりではなく、現場まで浸透・普及して、成果が出るところまでが私達の仕事の範疇です。なので、僕らなりの経験値ややり方で、浸透までサポートしていきます。

    上田の顔上田
    そこまでやるのが業務ハッカーの役割ですよね。

    藤原の顔藤原
    新しいシステムが現場に受け入れられない一番の要因は、業務改善をやると言っている人と現場との関係性の問題だったりします。それまでもずっと現場と歩みを揃えて改善をしてきていれば、スムーズにいけるはずなんです。

    上田の顔上田
    現場の声を反映しない改革を続けていたら、「次は何をしてくれるんだ」と現場は構えてしまいますよね。変化に対して自分を守る方法が「拒否」という手段しかないから、簡単には新しいやり方を受け入れてはくれません。

    藤原の顔藤原
    業務改善には変化が伴いますから、「新しいシステムにまたゼロから取り組んでいくなんて嫌だ」「そもそもいつも現場の言うことなんて聞いてないでしょ」という現場からの抵抗はあって当たり前です。

    現場の声が反映されると分かってもらうことは「心の業務ハック」

    上田の顔上田
    だからこそ、まずは業務ハックをやろうと言っている人の意識を変えなければいけませんよね。例えば社長さんであるとか、システム担当の人に、業務ハックは現場のためにやる行為だし、現場の声を聞くことが何より大切だと分かってもらわなければいけません。

    藤原の顔藤原
    そうですね。最後の最後は、論理では人の感情は動かないですよね。ですから我々の業務ハックでは、現場のためにも「小さく作って、すぐに直します」よね。

    上田の顔上田
    作ったものがすんなり現場に受け入れてもらえるわけはないので、現場からフィードバックを貰ったら、すぐに直します。

    藤原の顔藤原
    我々の場合は、その週に頂いたフィードバッグが翌週にはシステムに反映されます。現場の人に「今回の業務改善は、これまでとは違う。今回は現場の意見を聞いてくれるらしい」と分かってもらえれば、そこからは協力してより良いものを作っていけますよね。

    上田の顔上田
    まさに「心の業務ハック」が必要な部分です。

    お付き合いの時間が長くなればなるほど、人や現場に即した提案ができる

    藤原の顔藤原
    「心の業務ハック」という点で言えば、業務ハッカーである我々と、現場とのコミュニケーションや関係性も大事ですよね。

    上田の顔上田
    ものすごく大事です。僕たちを知ってもらうことで、ただのシステムが、「〇〇さんの作ったシステム」に変わります。それだけでシステムに対して優しくなってもらえます。

    藤原の顔藤原
    お客様との関係性で心がけていることはありますか?

    上田の顔上田
    僕らの役目は、業務ハックの流れを止めないことだと思うんです。

    実際に業務の流れを見つめ改善していくのは、お客様自身です。僕らは良い変化が起きれば「いいですね!できましたね!」と応援して、改善の動きを止めないようにさえしておけば、絶対に良い方向に行くはずです。

    藤原の顔藤原
    お客様を信頼しているからこその言葉ですね。

    上田の顔上田
    業務ハックでも「納品のない受託開発」でも、ソニックガーデンはお客様と長い時間をかけて関係を築いていきますから、そこには信頼関係が生まれますね。

    藤原の顔藤原
    長い関係性にはメリットがあって、お付き合いが長くなればなるほど、お客様の業務に対する知識だけではなく、オフィスのレイアウトであったり、社内の人間関係や空気感まで分かるようになりますよね。

    それを踏まえると、僕らの提案するシステムの質がどんどん上がっていきます。

    上田の顔上田
    確かにそうですね。「あの現場の雰囲気から考えると、このシステムはちょっと作りすぎかもしれません」とか「あの人がこの業務やってますよね?じゃあまずは使ってもらうのがいいんじゃないですか?」という風に、かなり現場に即した提案ができるようになりますね。

    中小企業の業務ハックには、感情マネジメントが必要

    藤原の顔藤原
    中小企業のお客様の場合、現場で働く方のペースとかスキルとか、取り組んでいる業務の難しさとか、色んなものが人それぞれ本当に異なりますよね。

    大企業だと制度があってその制度に馴染める人だけが残っているので、「新しい仕組み入れますよ」とシステム部門が言えばすんなり入れるし、「皆さん使いましょう」と言ったときに使える人だけが会社に残っているわけです。

    上田の顔上田
    そうですね。中小企業だと、たまたま入社してくれた人とか、たまたま縁があって来てくれたパートさんたちが現場で働いています。システムに人が合わせていくのではなく、その人たちに合わせて業務やシステムを作り、その人たちが働きやすくすることにすごく意味がありますよね。

    藤原の顔藤原
    大企業の中でやる業務ハックはある意味楽ですよ。しっかりした業務フローがあってみんな従うし、 「業務フローを変えよう」と言ったら「了解です」で終わりです。けれど中小企業の場合は、「嫌です」とか「できません」なんていう返事も珍しくないですからね(笑)

    上田の顔上田
    ソニックガーデンも嫌な仕事には「嫌だ」と言っていい会社ですが、中小企業にも「嫌だ」と言っていい会社があるんですよね(笑)

    藤原の顔藤原
    つまり中小企業の業務ハックには感情マネジメントが必要になってくるんです。現場に本当に寄り添わないと中小企業の変革はできない 。

    上田の顔上田
    けれど中小企業の社長さんは、強いリーダーシップで会社を大きくされてきた方が多いので、寄り添うことが苦手な方もいらっしゃいます。

    現場はものすごい工夫の上に成り立っていることを、みんな知らない

    藤原の顔藤原
    社長さんが売上を上げるために邁進することはすごく大事だし、常に新しいことをしかけていくことも必要です。

    しかし、オペレーションを軽視してはいけませんよね。例えば「請求書を送ることなんて簡単だろう」という思い込みがあるので、「新しくシステム入れるから使って」と簡単に言ってしまう。

    上田の顔上田
    現場がものすごい工夫の上に成り立っていることを知らないから言えてしまうんですよね。

    藤原の顔藤原
    まさに。請求書の例でいえば、「あの人は請求書をFAXするだけじゃ絶対に見てくれないから、FAXを送った後に絶対電話するんです」など、請求先によって個別対応をしている現場の方がいます。

    工夫してくれているから毎月きちんとお金が回収されているけれど、そんなことをいちいち社長に報告はしませんからね。

    上田の顔上田
    現場の工夫を知らない社長は「なんで仕事が遅いんだ」とか「全部webで完結させよう」とか簡単に言ってしまう。

    藤原の顔藤原
    現場がそれ対して「webでなんて無理です」と抵抗するのは、反抗しているわけではなくて、「webではお客様が見てくれない」と分かっているからです。やっぱり現場がきめ細かくオペレーションをやってくれているから業務が成り立っているという前提がある。

    上田の顔上田
    だからこそ現場の意見は尊重すべきですよね。オペレーションをやっている人たちは「私たちの価値」について声高に主張なんてしません。黙々とやってくれている人たちだから、オペレーションの貴重さが会社全体では認識されていないことが多いです。

    藤原の顔藤原
    逆に「なんでこんなに仕事が遅いんだ」と文句を言われているケースもあるくらいですよね。

    上田の顔上田
    でもヒアリングしていると、すごく細かいところまで気を使ってやっていらっしゃって、「これは確かに時間かかるな」と現場に共感することも少なくないです。僕らは、そういう現場の大変さに気づき、理解者でありたいと思っています。

    藤原の顔藤原
    現場から距離を置いてしまうと「非効率だ。時間がかかり過ぎだ」と簡単に言えてしまうけれど、現場の目線に立ち、その人の横で業務を一緒に進めるイメージで見ると、「確かにこの業務には時間かかりますね」と分かる。

    その時に僕らが貢献できるのは「ここはシステムにしたら、時間短縮になりますよ」という提案です。

    実際に隣に並んで課題に向き合うと、お客様がだんだん心を開いてくれるのが分かる

    上田の顔上田
    精神的に寄り添うだけではなく、物理的にも現場に行くと、解決のスピードが早まることもあるんです。

    ある運送会社さんでは、現場に伺いヒアリングをする中で、その場で効率化できる業務が見つかりました。エクセルを使ってファイルをやりとりするという業務があったのですが、Google スプレッドシートを提案してその場で使い方をご説明したところ、現場の方の顔がパッと明るくなって。

    藤原の顔藤原
    そういうのが嬉しくて、上田さんは現場に行くんですね。

    上田の顔上田
    そうですね。しばらく経って様子を伺ったら「すごいです!エクセルファイルをやりとりしていた相手の方もすぐにデータを入れてくれるし、便利です!」と、とても喜んで頂けました。現場で一緒に業務をやってみるのはいいなと思いますね。

    藤原の顔藤原
    相手が現場の方でも社長さんでも同じですが、打ち合わせ中に一緒にやってみるといいですよね。作ったシステムがあれば、一回お客様に操作してもらう。「後でやっておくね」と言われてそのままにしてまうと、お客様はお忙しいので、なかなか新しいところまで手が回りません。

    上田の顔上田
    実際に隣に並んでやってみると、お客様の意識も「何でも聞いていいんだ」「本当に一緒にやってくれるんだこの人達」という風に変わり、だんだん心を開いてくれるのが分かります。それもまた嬉しい瞬間です。

    <後編はこちら


    ライティング:岡田由美子
    早稲田大学第一文学部在学中より、物書きを目指してひたすらに原稿用紙に文字を埋める日々を過ごす。卒業後、EC系のベンチャーで新規事業の開発に取り組む。現在は二児の育児の傍ら、インタビュー記事や、商品紹介のキャッチなど、また文字の世界へと戻る。

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